書店で釣ってきた鮫ちゃん3匹目。
この作品の方が古いのだが、
海堂尊の「ジーン・ワルツ」に少し重なるようなところがある。
今度は殺害ネタが、薬剤になっていた。
米軍で密かに使われているという設定で、
この部分はフィクションだろうが、
その前段階として元になっている知識はノンフィクションだ。
こういうネタの作り方をするのかと参考になった。
「ホントウにそういう秘薬を米軍は持っているの?」
なんて、大沢在昌親分に訊いてはいけない。
なんでって、そんなことをしようものなら、
この親分は泣いて喜んで、密かにガッツポーズなんかしてしまうからだ。
どうしてって、そういうものだと森村誠一氏が書籍で表明していたからだ。
小説家として、自分の書いた作り話を本当だと思われることは、
小説家冥利に尽きるらしい。
見事に才能を開花させたとはいえ、
このくらいで甘やかしては、読者としてイカンのだ。
それと薬剤ネタは、ミステリーの世界において
それ一本で書き続けている作家がいると、森村氏は語っていた。
なので、下手には使えない。
だが、基礎的な薬剤知識の上に、フィクションを重ねるというのは理にかなっている。
それならば、さまざまな薬剤を創造できるし、他の作家とネタは重なりにくいからだ。
小説が元になって実際に殺人が起きることがあるので、
リアルなネタは使うべきじゃないんだろう。
例えばいつぞやか起きた、看護師連中によるインスリンを使用した保険金連続殺人事件は、
きっと松本清張の作品が元になっていると思われる。
因みに、ミステリーのネタがかぶらないように、
それ専門のネタ辞典なるモノがあると、森村氏は語っていた。
ミステリー作家は、大変だなぁ。。
PS:書店の推薦コーナーに、いつも芥川賞選評で酷評をし続けながら
自身のキャラを売り込むという、なんとも強かな二人の女性作家の作品が目についた。
本当はホントウは興味があるのだけれど、
今回はそれぞれの作品に、オイラの生暖かい視線を送るだけにしておいたw