DRAGON'さんのブログ
チャンチャラおかしい「メガソーラー構想」
自分も大筋で、この意見に賛成ですかね。
http://president.jp/articles/-/6524
”野田佳彦総理がついに大飯原発の再稼働を決意した。「国民の生活を守るために、大飯発電所3、4号機を再起動すべき」という総理の判断を私は圧倒的に支持する。狂ったメディアに踊らされず、この国のリーダーにふさわしい決断を下したことを評価したい。
脱原発と騒いでいた大阪市の橋下徹市長も少しは大人になったようだ。報じられることはないが、橋下の再稼働容認は大阪の中小企業の必死の陳情が実ったものだ。
これに対して常に「ボールは国側にある」「原発の安全性は国の責任」と言い続けて地元自治体のトップとしての責任から逃げ続けた福井県の西川一誠知事。原発への依存度が高い関西の事情を理解せず、再稼働に反対した後で容認に転じても「夏季限定」などとぐずぐず言って再稼働を遅らせる滋賀や京都の知事たち。目先の人気取りやマスコミ受けをよくするために、住民の生活を守るという地域のリーダーとしての最優先課題を見失っていた。
これから夏本番だ。電力への需要はさらに高まるだろう。日本の電力供給のあり方について整理しておきたい。
潤沢な電力供給があっての産業だ。産業あっての日本である。この点から考えて原発はまだまだ日本に必要だ。脱原発を唱える人々は、風力や太陽光などのいわゆる自然エネルギーをもって安価で安定的な電力供給が可能だと誤解しているのではないだろうか。そして、この誤解を助長したのが、ソフトバンクの孫正義社長によるメガソーラー構想だろう。
「原子力が嫌だから自然エネルギーにする」と言っても、簡単には設備が整わないから、とりあえず火力に頼らざるをえない。その分燃料費が電気料金に上乗せされる。そのうえ7月から孫社長の主張のままに決定した1キロワット時42円というとんでもない割高な固定価格が上乗せされる。「脱原発先進国」として喧伝されているドイツでは、自然エネルギーの推進と国内の太陽光パネルメーカー育成の目的で固定価格買い取り制度を導入したものの、フタを開けてみれば、安い中国製のパネルがドイツの屋根にのっているという事態に陥った。太陽光発電でも値下げを求める声に押されて、買い取り価格は年々下落し、最近では1キロワット時20ユーロセント(約20円)程度だという。
日本の42円という価格は、欧州では20円程度の電気を2倍以上の価格で買わされる計算で、孫の「日本の電気料金は高い」という主張と矛盾するし、このままではドイツのように一世帯につき月1000円の負担増になる。
民間企業が国庫からお金を簒奪するべく蟻のように群がり、それをマスメディアは賞賛する。この国は本当に大丈夫なのか。
さらに太陽光発電の不安定さも忘れてはいけない。毎年、梅雨明け間近に起きるゲリラ豪雨を思い出してほしい。一瞬で晴天から雨になると、発電量も急にほぼゼロになる。夏の豪雨で大規模停電が起き、東京中の冷房がストップしたとしても孫が責任を取ってくれるとはとても思えない。電気はあらかじめつくり置きできないので、その安定供給のためにコストがさらにかかり国民負担は増える。
孫は2011年9月に自然エネルギー財団を設立した際「総括原価方式および地域独占が、日本の電気料金が高い原因である」と発言している。
しかし、この認識は間違っている。総括原価方式とは原価から価格を決める方式のことだ。電力だけでなく、JRや水道・ガスのみならず公益性の高い他のインフラ産業や諸外国でも広く採用されている。ちなみにNHKの受信料も総括原価方式だ。論点は、東京電力が非効率な企業体で、不当に電気の小売価格が高いか否かであるが、判断には実体に基づくデータが必要であるので、印象や思い込みでは語れない。
電力市場には他の業種と同様の市場原理が働かないという側面がある。そもそも「電力」を製品として考えたとき、エジソンの時代からまったく品質が変わっていない。製法が進化してきただけだ。だから消費者側にとっての選ぶ基準は「品質・サービス」ではなく「安さ」になる。自由化しても既存の設備を多く持つ大企業が圧倒的に有利になるため、あっという間に寡占化が進む。しかも公共サービスということで政策的な介入がしばしば入る。自由市場としては不完全で、健全な競争は不可能だ。
電力を自由化すれば安くなるとして送電線を増やしても、土地の買収や送電用の鉄塔の建設に10年、20年かかるうえに、何千億という単位の金額がかかるため、さらに電気料金が上がる。発電と送電を分離すれば新規参入を促せるというのは机上の空論で決して電力は安くならない。例えば、米国では発送電を分離した16州とワシントンDCのほうが、非自由化の20州よりも電気料金がずっと高い。
戦前の日本では、大小さまざまな電力会社が乱立し過度の競争が起こり、電力供給が不安定になった時期がある。戦後、今の地域独占の電力会社が設立され最適に電気が供給されるよう発電所・送電線等が整備されてきた。地域をまたいだ送電線の容量が大きくなく電力融通が活発化してこなかったのはこうした歴史的経緯が一因である。
新規参入を阻む原因として設備投資へのリスクが非常に高いという面も指摘しておきたい。今年の夏に電気が不足しそうだからといって簡単に発電所や送電線を増強できない、というのが「電力」という製品だ。新しい電力会社が設備を増強するには、10年あまりの期間と膨大なお金を要する。
例えば東京都の猪瀬直樹副知事が効率のいい新しい火力発電所を新設しようと動いているが、地域住民の理解を得て環境アセスメントの手続きをすることを考えると、完成するのは早くて5年後。発電所ができたそのときに現状と同規模の電力が必要とされているかはわからないし、価格競争をすれば東京電力に負けることは容易に予想でき、政策的に都の発電所に優遇処置が行われるだろう。その優遇処置にともなうコストは結局国民の支出である。
「東京電力は悪」という結論だけが先行し評論家がいろいろと屁理屈をこねているが、資源のない日本にあってこれまでの電気供給体制は世界で一番だった。それが1000年に一度の大震災で世論が浮足立ってしまった。東京電力を擁護すると世間から抹殺されかねない雰囲気だが、私は震災から復旧まで彼ら社員たちは不眠不休でよく頑張ったし日本で一番優秀だと断言できる。1000年に一度の災害へのリスク管理を一企業の責任にするほうがおかしい。悪いのは官邸だ。震災から学ぶことも多いが結局今まで通り安定供給を確保しながらゆっくり自由化していく以外にない。
孫は「電気事業の競争促進については、通信事業を参考に」と言うが、競争が進んでいるはずの携帯料金が下がっているとはとても思えない。そういえば震災直後のソフトバンクの携帯電話は役に立たなかった。商売上手だから設備や安全といった儲からない分野への投資には二の足を踏むのだろう。孫が目指すメガソーラーによる電力事業は「使用料金が下がらない」「イザというとき役に立たない」ものだ。どこかソフトバンクに似ている。脱原発、自然エネルギーと騒ぐ孫正義のはしゃぎぶりを見ると、チャンチャラおかしくてヘソが茶を沸かす。”
情緒的な話で無く、現実論で語るなら、こういう話になると思いますが。
それなのに現実論でなく、情緒で語る人が如何に多い事か。
多少捕捉するなら、大阪の橋下も、この件に関しては諸悪の根源な気がしますが。
後、ソフトバンクの孫 正義な。始めは殊勝に国産パネルとかでテストしてましたけど、結局こちらも単に安価なだけな中国製のパネルに正式決定じゃありませんでしたっけ。この人の拝金主義、ご都合主義は日本の産業にとって計り知れないダメージを与えている気がします。
全く、世の中には”巧言令色鮮し仁”って言葉を忘れている人が多い気がしますなぁ。困ったものです。
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そう言えば携帯料金て…、プランは増えたけど実質的には別に安くはなってないですね。
電気は電気以外送れないから新機種だのスマホだののイノベーションも別にないし…。
競争で生まれるのは時間帯別電力料金のプランが増えるくらい?
僕も前から不思議だったんですが、発送電分離すると電力が高くなってるとこの方が多いんですけど、これをちゃんと説明してくれる自由化推進の人にまだお目にかかってない。
電力もそうだし、日本の国債や財政問題、ケインズ主義や新自由主義とか、一度ガッツリと真面目にまともな論客呼んで討論してくれる番組があればいいのになぁ…。
朝生とかじゃなくて(笑)
マーリンエンジンさんへ
こんばんは。コメントありがとうございます。
さて、これですが…。
>>朝生とかじゃなくて(笑)
至極ごもっとも。やるならぜひ見たいですね。
もっとも問題は視聴率が取れないでしょうから、地上波ではまずやらんでしょうが。
では、失礼します。