(略)昨日は
あしたのおとといで
おとといのあしたや
それはまあ
しゃあないよなあ(略)
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「文藝春秋 新年特別号」
村上春樹著 「イエスタデイ」P.397より抜粋
ビートルズの「イエスタデイ」を関西弁バージョンで作詞したもの。
「村上ラヂオ2」を読んだ人なら、
前作の「ドライブ・マイ・カー」も、今回の「イエスタデイ」も、
私小説風な作品だとすぐにわかるだろう。
いやひょっとしたら、一部だけ私的な材料を織り交ぜた創作の可能性もあるけれど、
ひょっとしたら、本当に私小説かも知れない。
これは、書いた本人しかわからないことだけど。
「ドライブ・マイ・カー」も、「イエスタデイ」も
お題は「女のいない男たち」なのだと副題にある。
今の世は、生涯独身であったり、離婚したり、家庭内別居などで
「おひとりさま」が増殖しているところなので、
これから同様のテーマは、小説としてウケるのかも知れない。
青山にある根津美術館裏のバーというのが、
「ドライブ・マイ・カー」に出てくる。
本当にあるかどうか、いつか墓参りに行った時にたしかめてこよう。
「村上ラヂオ2」では、昔通った飲食店として出てきていても、
現在は移転している店がほとんどと書いてあったので、
今はもうないのかも知れないが。
それにしても両方とも、オモロイ短編小説だった。
短篇小説は、読後の余韻が大切なのかも知れない。
浅田次郎「月島慕情」のように強烈な余韻ではないけれど、
そこはかとない余韻というのも、イイものだと知った。