(略)語学は楽器の習得に似ている。もちろん努力も大切だけど、生まれながらの才能資質がものをいう。僕のまわりにもそういう能力に恵まれた人が何人かいて、少し勉強すればすらすら外国語がしゃべれるようになる。英語とフランス語とドイツ語とスペイン語とスウェーデン語と広東語と日本語と韓国語がいちおう不自由なくしゃべれる、なんていう人を見ると、我が身が情けなくなる。
僕は学校で英語とドイツ語を学び、個人的に先生についてフランス語とスペイン語とギリシャ語を勉強したけれど、なんとか身についているのは英語だけ。あとはほとんど忘れてしまった。フランス語で今すぐ出てくるのは「生ビールをください」と「それは僕のせいじゃない」くらい(いったいどういう組み合わせだ?)。(略)
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★「村上ラヂオ2」
村上春樹著 大橋歩・画、新潮文庫 490円+税 H25.12.1.発行
「並外れた頭脳」P.194より抜粋
村上春樹でも語学で落ち込むことなんてあるんだ、と思った。
そういう姿が、自分たちの健気な学習意欲に繋がってくる。
オイラもめげずに少しずつマイペースで、英語を学んでいってみよう。
この書籍は、村上春樹のエッセイ集だ。
とても気楽に読めて、オモロイ。
完全に素で語っているのも魅力だ。
彼はどーにも引っ越し魔で、若い頃に青山付近にも住んでいたことがあるという。
青山霊園近辺の飲食店や美術館がでてきて、妙にリアルだ。
外国に住んでいたことも書いてあって、
イタリアにいる時、村上龍が訪れるというので、
いろいろとお願い事をした話などが出てきて。
ダブル村上がこんなに仲良しだなんて、知らなかった。
また意外なのだが、けっこう短気な人らしい。
アンガー・マネージメントについてのエッセーもあった。
彼の長篇にしばしばネコが出てくるので、うすうす感じてはいたけど、
大のネコ好き。「うなぎ屋の猫」という作品もある。
手紙の返信を書いたり、パーティーやスピーチに出るのが嫌い。
結婚式への参加も、すべてお断りする主義。
けっこう、わがままなところがあって、それはもう、ネコそのものといってイイ。
とても他人とは思えないわがままぶりに、笑える。
今でも、日本全国にて神出鬼没らしいことが、文章からわかる。
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「今週の村上」 小田原厚木道路の「シカ注意」の看板が「動物注意」に変わった。
さて、何がでてくるんだろう?
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同書、P.207より抜粋
村上春樹そのものが出てきそうだ。
こんな具合なので、いつどこでだれが村上春樹と遭遇するのか、わからないホントに。
こんなにも身近な男なのかと思うと、その作品にも自然と愛着が湧いてしまうじゃぁないか。
まったく、憎めない男だと思う。