おいおい、ちょっと計算させてくれ。
アバウトに一冊500円として、その印税はっと・・・
3億5千万部 × 500円 × 10% = すっごくたくさん円
内田康夫より、すっごいやんけぇ!
しかも、その男の書き方ときたら、尋常じゃぁない。
どうやら変幻自在、どんな書き方でも、そしてどんな分野でも書けるようだ。
たとえば。
たくさん連載を抱えていて、
もう時間もないし、新規連載の題名だけ編集者に伝えて確定し、
ストーリーとかキャラのことは後から考えたとしても、すんなり書けてしまう。
しかもそれが、売れてしまう。
実はこのあいだ、NHKで夜に時代劇をやっていたんだ。
残念なことに、最終回だったのだが。
主演は、あの「義経伝説」で義経を演じていたタッキー。
義経ファンなオイラは、彼をすごく贔屓しているのだけれど、
それだけでなく、ストーリーがかなりオモロかったんだな。
それは、「ネズミ小僧」のリメイク版だったんだ。
で、番組の最後に流れるテロップを視て、驚いた。
原作者が、表題にある3億五千万の男だったからだ。
それと、この男はとってもおしゃべりだ。
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広い意味では、ミステリー的な要素っていうのはエンターテイメントを書く上では役に立つし、
大切だと思うので。今は、ミステリーの要素がすごく拡がっちゃってね。それは僕のせいでもあるんですけど。以前はミステリーって言うと、松本清張さんみたいな社会派か、横溝正史さんに代表されるような、名探偵が出てきてややこしいトリックを使ったりする本格もの。そのどっちかでなければ、ミステリーって言わない感じだったんですけど。今は、犯罪が出てくればミステリーって感じですよね。
ただそれだけ広がったために、ミステリーは廃れないっていうのもあると思います。SFは一時はブームになったけど、尻すぼみになってしまって、一時は四誌か五誌あったSF雑誌はほとんどつぶれちゃった。今は、サイエンスの部分が抜けてただのファンタジーになってしまって。そういう点で、ミステリーっていうのは息が長いんですよね。広く犯罪をとりあげえていればミステリーって言っちゃうんで。
僕も大変ですよ。長い連載やってて、終わる頃に「さてどうやって終わろうか」なんて、大体三分の一になるくらいまで、自分で書いてても犯人がわからないですからね。「誰にしようかな?」みたいな。
だから最後になってつじつまを合わせるのが大変。どうしても合わないとこはしょうがないから、本にする時にゲラで直したりしますけど。
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★「作家の決断」
阿刀田高編 文春新書 850円+税 2014.3.20.第一刷
「赤川次郎」P180~181より抜粋
他にも参考になることが満載、んとにおしゃべりな男。
いろんな作家のイイところを盗まないで、どー書けっていうんだ。
一応、あがくだけあがいてみるのだ。
オイラが一番書きたいことは、
SFバージョンでは実名が祟って予選落ちではあったが、
上の話から、ミステリーにもなるってことがわかった。
オカルトにもできると思う。
真面目に書けば、純文学的な私小説にだって書けるだろう。
そんな風に想うと、楽しくなってくる。
赤川次郎の話から得たことって、けっこう大きいぞ。
一粒で、何度もおいしいぞ。