元祖SHINSHINさんのブログ
長いのがお好き? それとも、短いの?
昔からこれに関しては、根強い論争めいたものがあるようだ。
倉橋由美子や佐藤亜紀らは、完全に長文が好みだ。
それも技巧をこらした詩的表現の満載な長文じゃないとダメなのだ。
こういう趣向の人からすると、削った削った短文というものは、ゴミにみえるらしい。
どうやら文章を読んでみて、
小林秀雄はあんなクソ難しい文章を書いていたくせに、
実は短文が好みらしい。
「雨が降ったら、雨が降ったとお書きください」
という内容を、「作家の顔」の中で書いていた。
いや、これは自分がチェホフというロシアの作家に化けて、
夢の中で語らせた内容だから、真意のほどはわからないのだが。
デイヴィッド・ゴードンという今売出し中な、
その以前にはゴーストライターをやりながら苦労した作家は、
「二流小説家」という作品でブレイクしている。
★「二流小説家」
デイヴィッド・ゴードン著 早川書房 2011.12.31.第9刷
実に多面的な話で構築された小説となっており、
いろいろな賞を受賞しているだけあって、
素直にオモロイといえる内容となっているミステリー。
その中で、彼は表題の件について、実は実験しているのであった。
ベースとなる平素の地合いは、短文調。
でも、作中挿入される「ドラキュラ」の部分は、
技巧をこらした詩的表現満載な長文調となっているのだ。
実に見事なものだと感じた。
そして、「シンシン刑務所」という作中に出てくる名前には、腰が抜けた。
ここでも、きっとデイヴィッドとお友達な村上春樹が、
彼にそう囁いて悪戯しているのだろうと、夢想している。
「1Q84」、「まほろ駅前番外地」、「二流小説家」ときた。
オイラは材料として、どうやら彼等のお守り的なオモチャと化しているらしい。
「こいつを材料にすると、どーいうわけか売れちゃうんだぜ~」みたいな。
今に見ていろよ、オイラだって、オイラだって・・・(泣)