佐藤:巻き込まれないように注意する──というのは修羅場を作らない重要なポイントだけど、
僕の場合は、巻き込まないように気を付けています。
というのも、北方領土交渉のときに、最後に必要なのは政治力だと思って、
鈴木宗男さんに外務相を助けてくれとお願いし、
結果的に不幸な形で巻き込んでしまった経験があるからです。
そうそう。僕は何をするにしても猫に相談します。
猫は信用できますから。
西原:かわいいですよね。でも、餌をもらうとよその人でもついて行っちゃう。
裏切りますよ。
佐藤:いえいえ。自ら積極的に東京地検特捜部に駆けこみ、供述書を作ったりしませんよ。
その点において、猫は信用できる。
西原:佐藤さん、本当に大変な修羅場をくぐり抜けてきましたね。
佐藤:大したことありません。
事件の容疑者になって、メディアスクラムで三ヶ月間ホテル暮らしを強いられ、
自宅の郵便物を報道陣に荒らされて、
逮捕されて足かけ五一三日間独房に入れられて、公判に四五〇〇万円かかって、
裁判に八年を要して、外務省をクビになったくらいです。
ハムラビ法典の「目には目を」じゃないですが、
やられた範囲内での復讐しか考えていませんよ。
西原:ははは。
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★「修羅場の極意」
佐藤優著 中公新書クラレ 800円+税 2014.6.10.初版 2014.6.20.2版
「対談 最悪のシミュレーションだけすればいい 西原理恵子」P.209~210より抜粋
オイラが捕まったとき、こういう話を知っていたわけではなかった。
けれど、オイラが拘留されているとき、独房ではなかったので、
そこにいた先人の話から、上の赤字部分のような状態になることを察知できたのだ。
その先人は福岡で働いていたのだが、社長の命令で仕事をした際、
それが外為法違反となり神奈川で逮捕、抑留期間はすでに1年を過ぎようとしていた。
「自分の意志でやったわけではない」という先人の主張が、抑留延長の原因だった。
オイラの選択は、何も疑義を挟まず、すべて認めてしまい、とっとと釈放されることだった。
先人とは違い、ただの道路交通法違反だったが、
駐車場は道路なのかとか、相手はヤクザとその仲間(面識がある)だとか、待ち伏せされただとか、
そう主張したとたんに、佐藤勝のようになっただろう。
ただし、そうなるに至った経緯的な状況については、つぶさに担当刑事に報告した。
IT談合の詳細と、とある右翼の力を借り、さらに大きな選挙前の複数メール爆弾によって、
首謀者のひとりであった厚労省役人を辞任させたことなどなど。
そして、懲戒免職されることも読んでいたオイラは、
その後の展開も読んでいたし、まんまとそれはハマったんだ。
(オイラも実はその筋なもので、その筋の心が読めたりもする)
これらは、奴らの大きな誤算だっただろう。
その際に、キャリアの警察署長には奴らの息がかかっていた可能性があったのだが、
担当刑事は違った。そこはオイラの賭けだった。
結果としてその賭けは功を奏し、談合系の別件事件の発覚・捜査・検挙にいたり、
敵対する社長解任にまで、こぎ着けた。
(所詮、トカゲのしっぽ切りなんだけど、これが)
これがオイラ流の、ケンカの極意だ。
PS:オイラも猫好きだけど、相談相手は神社の眷属だね。
この時にはまだ、ウインダムはいなかった。
その時の眷属には、弁慶って名付けたんだ。
弁慶は、藤沢の白旗神社で憑いた眷属だかんね。
たくさんささやいてくれて、とても助かったよ、弁慶。