東京株式市場で不安定な値動きが続く中、最大手の野村証券が逆に株価予想を引き上げるなど、証券各社は中長期的な上昇に強気の姿勢を崩していない。昨年11月から進んだ円安による企業業績の改善や、参院選後に安倍晋三政権が構造改革に踏み込むことへの期待が根強いからだ。
「現時点では『アベノミクス・ストーリー』はついえていない」
野村証券は13日、平均株価が843円安と今年2番目の下げ幅となったにもかかわらず、年末時点の予想値を従来の1万6千円から1万8千円へ、大幅に上方修正した。
最大の理由は、円安による企業業績の改善だ。円相場は足元で上昇が目立つとはいえ、14日は1ドル=95円台で推移。昨年11月の1ドル=80円前後からみると依然、大幅な円安だ。一方で輸出関連企業の想定為替レートは90~95円が多く、業績の上振れが見込まれる。野村の田村浩道チーフ・ストラテジストは「7月から企業決算が本格化すれば、市場への注目が高まる」と、業績改善を好感した株買いが増えるとみる。
足元で急落と乱高下を繰り返している株価だが、他の大手各社も、一本調子で上昇していたときの予想をほとんど変えていない。大和証券は、主要企業200社(金融除く)の平成25年度の経常増益率を37%増と予想。同社の三宅一弘チーフ日本株ストラテジストは「足元は為替の上下で株価も動くが、中長期的に強気のスタンスは変えない」と話す。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「参院選後、長期安定政権のもとで経済政策が実行される」と見込む。
一方で、メリルリンチ日本証券の神山直樹株式ストラテジストは長期金利の上昇を懸念。「日銀は市場に対して丁寧な対応が求められる」と注文をつける。
(産経新聞)