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介護用ロボットの市場予測と関連銘柄

今年に入り介護用ロボット関連銘柄の株価が軒並み高騰していますが

その理由として以下の4つの材料が挙げられます。

①2015年に保険適用が認められる(9割を国が負担、市場が一気に拡大する可能性)

②介護用ロボット購入補助制度の創設が決定した(2014年度:経済産業省)

  http://www.robonable.jp/news/2013/12/meti-1211.html

③介護用ロボット開発企業5社(採択事業者)に対し国の支援が決定した

④介護用ロボットのパイオニアとされるサイバーダインの東Mへの上場(3/26)が決まった

 

確かに①②は市場の拡大に弾みが付く好材料ですが

介護や医療の現場では賛否両論があるのも事実です。

そこでまず介護用ロボット導入に対する問題点について考えて見たいと思います。

 

◇導入してもコストが低下しなければ意味が無い(ロボット一体にかかる費用<一人分の人件費)

◇ロボットを操作するノウハウや人材が新たに必要になる

◇介護の現場で業務の効率化は決して優先されない

◇介護業務には臨機応変な対応が求められるため、ロボットを導入しても介護職員による監視が必要

◇機械だけに突然故障する可能性がある(故障に伴う危険性はゼロなのかという懸念もある)

 

つまり介護用ロボットの保険適用や補助金制度が認められても

市場が急拡大するかどうかは疑問だというのが実状かも知れません。

 

次にに関してですが

2013年度に経済産業省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の採択事業者が決定し

介護目的のロボット開発と普及事業が開始されました。

当事業では、性能は勿論、安価で使いやすいという点が重視されています。

採択事業の内訳は、装着型移乗支援4件、非装着型移乗支援7件、移動(歩行)支援9件

排せつ支援5件、見守り支援21件となっており

国家プロジェクトとして、2015年度までの製品化を目指す予定です。

 

因みに採択事業者は以下の5社に決定しています。(各社の開発状況も併記して置きます)

 

1925 大和ハウス工業
装着する人の意思を感知して歩行動作をアシストする「ロボットスーツHAL」

サイバーダイン(3/26東・M上場予定)と共同開発
「ロボットスーツHAL福祉用」は現在全国58施設に販売、160施設にレンタル中
自動排泄処理ロボット「マインレット」

及びアニマルセラピー効果で認知症対策を担うロボット「パロ」を開発
2374 セントケアH.D 
リハビリ支援・服薬指導ロボットの開発、

2014年に同社がサービスを提供している有料老人ホームや高齢者の自宅で試験使用を始め

2015年に実用化の予定(千葉銀行が融資支援)
3444 菊池製作所 
介護用マッスルスーツ開発(圧縮空気を用いた人工筋肉を採用)
5191 東海ゴム工業
世界初のヒトを抱き上げるヒューマノイド型介護支援ロボット「RIBAⅡ」

(体重80kg対応)を開発、2015年の実用化を目指す
その他、スマートラバー応用製品(床ずれ防止マットレス他)及び

マートラバーセンサとカメラを併用した見守りプラットフォームの構築 など
9749 富士ソフト
高度な人工知能を持ち患者と会話出来るヒューマノイドロボット「PALRO」

(販売価格:一体67万円)を開発し高齢者福祉施設に販売
同社の組み込み系ソフトウェア技術を駆使した製品で認知症対策にも期待されています
 

<介護用ロボットの市場予測と高齢者の人口動態予測>

 

2013年の介護用ロボット市場(メーカー出荷額ベース)は前年比125.3%の2億1300万円ですが

介護現場には殆ど普及していないのが実態の様です。

しかし今後、購入補助制度の創設や介護保険制度の見直しが行われると同時に

要介護認定者も増加することから

国内の介護ロボット市場(メーカー出荷額ベース)は、2015年度が23億円

2020年度にはおよそ350億円に拡大すると予想されています。

 

ただ今後は産業用ロボットメーカーの新規参入やコストダウンが求められることから

高齢者人口の増加や慢性的な介護職員不足という追い風はあるものの

株式市場が熱狂するほどの市場規模に発展するかといえば、個人的には少々疑問を感じます。

 

65歳及び75歳以上の人口動態予測はこちらをご覧下さい

                                       

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link1-1.pdf

 

<その他の主な介護用ロボット関連銘柄> (コード順)

 

3443 川田テクノロジーズ     リハビリ補助用介護ロボット

3741 セック           防衛・宇宙・ロボット
6268 ナブテスコ         介護用ロボット用RV減速機
6302 住友重機械工業       介護用ロボット用サイクロ減速機
6324 ハーモニックD.S      介護ロボット用波動歯車減速機

6433 ヒーハイスト精工      介護用ロボット球面軸受け
6506 安川電機          リハビリ用介護ロボット
6752 パナソニック        介護用ロボット(抱き上げロボ・ロボベッド)

            

                  リハビリ支援用アシストスーツ

6845   アズビル          歩行支援用介護ロボット「お助け歩行車」
6869 シスメックス        川崎重工と共同で低コスト且つ信頼性の高い

                                                   国産医療用ロボットの事業化を予定
6981 村田製作所         介護用ロボット(電動歩行アシストカー)
7011 三菱重工業         介護用ロボット(おしゃべりロボット「わかまる」)
7012 川崎重工業         2015年をメドにシスメックスと共同で医療用ロボット開発
7203 トヨタ自動車        歩行支援用ロボット
7267 本田技研工業        歩行支援用ロボット
 

 

 

2件のコメントがあります
  • イメージ
    イマージさん
    2014/3/2 23:29
    こんばんは

    介護はなかなか株式投資に値する利益が出せる企業が見当たらない状態が続いていますね。
    設備や人員、価格が細かく規制されているにも関わらず参入自体は自由な市場ですし、参入する社会福祉法人は「福祉を行うこと」が目的で「利益を上げる」ことを目的にする団体ではありません。だから赤字でも存続させることのほうが重要になります。

    利益が出なくても退出しない事業者ばかりの市場で上場企業はなかなか戦えないわけです。

    題目のロボットですが、人型というのは普及が難しいと思います。
    指摘の通り、コンピュータが人間の手を離れて独立できるほどの技術力はありません。常に人間の監視は必要になるでしょう。
    あくまで、ルーチンワークとして単純作業を代行できるものが中心になってくると思われます。
    そうなると日記の銘柄は殆ど外れてしまうわけではありますが・・・・・

    私は当面の高齢化の需要を利益にできるのは価格が統制されている調剤薬局だと思いますよ。
    アインファーマシーズや日本調剤など、年々増益していますしね。
  • イメージ
    kabukabumanさん
    2014/3/3 03:03

    イマージさん こんばんは。

     

    介護事業に関しては全く同感です。

    確かに介護現場の人手不足は深刻ですし過酷な労働にも関わらず賃金も安い。

     

    儲からないシステムなので仕方ないと言えばそれまでですが

    こうした現場の実態を知れば知るほど

    介護ロボットは研究者達の自己満足に過ぎない様な気がして来るのです。

     

    イマージさんが仰る様にルーチンワークなら可能だと思いますが

    それでもコストの問題が解決しなければ無用の長物ではないでしょうか。

     

    個人的にはマイクロサージャリーの分野などで活躍出来る

    医療用ロボットの方が余程将来性があると思います。

     

     

     

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