イエレン議長がハト派的な姿勢を明確にしたことで、6月利上げの可能性が遠のきました。
次回のFOMCは4月28~29日に開催の予定ですから、ここは特に波乱も無く終わると思いますが
6月17~18日のFOMCでは9月の利上が示唆される可能性があり
こちらは一波乱ありそうな予感がします。
そう考えると、東京市場の株高傾向はGW頃が目先の天井になるかも知れません。
しかし現在の東京市場は官民一体となった景気への取り組みが着実に進んでおり
このことが、世界の投資家に日本株の持たざるリスクを感じさせている様な気がします。
勿論「官」の代表は日銀とGPIFです。
昨年日銀はTOPIX連動型ETFの買い入れペースを、年間1兆円から3兆円に拡大するとし
GPIFも日本株の運用比率を12%から25%に引き上げることをそれぞれ発表しています。
GPIFの運用資産総額はおよそ130億円ですから、国内株式の運用枠はざっと32.5兆円ですが
実際には2月上旬までに約25兆円分の国内株式を所有していると言われており
単純に引き算すると、あと7.5兆円の買い付け余力が残っている計算になります。
但し、2月以降は殆ど買い増しておらず、むしろ買い付け余力は増加したとの見方もある様です。
従って、2月以降株価が上昇した要因は
海外勢や他の国内機関投資家によるところが大きいのではないかと推察しています。
事実、海外勢は年初から日本株を売り越していましたが、2月第2週に現物と先物合計で約7500億円
第3週には1兆1000億円の買い越しに転じています。
ところで、その他の国内機関投資家の中で特に注目すべきは「かんぽ生命」だと思います。
かんぽ生命の運用資産はおよそ86兆円と言われていますが
そのうち日本株の運用比率は僅か0.7%(6000億円程度)しかありません。
そのかんぽ生命が、日本株の運用比率を上げるために保有社債の売却を行っているそうで
仮に3%まで引き上げられれば、市場には新たに2.6兆円の資金が流入することになります。
因みに今年1月末時点の運用比率は、社債及び国内株式合算で8%です。
さらに国家公務員、地方公務員、私学教職員の年金資産を運用する3共済(運用資産合計30兆円)も
運用資産を日本株にシフトさせることを決めており
国内の株式市場にはGPIF、日銀に次ぐ新たな第三勢力が参入しようとしています。
2月以降、海外勢が積極的に日本株を買い始めた理由は
この様な動きを先取りしたためではないかとも言われています。
次に海外勢が日本株に目を向けたもう一つの理由は「民間」の協力体制でしょう。
その口火を切ったのはトヨタで
下請け企業に対し部品価格の値下げを要請しないことを早々に決めたと同時に
政府の要望である賃上げにも前向きの姿勢を見せたことで
海外勢は、日本が官民一体となって景気対策に取り組み始めたことを認識したのだと思います。
つまり海外の投資家が漸くアベノミクスの成功を予感し始め
日本株というより、日本買いに動出したと言えるのではないでしょうか。
