スペイン酒場で、いつものように森さんと飲んでいた。
森さんは歌うのが好きで、
持ち歌すべてを手帳にギッシリと記録しているくらいだった。
彼の歌う曲は、なにかと文学的な匂いのするものばかりだ。
聞くたびに、かならずその歌詞に惹かれるところがあって、
知らず知らず勉強になる。
作詞家って、なかなか凄い。
いつだったか山口瞳、秋元康の歌詞に強く惹かれた。
永江朗は三大詩人の一人に、中島みゆきをあげていた。
たまに思うことがある。
森さんにも言ってみた。
お気に入りの曲から小説を立ち上げることだって、できるんじゃないかって。
趣向は少し違うのだけど、
桜木紫乃が「ストレンジャー」という官能短編を書いていた。
オール読み物4月号だった。
ビリー・ジョエルの「ストレンジャー」が作品の中で
小洒落たアイテムとして登場する。
通りすがりの曲としては、
村上春樹の「回転木馬のデットヒート」にある作品「プールサイド」の中で、
題名をなぜだか明かさないのだけど、
それらは明らかに「アイロン・カーテン」と「ミッドナイトサイゴン」が出てきていた。
デイビッド・ゴードンの「ミステリガール」では、
ふたりの悪役名が、ビリーとジョエルだったのには笑った。
素晴らしいサービス精神だよ、デイビッド。
それに、舞台のひとつに精神病院が出てくるのも、妙に気に入った。
今まで言うのを忘れていたけれど。
オイラが森さんに提案したのは、
こういうやり方ではなくって、
お気に入りの歌詞から純粋にイメージを膨らませていって、
ひとつの小説にするという方法だ。
イメージを膨らませる方法を、ひとひねりする必要はあるのだが、
思いの外、たくさんの作品を書くことができるだろう。
PS:表題の件だけど、昨晩またまた書き込みボタンが全滅していたのだ。
こういうことが続くと、オイラの妄想が炸裂しそうで、ちょっと怖い。
犯人は誰なんだろう?