養老孟司はスティーブン・キングをよく読むと、書籍で語っていた。
まだまだ小説を読むという経験時間の少ないオイラにとって、彼はよく知らない作家の一人だ。
いま手にしている書籍の表紙には、そのスティーブン・キングが写っている。
彼は両足をデスクの上に投げ出して、腿の上でペンを走らせている。
なかなか筋骨質な体をしている。
デスクと椅子のあいだでは、愛犬がこちらに顔をむけている。
彼の作品をまだ一冊も読んでいないというのに、
オイラは彼を、自分の教師として雇うことを決めた。
★「書くことについて」
スティーブン・キング著 小学館文庫 800円+税 2013.7.10.初版第一刷
彼の履歴をみて、そうだったのかと思う。
「キャリー」や「シャイニング」を書いた作家だったのだ。
両作品とも、幼い頃に映画で視たことがある。
前半では、彼の自伝的な話となっていて。
なかなかユーモラスな表現をしている。
こうした表現は、米国人作家によくみられるスタイルなのだと認識している。
初っぱなの方で、「文章は削って書け」という北方謙三方式が披露される。
「キャリー」が初めて大きな金額で契約された段、オモロイ。
後半で、いよいよ「書くことについて」の彼による信条が語られてくる。
「受動態は極力避ける」、「地の文で副詞を多用しない、いや使うな」まで読んだ。
「お願いだから、そうして欲しい」などと、頭まで下げられてしまった。
同時にネットで読み込んでいる、某ベテランシナリオライターの語っていることと、
重なり合う部分も目にすることができて、興奮している。
187ページの部分に、オイラは今いる。
目の前には、スティーブン・キングがいて、オイラに向かって語りかけてくる。
受講料がたったの800円でイイなんて、彼は太っ腹な男だ。
残りの225ページが、楽しみで仕方がない。