元祖SHINSHINさんのブログ
「夢を売る男」
本は短編集にするつもりだった。
というのも長編小説の類いは一度も読んだことがなかったからだ。
書き出した途端、アイデアが面白いように浮かんだ。
最初の短編は一時間ほどで仕上がった。
小説家や漫画家がアイデアが出なくて苦労するという話を聞いたことがあったが、
にわかには信じられなかった。
小説のアイデアが出なくて書けなくなるなんて、
言葉が出なくて話せないみたいなもんじゃないか。
別に難しいことを考えなくても話せるように、
書く時も難しいことを考える必要はない。
普通に書いていれば、小説なんていくらでも書ける。
(略)
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そー言われてしまうと、
書けるような気もしてくる。
けれども、たとえ賞を取れても作家専業で生きてくのはとても苦しい、
という業界の事情が面々と語られていく。
一方で、書いてみたい人というのは、
年々増えてきているようで、そんな話にも触れられている。
★「夢を売る男」
百田尚樹著 幻冬舎文庫 650円+税 H27.5.1.初版 P.57より抜粋
書店で開いてみたら、です・ます調じゃなかったから買ってみた。
とてもライトに書かれており、読みやすい。
(こういう文体が、嫌いな人は嫌いだけど)
三人称。
この小説は、ストーリーよりも材料が優位となっている。
その材料に興味のあるは、たいへんオモロイと感じるだろう。
「新人賞で誘う自費出版」にまつわる話だ。
恐らく、小説を読んだことのないという売れっ子作家だったMも、
こういう材料優位な作品を書いていたものと推測している。
Mは大学教授だった上に、
プロ蹴出しな趣味が豊富で、自己体験的な材料に事欠かないからだ。
(ただし、ネットでの書評を読むと、年季の入ったミステリー読者には不評なようだ)
オモロイ業界材料が満載なのだけれど、
それをここで書いてしまうと、
読んだときの面白みが吹き飛んでしまうので、
もう書けない。
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