元祖SHINSHINさんのブログ

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才智と情

「お前の歌は、いつも誇りが邪魔をして気の利いたふうな小細工でごまかそうとする。

 もっと正直に心を裸にしなければ、他人の心を感動させやしない。

 たとえば、和泉式部なんかはあくまで情で歌っている。

 お前や紫式部の歌は才智で歌おうとする、才智は情に負けるのだ。

 恋と、文学の上に於いてはな」

 

 父の話は私の心にしみた。

 私がそう言って感謝すると、父はにやりとしながら、

 

 「しかし紫式部の源氏物語の中の歌は別人が作ったようにうまい。

  作中の人物の心にすっかり乗り移って作っているからだろうか」

 

 と、わたしの気に障ることを言う。

 父はわたしが紫式部の才能に嫉妬していることをとうに見抜いているのだ。

 

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「月の輪草紙」 瀬戸内寂聴 講談社 P.123~124より抜粋

 

そういえば、たとえば中島みゆきの歌詞は、

浅田次郎の短編集のように心に突き刺さるな。

 

あーそうそう、オイラの高校時代の同級生で、

硬式野球のサウスポー投手だった奴がいた。

そいつの親父が作詞家で、なんと「みちのく一人旅」の詩を作ったんだ。

 

行きつけのスナック門のママが言っていた。

「景気のよかった頃は、野球部のT監督と一緒によく飲みにきたものよ」

 

まだ引っ越しをしていなかったオイラは、

その作詞家に会いたいと思っていて。

もう十年以上前だっただろうか、一度だけ偶然に会ったのだった。

 

とても話の面白い人で、飲みながらみんなでゲラゲラ笑って過ごした。

けっこう太っていたな。

先物業者と一緒に飲みに来ていたので、きっとギャンブル好きなんだろう。

倅のことを訊くと、ノンプロで野球を続けているという。

 

笑いっぱなしだったので、肝心な歌詞のことを訊くの忘れたが。

あーいう人たちは、どーやって歌詞を思いつくのだろうか。

 

自分の人生経験だけで歌詞なんか作り続けることはできないだろうから、

何かネタがあって、それを想像力で膨らまして創るのだろう。

 

第一、自分の人生経験だけで創作したら、私小説風になっちまう。

そんなチッポケな池の中で、イイものなんかできるわけがない。

他人の痛みもわからないで、イイものなんかできるわけがない。

他人の痛みがわかる奴は、自分がそれだけか、それ以上に痛めつけられた経験があるので、

結局は優しい。

 

なのでそういう人は、むやみに暴言を吐いたりしない。

それを知ってか知らずでか、思慮深い奴に向かって暴言を吐く輩がいると、

オイラは無性に腹が立って来て、黙っている人の代わりに

相手が誰だろうが気合の入った暴言を吐き返すことにしている。

究極のピンチヒッターになっちゃうんだな。

 

若い奴には人生経験が足りないので、

それを補うには、質のイイ小説を読むしかないだろう。

浅田次郎の小説を、特にお勧めします。

 

PS:究極のピンチヒッターで思い出したけど、

   元来短期なT監督、M高校の偉そうなキャプテンのヤジがあんまり汚いもんで、

   とーとー頭にきてバット持ってグラウンドに飛び出したんだw

   「てめー、ぶっ●してやるから、こっち来いこの野郎!」とかなんとか。

   先輩達が一斉に止めに入ったな。いやぁ、あれは面白かった~!

   T監督の心意気に、惚れちゃったんだなw

 

PS2:そのM高校のキャプテンは、巨人軍に入団しましたとさ。チャンチャン♪

    (性格がモノをいったのか、大成できなかったのは言うまでもない)

 

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