読み始めは、ほーほーなるほど、たまには恋愛物・時代劇が直木賞なのかぁと思った。
ところが、少し読み進めていって、「安政の大獄」の描写に至ったところで、
ページをめくる手が止まらなくなった。
樋口一葉の実在した女師匠の描写とその暗い過去、崇徳院の和歌、安政の大獄、水戸藩の内乱、
複数の材料がミルフィーユのように重なり合い、絶妙な文学的味わいや香りを醸し出している。
作者の並外れた手練に、たじたじに舌を巻いている自分がいた。
こういう感覚は、大沢在昌の「新宿鮫」シリーズを読んで以来だ。
こういう凄い作品に出会ったときの、喜びはひとしおだ。
これぞ、直木賞!
★「オール読物 3月臨時増刊号」
直木賞受賞作「恋歌」朝井まかて著 文藝春秋 762円+税
長篇ということで、第一章しか掲載されていなかった。
この作品は、絶対に買いだ、参った、もう完全にシビれた!
早く、正式版を入手して、先を読みたいっ!