(略)
実は彼の母方の家系には、バーゼル協会の牧師長であり、当時の精神科医のリーダーとして、
また、霊能者として知られた祖父のゼムエル・ブライスヴェルクがいた。
同じく霊能者として有名であった祖母のアウグステ、
そしてAの母自身や、叔母のゲルトルートとその一家の人々なども、
すべて霊能力をもっていたそうである。
世界でも、スイスとイギリス、より正確にいえばスコットランドほど、
幽霊や精霊どもが跋扈するところも少ないが、
それは寒冷で閉鎖的な土地柄によるのかもしれない。
そして、霊媒を中心とする交霊会がよく行われ、
Aの母もこれによく参加して、
幽霊を見たことや奇妙なできごとについての日記を残していたといわれている。
Aはこの母方の従兄妹たちとも、かなり親しく遊んだりしていたようだが、
しかし、このことは『自伝』では、まったくふれていない。
おそらく、それを書くことで、誤解を招くことを恐れたのか、
あるいはAにとって、現実に霊を見るか見ないかということは、
それほど大きな問題ではなかったからなのかもしれない。
彼にとって、霊や魂のような無形の存在は、
いずれにしろ、実在するものであった。
(略)
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★「ユングの心理学」
秋山さと子著 講談社現代新書 660円+税 1982.12.20.第一刷 2000.5.15.第三十七刷
P.25~26より抜粋・改変 上記のA=ユング
ユング研究者であった河合隼雄の著作や、
村上春樹の創作方法が、ユングと関係していることをエッセイから知って、
前々からユングには親しんでいるつもりだった。
けれど、正式な書籍というものを読んだことがなかったので、
古書店で見つけた、この入門書を手に取った。
大変に読みやすく、しかもオモロイ。
フロイトやアドラーとのやり取りも描かれており、
そのあいだに構築されていった、ユング心理学の発展過程もよくわかる。
また、抜粋した箇所は自叙伝にも書いていない部分だというので、
昨晩に引きつづき、またまた興奮して鼻血が出そうだ。
ユング自身、抜粋箇所だけでなく、他にもいろいろと不思議体験をした男らしい。
驚いたのは、秋山さと子自身が、
村上春樹が創作の時そうするように、
意識の地下2階へ降りていく体験を書いていることだ。
村上春樹も書いていたが、
この作業には、たいへんに危険を伴うのだという。
もしも意識の地下2階から帰還出来ないと、精神病院へ入院することになる。
そんなわけで、意識の地下2階へ降りていく具体的な方法が、
ここには書いていない。
知りたい。
明日、村上春樹に訊いてみる。
禅に関係しているのだろうか?
PS:朝日新聞書評に、三浦しをんが書いているのを
行きつけの書店で見つけた。
(いつも、読売・朝日・毎日・日経の書評が展開されている)
その朝日新聞の書評から、右方向へカニ歩きしていくと、
しをんの書評した「見てしまう人びと」が一冊あるではないか。
しをんがこの書籍を手にした理由を考えると、
なんだかオイラの癪にさわるような気がして、買ってしまう。
オイラが神社で視た「光」がなんなのか、
それを大きなテーマにして小説を構想している最中なのだから、
なんとしても、医師である著者のオリヴァー・サックスをやっつけないといけない。
あらかた読んで、「聖なる病」という章が、オイラの知見に関係しているとわかった。
オイラに側頭葉てんかんは、ない。
ジックリと料理してやるからな、オリヴァ~。。