「なんなの、これは・・・」といった感じで、
途中で投げ出したくなるも、
あの村上春樹が奨める作品なんだからと、我慢して読み続けた。
本文を読み終えても、
「なんだったの、これは・・・」
というのが、正直な感想だった。
ところがなんと、
解説を読んでみると・・・。
「そーだったのかぁあああ!」
といった具合に、後付けで「V.」のオモロサが「突然に爆発」するのだ。
1963年に書かれた小説だというのに、
解説に書いてあるピンチョン的な複数の小説要素は、
現代においても引き継がれているもので、
ある意味で、初心者がこの解説を読むと、
今どきの小説の風向きも、
ようやく理解できるという趣向になっている。
「なんだ、そーいうことだったのかぁ」
という風に、文学初心者の目から、きれいに鱗が落ちるのだ。
(翻訳による)文体や、人物描写の加減、つかみの弱さに関しては、
現代ならば異論続出なのだろうが、
解説にあるようなピンチョン的な複数の小説要素は、
とてもオモロイものだ。
ところで「ピンチョン的な複数の小説要素」って、
それは一体なんなんだって思う人があるだろうが、
それは読んだ人だけの秘密なのだ。
★「V.*」・「V.**」
トマス・ピンチョン著 三宅卓夫・伊藤貞基・中川ゆきこ・広瀬英一・中村紘一訳
国書刊行会 1979.3.20.初版第一刷 1981.8.30.第二刷
それにしても、
読んでいてあまりオモロクないと思っていたのに、
解説読んだらオモロさが炸裂して、
「あー読んでヨカッタ」と感動する小説というのは、
初めての経験だった。
小説を書くことに関して、
初心者にとっては、いろいろな学びや気づきの多い作品となっている。