ソフトバンクの再編劇、総務省を翻弄 政策が後手に
2012/10/13 1:01
ソフトバンクが仕掛ける再編劇に総務省が翻弄されている。「日本経済の活性化につながることを期待したい」。
ソフトバンクの米社の買収計画に樽床伸二総務相は12日、歓迎の意向を示したが、省内の空気は微妙に違う。
ある幹部は「巨額の買収資金をどうするのか。財務負担が国内の事業に影響が出ないのかどうかチェックしていく」と明かす。険しい空気には伏線がある。
1日に発表した日本で携帯電話4位のイー・アクセスの買収方針では、過去の電波の割り当てで総務省が込めた意図から離れる状況が生じているためだ。
ソフトバンクが重視したのは、イー・アクセスが持つ1.7ギガ(ギガは10億)ヘルツの周波数帯。高速携帯電話サービス「LTE」に使えるためだ。
ただ、総務省は新規参入を促すのを狙ってイー・アクセスに周波数帯を割り当てた経緯がある。
省内では「法律違反ではないが、資本の力で電波という公共財産を得るのはどうか」と疑う声も聞こえる。
電波監理審議会は10日「割り当て時の審査の前提条件に変化はないか」として総務省に調査を指示した。
だが後手に回っている印象は強い。総務省は主に国内の競争をみて裁量的に電波を割り当ててきた。電波割り当ての競売法案は国会でたなざらしのまま。世界の通信業界が風雲急を告げるのに日本の政策は定まらない。