大沢在昌の書いた「新宿鮫」第二弾「毒猿」は、
一作目よりも遥かにオモロクなっていて。
とにかくページをめくる手が止まらないんだ。
こういう感覚は、夢枕獏の「陰陽師 瀧夜叉姫 上・下」以来のことだ。
オモロすぎて、たったの数時間で読み終わってしまう。
この2作のパターンといっては失礼なんだが、
小説を書こうっていうのなら、
これは絶対に抑えておかないといけない要素なのだと思う。
「毒猿」にはなるほど、大沢氏の書いた「ミステリーの書き方」にあるように、
ストーリーとキャラクターの魅力がとても大きい。
加えてそのストーリーの中に、その時代の先端事象が描きこまれてる。
「毒猿」だったら、日本で暗躍するアジア大陸のマフィア問題。
あの当時、たしか都内で、
日本の某丸B幹部が日本でのしきたりを守って丸腰でもって、
アジア系マフィアと話し合いをしようと24時間営業飲食店に向かったら、
その場にいた客全員がアジア系マフィアだってんで、
その日本人丸B幹部は、蜂の巣になって死んだんだ。
そういう汚いやり方に対して頭にくるのと同時に、
日本のヤクザってこんなに弱いのかよって、悲しくなった。
スポーツで負けても頭にこないけど、こういう話だと逆上してしまう不思議。
アジア大陸の人間は、何しろ軍隊に入ることが多いから、
武術に長けている。
北朝鮮が攻めてきたら、武術では勝ち目がないんだろう。
まさか戦争なんて、日本の場合には可能性が薄いのだけれども、
裏の世界の話となると、こういうことはしょっちゅうなんだろう。
そのせいなのか、「毒猿」に出てくる日本のヤクザは、弱っちい。
そして、台湾人の殺し屋である毒猿は、憎たらしいほど強い。
その点では、実に不愉快なのだが。
それと解説にあってなるほどと腑に落ちるのが、
「ブラックボックスに閉じ込められた自我」的な手法だ。
この「毒猿」では、主人公であるはずの鮫島が控え的な存在になっている。
裏方に徹することによって、かえって鮫島の内面が際立ってくるんだ。
村上春樹のいっていたレイモンド・チャンドラーの偉業は、
ここでも生きているって判った。
オモロすぎるって。。
こういう活劇モノを読むと、これぞエンタメの王道って気がする。
それから、小説家の解説ほど勉強になることってない。
いろんなことが頭の中で、だんだん繋がってきている。
その一方で、わずか数十ページの短編でもって、
人の心を鷲づかみにする浅田次郎の「月島慕情」なんて小説もある。
7つの短編でできている「月島慕情」、
全部読むのにオイラは数ヶ月くらいかかった。
ひとつ読むたびに、いちいち魂が震えて余韻に浸り、
次の作へ進めないんだ。
この浅田次郎のもっている秘密を解明することができたなら、
もっとオモロイ小説が書けるのかも知れない。
PS:オイラはこれから新宿鮫を、さらにあと2匹ほど書店にて釣ってくるつもりだ。
もう、止まらないw