元祖SHINSHINさんのブログ
文学界の田原俊彦
文藝春秋で読んだのだったか、
選評会に遅刻してきた村上龍を怒鳴りつけたことのある作家。
「石原慎太郎を読んでみた」の中で、
著者である豊崎由美から、半ば呆れられながら「テルちゃん」と呼ばれていた男。
冒頭に出てきた村上龍との対談で、
「僕って、天才なの」などと、のたまわった戯れ者。
この3点の情報から、この作家の性格など全貌を知ることは難しい。
しかし、オイラは彼の作品を読んだことがなかったので、
どんだけ天才なのか、読んでやろうじゃないかと思ったのだった。
かつて、同様な流れで
川上弘美と山田詠美の作品を読んで、
カウンターパンチをくらい、いとも簡単にノックアウトされたのだが。
★「螢川・泥の河」
宮本輝著 新潮文庫 400円+税 H6.12.1.発行 H17.11.10.十四刷改訂 H23.4.20.二十刷
風景描写の美しい作家だと思った。
特に「泥の河」の方で、オイラが真面目に書く時の文体に似ている。
それでも印刷されている文章からは、
オイラにはまだ書けそうにない部分が真っ赤に燃えるように映る。
「螢川」は芥川賞受賞作で、今でも人気のある作品だという。
最近の受賞作に比べて、なるほど遥かに美しく、オモロイ。
また、桶谷秀明という人の書いた解説がえらく秀逸に思え、学べる。
両作品は、宮本輝の若くしてデビューした時のものなので、
彼の作品を追跡することによって、彼の円熟していく筆致を辿ることができそうだ。
今のところ作品によって文体を使い分けるという手法など、
とても真似ることは出来そうにはないので、
しばらくは宮本輝の筆致etcを学んだ方が、自分にはイイように思える。
しかし、これで一層、宮本輝という人がどんな人なのか、わからなくなった。
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