題名を目にし、
オイラは期待を膨らませてページをめくった。
稲荷好きなオイラの指先は、わずかに震えていた。
「いったい、どんな話が飛び込んでくるのだろう」
否応もなく、興奮がわき上がってきた。
端から端まで篤と目にして、
絶対にその秘訣をものにしてやるんだから。
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「狐の嫁入り」
紀元三〇〇〇年になると再び氷河期となり、食用の肉が欠乏し、過去から取り寄せることになった。
同じ運ぶなら、食べでのある恐竜がいい。
このため、恐竜運搬用のタイムマシンが作られた。
これは床にたくさんの穴があいていて、恐竜の小便がすぐさま放出できる装置のついたものである。
(「宇宙塵」1959年1月号)
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★「つぎはぎプラネット」
星新一著 新潮文庫 670円+税 H25.9.2.二刷 P.79より抜粋
「・・・はぁ?」
オイラは唸った。
たった4行の小説。
これだったら、オイラが書いても勝てそうだ。
いやいや、彼は1001編ものショート・ショートを血がにじむような思いでこしらえたんだ。
その中には、こういう首をかしげざるをえないような作品だって、あるのだ。
だけど、だけど、なんか妙だな。。
この場面を想像してみると、続きを書けそうな気分になってくる。
彼の作品を元にしたら、たくさんの絵本が生まれそうだ。
オイラが編集者だったら、そういう方向へ話をもっていって、
絵本作家をたくさん見いだしたいけど。