「波乗り投資法」の読者からの質問です。
「先生は、現在、アベノミクス相場の7合目付近と見ているようですが、新しく買ってもいいでしょうか。私は45歳の主婦、貯金と親からの援助で1,000万円の貯金があります」
(先生なんていわれると……)「まあいいや」その先生の考え方です。
9月の株価は、投資信託などの配当取りのため株価が上伸し、新値をつけたところで反転して終了しました。予想より若干強めに推移した感じです。
10月は、世界的な株安と日銀短観や小売店の販売不振などから大幅な調整となり、16,000円を大きく割り込むスタートとなりました。為替が一時110円台をつける急激な円安になりましたが、株価が上昇しない現象も見られました。
株価は新値をつけたとはいえ、円安のためドル換算の日本の株価は下落基調にあり、外国人投資家の懐は決してよくはありません。今年に入っての株高は、日銀のETF買いと年金資金などの政府系資金によるもので、ヘッジファンドなどは、買いポジションを整理している段階と思われます。
需給関係に従来の国内勢買いの外国人売りに、9月ころから投資信託の買いが加わってきました。おそらく、富裕層などからのタンス預金の移動が、始まったものと推定できます。
10月の株価は、円安による企業業績の向上や良好な需給に支えられて、上昇基調は変わらないと見ていますが、ヘッジファンドの売り崩しや、下値待ちの投資信託などから、下に振れる荒い値動きも予想されます。
そこで、「7合目は買いか?」というテーマで、この相場にどう対応するかを考えてみました。
登山の7合目は、山頂は見えてきますが、山容が変わり、傾斜が急になり、「胸突き八丁」と呼ばれています。それでも登らないと登頂は果たせません。
相場の7合目でも、そろそろ天井が見えてくる段階に入ります。当然、その先を考える人も出てきて強弱感は対立し、値動きが荒くなってきます。選別物色が一段と高まりますので、長期投資家にとっての投資環境も、従来の買い一辺倒では通用しません。
10月末から11月にかけては、企業の決算発表シーズンとなりますので、全体としては業績動向を見極めるまで、大きな上昇は期待できません。円安の動向を注視ながら、国外移転の進んだ企業の安値を拾っていきたいものです。
「波乗り投資法」では、世代と資金に合わせ、
45歳以下で、資金が1,000万円以下を「ためる」世代、
45歳から65歳で、1,000~5,000万円を「ふやす」世代、
65歳で、5,000万円以上を「あそぶ」世代として、
ファンドを作り、投資資金を株式で保有することにしています。
昨年から「波乗り投資法」を始められた方にとっては、このような投資環境の中にあっても、従来通りの投資方法を継続することで問題はありません。
問題は、これから「波乗り投資法」を始めようとする方の投資方法です。世代ごとに整理してみると次のようになります。
1.「ためる」世代
もっともリスクが取れる世代です。投資額によりますが、値動きのいい中小型株の中から、出遅れている銘柄を1~2銘柄選び、安値のときに思い切って購入しましょう。市場では、やっと株価の循環物色が見られるようになりました。いい株が思わぬ安値で買えるかもしれません。
値幅取りを狙いますが、天井が見えていますので、ここから2~3倍になる株は期待できません。2割ほど値上がりしたら売却して、安い株に乗り換えれば、目標に一段と近づくでしょう。
時間は十分あります。「急がば回れ」の心境で、変な癖をつけないで、株の経験を身につけましょう。
2.「ふやす」世代
1,000万円の全部を、株に投入するにはリスクが多すぎます。これから、2割上げても3割下落する可能性があります。天井期に株を売却できれば問題ありませんが、そんなことは神様でも無理です。
500万円で、次の相場でもテーマとなりそうな業種の中から、今期の業績が向上し、配当利回りが1~2%の銘柄を5銘柄ほど選び、全般相場が下げたときに少しずつ購入してみてはいかがでしょうか。
安値拾いに徹して、決して追従買いをしないことです。チャンスは次の相場に必ず来ます。残りの500万円は、次の相場に備えてキャッシュで持ち越すようにします。
この時期、配当利回りだけで選定するとかえって危険です。利回りが3%もある銘柄には、隠された欠陥がある「ボロ株」か、値動きのない大型株が多い点に注意が必要です。
大型株は不況抵抗力があり安定していますが、値動きが鈍く長期に持っていても、資産形成という面で問題があります。ただ、ここからの買いとしては、外すわけにはゆきません。新興市場銘柄は、すでに相場を出し切って「ババ抜き相場」に入っています。
インフラ設備とエネルギー関連業種から、海外展開が進んでいる一部市場の中小型株を中心として、大きく上昇していない銘柄が狙い目のような気がします。中長期的に見て、日本経済にとって求められる業種はなにかを、政治状況を見ながら選んでゆきましょう。
3.「あそぶ」世代
5,000万円あったとしても、株を購入し資産を増やすには時間の余裕がありません。
残念ながら今回の相場での投資は諦め、資産管理、税金対策などに注力し、次の相場に備えてのトレーニングをお勧めします。
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「波乗り投資法」は、「流れを読んで波に乗る」ことが基本です。なかでも大きな流れを読むことがもっとも大切です。買うのは底値から上昇期にかけてで、それから先はポートフォリオの入れ替えだけです。山で例えるなら、1~3合目までに買い出動し、7合目では、利回りに注意するだけで、特に動く必要はありません。
配当利回りが、1%を切ったら、持ち株の中から2%以上の株を買い、銘柄を入れ替えます。あとは「株価の動きに一喜一憂しない」で、遊んでいても資産と配当金は増えてゆきます。
「波乗り投資法」の「14年10月版」は、キンドルストアにて306円でご覧いただけます。電子書籍は、追加編集が比較的容易にできますので、上記「日記」を含む相場見通しを、毎月追加編集して刊行しています。