16行×38文字×約7枚=4,256文字。
たったこれだけの文字数で成り立っている「和解」という作品。
しかし、これが不思議とオイラの魂を揺さぶるのであった。
ある男が出世とカネのために、女を捨てて出て行ってしまう。
ところが出奔先にて新しい女の性格が悪く、昔の女がどれだけよかったか忍ぶ。
7年後カネができたので性悪女を捨て、昔の女を訪ねる。
変わらず残っていたあばら家に、なんと捨てた女が待っており、感激の再会となる。
翌朝になって女の人骨を目にし、昨晩の出来事が儚い幻であったことを男は知って悲しむ。・・・①
★「小泉八雲集」
小泉八雲著 上田和夫訳 新潮文庫 670円+税 H24.3.30.56刷
P.12~17「和解」より、要約①
どことなく、夢枕獏の陰陽師のノリである。
因みに夢枕獏は、材料を古典から採っていると文藝春秋で語っている。
以前にも抜粋した柳田国男の「山の人生」と、似たようなところもある。
http://minkabu.jp/blog/edit/499234「文章が短いとリアルになる」・・・②
日経新聞の「星新一賞」は、10,000文字以内でないといけない。
これはとても短く、冗長なことはほとんど書いていられない。
星新一の文体は、どこか朴訥としていて、なにやら懐かしい響きがある。・・・③
①、②、③など考慮した上で、ちょいと書いてみようと思い立った。
生まれて初めて書く小説だ。
エントリするかどうかは、書いてみてから判断するとしよう。
PS:「和解」には、亡くなった女がどういう思いで死んでいったのか、
それを読者に想像させようというトリックが含まれている。
作者はそれを語っていないにもかかわらず。
このトリックこそが、自動的に読者の魂を振るわせる原動力になると考えられる。
浅田次郎バンパイアの「人の心をわしづかみにする右フック」の謎は、
ここに答えの一部分があるのではないか???