それは心の病とか、アルコール依存の治療ではなくって。
以前にブログでも書いたことがあるけど、
オイラは学生時代に1年くらい空手をやってみたことがある。
体は硬いし、型を覚えられないというアホっぷりだったので、
辞めた。
けれど、それなりに練習しているうちに、
足の裏に床で擦ったことによる傷とタコができていた。
そのまま放置して数年が経つと、
タコによって歩行も困難なほどになってきた。
それに加えて、爪の色も黄色く変色してきて巻き爪になり、食い込んできて痛い。
そこで、横浜スタジアムに隣接しているフットケアの店に通うようになる。
巻き爪のケア方法は確立しているものの、
その前に皮膚科に行って、水虫の否定をしてきてくれないと処置出来ないと言われる。
かゆみもないし、水疱などもできていない。
面倒なのでその後、フットケアに通うのを止めてさらに放置。
マツキヨに転職してから、
ひび割れに効く尿素系軟膏を塗るも、まったく改善なし。
「ひょっとして?」
と思い、抗白癬菌薬剤を使用してみた。
それはラノコナゾールという成分の一般医薬品で、
その軟膏によってなんと3週間ほどで、足の裏のひどかったひび割れが綺麗になった。
同様の液剤を使用して、爪にも塗ってみたのだが、
こちらは少ししか改善が見られないでいた。
(けれども、爪の色は汚い黄色から、本来の爪の色を取り戻しつつあったし、
巻き爪もかなり改善されてきてはいた)
*
調剤をしていて、
病院時代以来、久しぶりにイトリコナゾールという白癬菌に効く飲み薬を触ることになった。
添付文書を見ていたら、爪白癬に効く「パルス療法」なる治療法が眼に入った。
「やってみたい」
と思って、自己責任で売価100%で自己購入してみるも、
「パルス療法」ではない「通常療法」でも、金額が高くってやってられないと判明。
医者にかかることにした。
そこで、自宅近隣の御所見総合病院へ電話をした。
専門の皮膚科医が病欠で、4月にならないと復職出来ないという。
オイラは内科の医師でイイから紹介してくれないかとねだった。
病院へ行くとアンケートに治療の希望を書かされた。
イトリコナゾールによるパルス療法と記載して提出、
医師の診察が始まった。
*
「わたしは専門じゃないから、4月まで待った方がいいよ」
ベテランで紳士的にみえる医師は、にべもなく言った。
オイラはそれまでの足の経緯と、イトリコナゾールの添付文書を医師へみせた。
「おいおい、君はどこでこんなものを手にしたんだ?」
オイラは職業を明かして、その治療方針をハードボイルド的に鋭く短く語ってみた。
その医師は「今日の治療薬」を調べながら、
「なるほど、爪白癬に効くのは今のところイトリコナゾールか」
とつぶやいた。
どうやら最新の知見では、他にも新薬があるようなことを耳にしていたが、
余計なことは言わないでおいた。
普通だったら「診断と治療方針を決めるのが医者なんだよ、あんたじゃない!」
と怒鳴られたって不思議じゃぁない状況だ。
それが、今この医師の頭の中には、
イトリコナゾールによるパルス療法に意識が集中してきているのだから、
ここはあと一押しだ。
「長いあいだ放置してしまったこの症例が、治るかどうかどーしても知りたいんです」
この医師もそれを知りたいと、内心は思ったのだろう。
「よし、じゃぁ明日からやってもらおうか!」
まるで、仕事の采配を部下に命ずるかのように、医師は断じた。
「1カプセル50mgを1日2回、1回4カプセルで1週間服薬、3週間休薬、それを3クールだな。
だけどな、肝障害が心配だから異変があったらすぐ来院して。
それと、来週1回顔をみせに来いよ。今日はあと採血しておくからな」
オイラは、これまたハードボイルド風に熱のこもった謝辞を述べた。
でもそれは、渡哲也のようにはいかなかった。
PS1:実はこの治療には、別の目的もある。
けれども、今は内緒だ。