東京株式市場はいよいよ明日から2014年の相場がスタートします。
今年の相場予想は全般的に強気のコメントが多い様ですが、その根拠は
円安を背景に企業業績が2007年の過去最高益を更新する可能性が指摘されており
そうなれば日経平均株価は2007年の高値18261円を上回っても不思議ではないという訳です。
但し2007年と2013年では日本の経済構造がかなり変化していますので
その辺りを少し検証してみたいと思います。
◇為替(年間平均)・・・対ドル/円 → 2013年( 97.1円)、2007年(117.8円)
対ユーロ/円 → 2013年(128.5円)、2007年(161.2円)
◇経常収支・・・・・・・2013年(610億ドル:IMF推計)、2007年(2121億ドル)
◇貿易収支・・・・・・・2013年(-1029億ドル:推計)、2007年(+1046億ドル)
◇日経平均年間騰落率・・2013年(+52.4%=バブル崩壊後上昇率最大)
2007年(-11.13%) *バブル後最大の2005年(40.24%)を上回る
次に業界別の業績推移(H20~H24の5年間)を見ると以下の様になっています。
*H25年はアベノミクス相場によって業界地図に変化が起こっていますのでご注意下さい。
但し今後緑から赤に飛躍しそうなセクターを狙ってみるのも一考かと思います。
売上高が伸びた業界 (単位%)
①モバイル(11.2)、②インターネット(10.9)、③介護(10.6)、④ガス(4.8)
⑤IT(3.0)、⑥証券業(2.9)⑦製薬(2.7)、⑧石油(2.6)、⑨通販(+2.5)
⑩外食産業(2.5)、⑪食品(2.4)、⑫コンビニ(2.0)
以下・・・損保、電力、スーパー、その他金融
売上高が減少した業界 (単位%)
①家電(-4.4)、②銀行(-3.6)、③海運(-3.4)、④半導体(-3.3)、⑤建設(-3.2)
⑥総合商社(-2.7)、⑦家電量販店(-2.7)、⑧百貨店(-2.6)、⑨自動車(-2.5)
⑩繊維(-2.4)、⑪鉄鋼(-2.3)、⑫レジャー施設(-2.1)、⑬空運(2.0)、⑭印刷(-2.0)
以下・・・機械、精密機器、自動車部品、化学、陸運、人材派遣、不動産、旅行業など
ところで2014年度の為替予測は1ドル110円を超えるかどうかに議論が集中していますが
仮に110円になったとしても2007年も117.8円には到底及びませんし対ユーロも同様です。
また2007年の日経平均PERは年間を通じておよそ20倍でしたが
2014年度を16倍と仮定すれば日経平均株価は単純計算で25%割り引いて考える必要がありそうです。
次に株価に対してポジティブな材料とネガッティブな材料、さらに不確定要素について考えます。
◇ポジティブ材料
①企業利益が過去最高水準に達する可能性がある
②事業規模18兆円の経済対策(補正予算の歳出額5.5兆円は消費税増税分8兆円に対して68%)
③日銀による追加緩和(消費税増税による景気への悪影響を回避するため)
④為替は円安基調が持続する
⑤欧米の景気回復
◇ネガティブ材料
①企業業績が伸びたとしても2013年度に比べると大幅な縮小が予測されることから
株価の上値は重くなることが考えられる
さらに原材料や燃料代の上昇もマイナス材料になる
②消費税率アップだけでなく、公共料金、自動車税、各種保険料など値上げ攻勢が続く上に
円安による輸入物価の上昇で個人消費の低迷が懸念される
③新興国の景気後退 (資金の流出に注意)
④証券優遇税制廃止(出来高の減少に繋がる可能性)
⑤ヘッジファンドに対する規制強化が進む可能性大
⑥昨年終盤に日本株を買い込んだ外人が利確する(外国人投資家の平均保有期間は3~4ヶ月)
⑦2013年の日経平均年間上昇率がバブル後最大であった反動が心配される
⑧地政学的リスクの深刻化
プーチン大統領は北方領土を日本に返還するべきとの発言をネット上で行った者に対し
罰金と最長5年の禁固刑を課す法案を成立させ領土問題に対する対日路線を明確にしている
これで日本を巡る領土問題に関しては中・ロ・韓の包囲網が確立されたも同然
◇不確定要素
①FRBのテーパリングがどの様なスケジュールで進むのか?
②市場にインパクトを与えるだけの金融政策を日銀が有しているか?
③期待通りの賃上げが行われるか?
上場企業の給与総額は国内全企業の10%足らずであることから
政府と大企業が一体となって中小企業や下請け企業対策を進めなければ
格差が広がるばかりで根本的な問題解決にならない可能性がある
④外国人投資家の日本株に対する投資判断基準はアベノミクス第3の矢にあり
成長戦略の実施が遅れれば日本株離れが起こる可能性もある
また一部のヘッジファンドが欧州市場へウェイトを移すという噂もある
⑤中国経済は成長路線から安定的向上路線に切り替えており
今後の経済成長は鈍化する可能性が高い
⑥ユーロ圏は依然失業率が高く、マイナス成長を脱したとしてもまだ予断を許さない
この他にも株式市場に影響を及ぼす事象は沢山あると思いますが
2013年の行け行け相場とは違い、かなりの危機感を持って臨むべき一年ではないかと考えます。
それでは今年一年、皆さんのご健闘をお祈りします。