kabukabumanさんのブログ

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ヘッジファンドの思考を考える(株価操縦に後付け理由は付き物)

世界には現在、約1万のヘッジファンドがあり運用残高は約2兆ドルと言われています。

しかし2008年のリーマンショックをきっかけにヘッジファンドに対する規制強化の声が高まり

米国では取引の詳細な届け出義務などを定めた金融規制改革法である

「ドッド・フランク法」が施行されました。

その結果ヘッジファンドの行動範囲は狭まることを余儀なくされましたが

そんな彼等の息を吹き返す出来事がアベノミクスでした。

 

つまりヘッジファンドは昨年日本株の需給を一気に好転させる立役者になった訳です。

しかし彼等の投資手法は基本的に売り買い両建てのため

国内勢は勿論、海外の機関投資家などが次々と日本株買いに走ったことから

買い建て玉が下がり、売り建て玉が上がるという

彼等にとって不測の事態が生じたのではないでしょうか。

昨年ヘッジファンドの運用成績が悪いと言われたのはその所為ではないかと思います。

 

そこで彼等は巻き返しを図るために年末にかけて日経平均株価を吊り上げ

年が明けると一気に売りに転じるという荒業に打って出たのでしょう。

その際、売りの口実になったのがQE3の縮小による新興国の通貨安であったり

中国のシャドーバンキング問題でした。

要するに彼等はある程度織り込み済みであった筈のQE3縮小の弊害や

システミックリスクを伴わう可能性が殆どない中国のシャドーバンキング問題を

まるで世界的な金融恐慌に発展するかの如く扇動し売りを誘ったのだと思います。

 

この作戦に東京市場はまんまと嵌りNISAの出鼻も挫かれる結果になりましたが

事の発端となった中国やアルゼンチンの株価推移を見れば

東京市場が如何に翻弄されたかが良く解かります。

 

無論昨年末に高騰した反動だという理由はもっともらしく聞こえますが

上げた張本人も彼等ですから、冷静に考えれば単に振り回されただけに過ぎません。

 

さらに年初から日本株が売られたもう一つの原因として

アベノミクスに対する失望感がしばしば話題に上りますが

これも売るための口実だと考えれば、国内投資家を売り場に殺到させるには

これほど持って来いの理由はないと思います。

 (一つの見解に過ぎませんが)→ http://zai.diamond.jp/articles/-/157629?page=2

 

恐らく海外投資家の多くが失望しているという訳ではなく

昨年の様な熱狂的な期待感がやや後退したという捉えでいいのではないでしょうか。

つまり個人的には暫く様子見姿勢が続くという認識を持っています。

 

この他にも、ソロス氏が日本株を売っているという情報も流れましたが

事の真偽は別にして、個人投資家の心理を揺さぶる効果は充分あったことでしょう。

しかもネット社会では発信源が解からないまま何時の間にか噂が噂を呼び

根も葉もないところからパニック状態を作り出すことも可能です。

 

そうなると個人投資家は株を売買しているのではなく売買させられているのと同じです。

私は「投資は一に勉強二に勉強、三・四は努力で五が技術」などと偉そうなことを良く言いますが

要するにマスコミ報道やネット上の情報を鵜呑みにする前に

自分で出来る限り事実確認を行う努力が大事だと言いたいのです。

 

また、こうした心構えは個別銘柄の投資に関してもそっくり当て嵌まります。

つまり四季報や株式掲示板の情報などを主な判断材料にするのではなく

自分が当該企業の内容をどこまで理解しているかが投資の成果を得る最大のポイントです。

そのためには決算書や有価証券報告書(業績・財務・ステークホルダー等の把握)は勿論のこと

その企業が目指す方向や将来性、さらには成果の進捗状況を知ることが重要で

IRを過去に遡って検証するなど、自分に出来る最大限の努力が求められると思います。

 

話を戻しますが

ご存知の様に株式市場は不平等の上に成り立っています。(東京市場はプラス不健全)

何故なら投資家を大別すると株価を動かす側と動かされる側に分けられ

我々個人投資家はその殆どが動かされる側に属しています。

 

株価を動かす側とは国内外の機関投資家やヘッジファンドのことですが

(ここでは敢えて株価操縦を行うヘッジファンドを指します)

個人に比べれば資金力は勿論のこと投資環境にも大きな差があります。

 

例えば一昨年、東証がアローヘッドの処理能力を2倍に引き上げ

注文から約定までにかかる時間は1000分の1秒以下に短縮されました。

しかしヘッジファンドはさらその10倍の速度で取引を成立させるシステムを使用しており

見せ玉が使われてもチェックが追い付かないと言われています。

 

つまり株式投資はハンデ戦ですから

個人が生き残るためには株価を動かす側の思考回路や投資手法を理解する必要があります。

しかし彼等の投資手法については殆どの方が理解されていると思いますが

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%89

それが解かっていても個人投資家には為す術がないというのもまた現実です。

 

そこで彼等が仕掛け易いタイミングについて考えてみると

それは相場が上昇または下降トレンドの何れかの環境にある時ではないかと思います。

何故なら相場自体が動いている時は僅かな材料でも株価が敏感に反応し易いからです。

(但し小規模のヘッジファンドは閑散相場で介入することがあります)

 

しかもここで言う相場とは株式市場に限らず、債権・為替・商品など全ての金融市場が対象です。

つまり夫々の金融市場は互いに関連し合っていますから、複数の市場を股にかけて相場を操れば

効率良く利益を得ることが可能です。

 

例えば日本の株式市場が上昇トレンドにあると判断すれば日本株を買い込んで円を売り

株価が上昇したところで売り抜ければいい訳です。

しかもトレンドが上向きであれば株価の上昇も加速し易いので利益も大きくなるという訳です。

勿論下降トレンドの場合も同様に、空売りしておいて円を買う

或は人知れず不安材料に尾ひれを付けて売りを誘うこともあるでしょう。

新興国の通貨安騒動や中国シャドーバンキングのデフォルト騒動の裏には

そうした彼等の巧みな陽動作戦が潜んでいるかも知れません。

 

まとめ>

投資の世界では正義の味方より詐欺師の方が圧倒的に高い確率で勝者になれると思います。

例えばゴールドマン・サックスもモルガン・スタンレーも私に言わせれば立派な詐欺集団ですが

その手口が非合法でないところに

資金力や投資環境とは異なるもう一つの「相場の不平等性」があると感じています。

 

ですから我々個人投資家が彼等の手口に翻弄されないためには

逆に彼等の動きを観察する習慣を身に付けることが重要だと思います。

具体的な例を挙げると

◇上昇相場に酔わないこと、下落相場で悲観的になり過ぎないこと

 (株価も為替もその変動幅には許容範囲があり、異常な相場は必ず正常に戻ります)

◇喜ばしい情報も不安な情報も鵜呑みにしないこと

 (出来るだけ多くの情報源から自分なりの答えを導き出すことが大事、答えが出ない時は休む)

◇ヘッジファンドは小さな市場を動かして大きな市場で利益を得るのが常套手段

 (NK225寄与度上位の株価推移と先物手口情報くらいは常に注視して置くと良いでしょう)

◇ヘッジファンドの日本市場担当者はせいぜい2~3人が普通なので

 それだけの少人数で上場3400社余りを全てチェックすることは不可能です。

 そうすると個別銘柄の場合彼等が目を付けるのは値動きの荒い銘柄、中でも材料が豊富であったり

 信用買い残が極めて多い場合はターゲットにされる可能性が高くなると思います。

 

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