日経平均のPERは先週末時点で17.04倍、EPSは1113.32円となっており(益回りは5.87%)
PERが17倍を超えたのは2013年5月以来のことです。
また巷では日経平均年内2万円説から、果ては4万円説まで飛び出し、強気一色という印象を受けます。
そこでPERから見た日経平均株価の妥当な水準を、二つの観点から予測してみました。
まさに暇人しか考えないことだと思います。(^┰^;)ゞ
まず一つ目は過去10年間の推移です。
2005年以降、PERの大きな山は3回ありました。
①2006年4月➡23.79倍
②2012年3月➡23.26倍
③2013年4月➡23.41倍
これを見ると過去10年間では日経平均のPERは23倍台が上限だということが分かります。
では当面PER23.5倍まで日経平均が上昇すると仮定した場合、EPSを先週末の数値で計算すると
1113.32円×23.5=26163円
これが過去10年間の統計から類推した日経平均株価の上限ということになりますが
取り敢えず端数を切り捨てて26160円(注1)としておきましょう。
二つ目は長期金利とGDP成長率からの予測です。
この方法でPERを予測するために、まず以下の定義から2つの計算式を導きます。
株式益回り+名目GDP成長率=長期金利+リスク・プレミアム=株式の期待リターン
<計算式①>リスク・プレミアム=益回り+名目GDP成長率-長期金利
<計算式②>PER=1÷(長期金利+リスク・プレミアム-名目GDP成長率)
リスクプレミアムは、リスク資産の期待収益率から無リスク資産(*1)の収益率を引いた差で
概略の数値は計算式①で求めることが出来ます。
(*1)無リスク資産とは元本が保証された安全資産のことで、短期国債の利回り等が該当します。
次に2015年度の名目GDP成長率予測(3/6時点)は2.8%。(政府目標は3%)
また長期金利ですが、日本国債10年物は現在0.4%前後で推移しています。
従ってリスク・プレミアムは以下の様になります。
リスク・プレミアム=5.87%+2.8%-0.4%=8.27%
しかし、株式の経験的なリスク・プレミアムは日本が5%、米国は4%程度と言われており
(3%~6%或は4%~6%という捉え方もあります)8.27%はやや高い水準ですが
裏を返せば株式投資の魅力度が高いことを物語っています。
以上の数値を前述の計算式②に当て嵌めると
リスク・プレミアム8.27%の時 PER=1÷(0.4%+8.27%-2.8%)=17.04(倍)➡現在の水準
リスク・プレミアム6%の時 PER=1÷(0.4%+6%-2.8%)=27.78(倍)➡現実的?
リスク・プレミアム5%の時 PER=1÷(0.4%+5%-2.8%)=38.46(倍)➡やや困難?
リスク・プレミアム4%の時 PER=1÷(0.4%+4%-2.8%)=62.50(倍)➡流石に無理?
あくまでも理論上の数値ですが、経験的なリスク・プレミアムを上限の6%と考えても
日経平均のPER27.8倍は充分あり得るという結果になります。
この場合、EPSが1113.32円だとすれば、予想日経平均株価は以下の通りです。
理論上の予想日経平均株価=1113.32×27.8=30950円(注2)
経験的な予想日経平均株価(max)=26160円(注1)
理論計算と経験値での予想には4790円の差がありますが
通常は経験則を重視する方が現実的でしょう。
因みに2015年度の名目GDP成長率は、年初の政府試算では2.7%です。
また日本の長期国債金利は、この1年間概ね0.4%~0.9%で推移していますが
今後米国債の金利が上昇すれば、連動して上昇する可能性があります。
その理由は、極めて安定的な国債である米国債の長期金利が上昇した時に
日本だけ低金利のままでは、資産の保管的な投資先として魅力が無くなるからだと言われています。
つまり国内の長期金利が上昇し、尚且つ名目GDP成長率が下方修正される可能性も充分ある訳です。
例えば長期金利0.4%➡0.6%、名目GDP成長率2.8%➡2.5% の場合は以下の様になります。
リスク・プレミアム6%の時 PER=1÷(0.6%+6%-2.5%)=24.39(倍)
理論上の予想日経平均株価=1113.32×24.39=27150円
【まとめ】
◇日経平均株価を中長期的に予測するためには
長期金利(含む金利差)、名目GDP成長率、EPS等の動向を常に把握しておく必要があります。
無論、将来の株価指数が幾らになるかは誰にも分かりませんが
これらの指標に注目しておけば、少なくとも中期的なトレンドは判断しやすいと思います。
◇今年金融市場が最も注目していることは、米国が政策金利を引き上げた場合
投資マネーの流れがどの様な変化を見せるかということでしょう。
もしかすると世界的な株高にブレーキが掛かる可能性もあるので
個人的には、日経平均2万円だの3万円だのと、あまり浮かれない方が賢明だと考えています。
◇2015年度の楽観的な見方として
日経平均のPERは23%台(26000円台)まで上昇し、そこが一旦節目になる。
◇同じく悲観的な見方として
過剰流動性相場の収縮が始まり、日経平均が20000円を突破しても維持することは出来ない。
まあ幾つも予想すれば、どれか一つくらい当たるとは思いますが^^
個人的には米国の利上げ時期(9月頃?)が明確になるまでは慎重な姿勢で臨むつもりです。
くれぐれもお祭りで小遣いを使い果たさない様お気を付け下さい! ○┓ペコッ