甘利明経済再生担当相は14日、TBSテレビの番組で、1ドル=89円台にまで下落した円相場について「良い方向へ向かっている。かなり良いところまで来ている」と評価した。同時に「3桁を過ぎていくと輸入価格の上昇が国民生活にのし掛かってくる。うまくハンドリングしなければならない」とも指摘し、円相場は1ドル=100円未満が適正な水準との認識を示唆した。
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円安で輸入物価上昇なので良くない、というのは誤り。
景気が良ければ輸入物価の上昇は価格転嫁出来るからです。
で、景気が良いか否かは国内雇用次第ですが、国内雇用は輸入品に国産品が勝てれば維持、増大となる。
つまり、円安ならば雇用増大、賃金増大となるので、輸入物価上昇を相殺出来るのです。
結論的に言えば、(輸入価格に依らず)円安ならば内外需とも上向きで景気アップ圧力増大、円高ならば内外需とも下向きで景気ダウン圧力増大です(ゆえに、内需主導経済だから円安は良くない、というのも誤り)。
円安で問題になるのは、過剰円安で景気過熱、バブリー化する場合ですが、今はその水準ではない。
むしろ、過剰円高の修正の初動に過ぎない。
日本の場合、(資産価格のバブリー化がないならば)インフレ率3~4%で安定したときが適正為替水準ですが(日米物価統計差異より)、現在のインフレ率は1%もない。
しかも、現時点ではインフレ目標明言だけで実行はほとんどしていない。 実行に関しては麻生氏のような不規則発言が出ている状況です。 現在、マーケットは、実際にどの程度実行するのか、注視してる段階に過ぎない(もっと円安に突っ込めず瀬踏みしている状況)。
適正為替水準や安倍政権の目標インフレ率2%でのドル円レートは不明ですが、上記状況下で現在90円程度なので、いずれ100円を超えてくる可能性が高い(もちろん、これは今後の海外の金融緩和度合い、景気水準で変動しますが)。
この場合、100円超の水準が日本経済に悪い、などと言うことは当然ないので、それを抑制するような甘利発言は不可解です。
景気回復と物価上昇のタイムラグへの配慮からの発言と思いますが、金融緩和抑制(目標インフレ率の形骸化)を狙う財務省・日銀への追い風にもなってしまう。
金融緩和の目標インフレ率を2%に設定している以上、円安の行き過ぎはなく、あっても一時的です。 政治家は為替レートに言及せず(無駄な外交摩擦の原因にもなる)、粛々と目標インフレ率2%の実行に注力すべき。