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講演「無縁社会は他人事ではない」

野村 亮(NHK名古屋放送局報道番組ディレクター)
講演「無縁社会は他人事ではない」
('12年6月18日)

以下は,講演内容の抜粋です。

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○無縁度チェック
*いとこ全員の現状を知っているか
*一度も転職経験がない


☆2010/1/31 NHKスペシャル「無縁社会〜"無縁死"3万2千人の衝撃」


○多くの人が番組内容を,自分や家族・同級生のこととして受け止め,知り合いに久々に電話を掛けたという人が続出した。
 しかし企画段階でNHK内部の評判は悪かった。それまで何度も孤独死の問題は取り上げてきていたため,「今更放送する意味があるのか?」との疑問が呈されていた。
 視聴者とNHK内部の反応の大きなギャップはなぜ生じたか?

○マスコミは,新しく急に起こることは得意。しかし,ゆっくりと静かに,確実に,個々に濃淡はあるが,みんなに起こっている変化を取り上げるのは不得意。後者を取り上げようとすると,内部では「古い」と評される。


☆2010/9/5 同 「消えた高齢者 "無縁社会"の闇」

○NHK調査により,全国で100歳以上の所在不明者が約350人いることが分かった。

○よくありそうなこと(例 仕事が忙しくなかなか会えない)が複数組み合わされることにより,最終的には特異な現象に結果している。
 父は都の(元)公務員,娘が出版社の(元)正社員という,どちらかと言えば裕福な家庭でありながら,父の死後諸事情を経て,この30年間,娘は母に会ったことがなく,その所在・生死も不明という事例が,番組中その経緯が詳細に紹介される。

○工業化,都市化,核家族化,高齢化,過疎化,少子化など戦後のあらゆる変化が,「無縁化」の要因になってきた。

○日本は高齢化・長命化のスピードがあまりに速く,制度が追いついていない。

○上記事例について2チャンネルのリアルタイムでの反応は,最初「人でなし」から番組の進行に伴い徐々に「30年後の俺たち」と論調が大きく変わっていった。


☆2011/2/11 同 「無煙社会 新たなつながりを求めて」

○雇用,そして他の人の役に立っている実感があると,人は生きていける。その両方が無くなると,皆「死にたい」と考えるようになる。

○うつ病,貧困,雇用不安,虐待などは,そのすべてがつながっている。

○若い生活保護受給者には,うつ病患者がすごく多い。児童虐待を受けて育った人が,その先健全な人間関係を築けるわけがない。

○今や,コミュニケーション能力が必須とされる社会になってしまった。

○大きな制度で救ったり,公平や正義を求めても無理。たとえ不公平であっても,小さなつながりを大切にし,小さな縁で人を救うことはできる。

○自殺に詳しい関係者の発言「自殺者のうち,縁がなくなって死ぬ人が半分。もう半分は,縁が強過ぎて死ぬ(例 心中)。縁は,しがらみ・桎梏でもある。」

○どういう縁を快適と思うかは,人それぞれである。

○まずは,挨拶から始めよう。
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蛇足の一言

かなり興味深い講演内容で,論点は私なりに少なからずあるのですが,一点だけ再度言及するなら,

> 今や,コミュニケーション能力が必須とされる社会になってしまった。

という指摘です。

未婚の若きは言うまでもなく,老いも,とりわけ一人暮らしの老いにはそれ相応のコミュニケーション能力,また職場や近所,親戚とも過剰ではない適切な,そしてまたFBのようなネットワーク上でもネットなりのコミュニケーション能力が求められている。それ無くしては,なかなか凌いでいきづらい社会になってしまったのでしょう。


1件のコメントがあります
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    nyajyaraさん
    2012/7/2 01:21

    こういう人向けのサービスがもう始まっていますよ。

     

    部屋のお片づけやお葬式の手配まで・・・毎月積み立てる形。

     

    まあ、社会主義化した日本なら、そのうち、亡くなった人で家族がいない人向けの無料埋葬サービスが始まるのではないでしょうか?

    なんていったって、寝たきりでもない人が月360時間もヘルパーを使える日本ですから。(これ、皮肉ね)

     

    今でも、無縁故者の弔いは区役所がやっていますしね。

     

     

     

     

     

     

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