嫌々庭仕事をしていた。
頭もボーッとしていて。
脚立に登って何となく足下が気になって見ていると、
左手に衝撃があった。
電動ノコの刃先が当たったのだ。
「やっちまった・・・」
そう思って庭先の水道水で血を洗ってみたら、
左手中指の先端から5ミリの部分を骨の周りに沿ってバッサリと切っており、
その肉片は首の皮(指の皮だけど)一枚でぶら下がっているのだった。
そういう部位なので、中指の爪も綺麗にカットされていた。
「たとえ取れちゃってても、自分の肉片は史上最強のバンドエイドなのよ」
四宮(しみや)という当時の循環器病棟婦長がそう教えてくれたのは、
こども医療センターで麻薬金庫に右手人差し指を挟んで、
今回のように肉片を飛ばしたときだった。
この時には、右手人差し指の爪部分がすべて完全にぶっ飛び、骨が丸見えになったんだ。
不思議と痛みも少なく、経験値もあったのでオイラは落ち着いていた。
ぶら下がっていた指先を、爪の輪郭にピッタリと合わせながら
鉛筆にキャップするようにふたをして絆創膏で固定した。
絆創膏は、すぐに真っ赤に染まった。
市の広報に、医療用の緊急連絡先が記載されていたので、
電話で開業している整形外科を教えてもらい、
車で駆けこむと、すぐに縫ってもらって投薬で終了。
切った瞬間よりも、局麻のリドカインを注射されるときの方が痛いという不思議。
あとは経過を見ながら、その指先が腐らないで繋がればOKだ。
だけどここで、もしも腐ったりなんかしたら、切断という運びになる。
従って、オイラの飛びかかったエンコの処遇は、まだ決まっていないってことだ。
エンコが飛ぶのか、飛ばないのか、確率はいくつくらいなんだろう。
処置が早かったので、飛ばない方の確率が高いとは思うが。
(上げ下げ1/2な相場より勝ち目は高そう)
なんだか鮫島が問題を起こして、その処遇が決定される日を待っているかのような心境だ。
PS:こういう怪我をするといつも感じるのは、
これで役が落ちたようなカタルシスがこみ上げてくるってこと。
まぁ、錯覚なのだろうけど。