りんりん/Kさんのブログ
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中国、天津にて(3)
天津は、黄河のそそぐ渤海湾の、窪みのほぼ中央に位置する、天然の良港であり、歴史的にも重要な港湾都市でした。
この渤海湾の先の海峡の両側が、北は大連の旅順、南が煙台や青島のある山東半島です。
これは、ちょうど日本の例で言えば、規模は小さいものの東京湾に似て、北は千葉の木更津と南の神奈川の横須賀の両端を抜けると東京湾があるような位置関係になっています。
北京が政治の中心都市であれば、天津は北京からの物資、または、北京への物資の流れを担う交易路の要衝に当たります。結果、近年北京と天津、更に天津港の間には、いち早く鉄路や高速道路が開設され、古くは揚子江とワイ河、黄河を縦に繋ぐ人工の運河が首都北京まで届いていました。
天津を経由して北京まで至る運河の名残が「海河」というわけです。
こうして天然の良港と交易の要衝であったために、天津は上海、北京に次ぐ3つ目の政府直轄の都市としての地位を得てきました。近年は、中国の北部での最大の経済開発区が建設されており、外資からの大規模な投資も多く、政府の経済の重要拠点として認定され発展して来ています。
しかし、政治の都北京の近郊にあり、その影響は多大であり、動静や中央の顔色を見ながらの地位確保を旨としてきたために、独自性や闊達さに劣る点を指摘されます。
その反面、偉ぶることがなく、おっとりした性格や気さくな一面が市民の気質に見て取れます。しかし、物価や地価は、北京と比べると2/3以下で、都市建設もずいぶん遅れていました。
この天津も、近年上海や北京、広州、その他の都市からのビジネスマンの流入や外資の資本投下で、街の様相がガラリと変わりつつあります。やや先を行く他都市に近づきつつあるのかも知れません。そのことは、天津が元来持ち続けてきた特色を徐々に手放していく過程でもあるのでしょう。
日本のテレビをはじめとする映像報道で、よく中国人のマナーの低さや秋葉原や香港での旅行者の派手な買い物の様子が紹介されます。私も時々、それに似た経験はします。
しかし、日本の歴史でも経済発展の初期には、変化に敏感な人々が海外からの新製品や技術の流入を目にして、ちょっとしたアイデアや手先の器用さを活かして、安価な商品を大量に内外に捌き、「成金」という小金持ちを生み出しました。
この日本で言う「成金」の類の人々が大量に輩出してきているのが、今の中国の状況です。しかし、その「成金」成立の過程は日本と比べ、だいぶ複雑で違った要素の絡みもあります。
しかし、中国人の気質は、日本人とは大いに違い、いわゆる「成金」となった人々の振る舞いや考え方、生活態度、金銭感覚、物欲の表現の仕方は、想像以上に日本人と異なるのです。
こうした差異を理解しないと、間違った理解をしてしまうことになるでしょう。
証券市場での株高騰で、上海あたりの証券営業所のボードの前で大はしゃぎする中国の一般「股民」(株主)の姿は、バブルに浮かれた十数年前の日本の「誰でも株主」の姿に一見似ているようですが、実はそういう風にダブって見てしまうことに、そもそも間違いがあります。
今の中国の株式相場の現状をバブルと見るかどうかは、専門家で意見が分かれるでしょうが、日本での十数年前のバブル状態をダブらせることは避けるべきです。
むしろ日本の戦後の高度経済成長初期に誕生した「成金」と言われるような類の人々が、中国では多く誕生しており、今年に入ってからの中国本土市場の株高騰を演出したのがこうした立場の人々でした。
<つづく>
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中国人の気質が、日本人とはどのように違うのか興味があります。
仕事でちょっと関わる人はいますが、プライベートでの中国人の知り合いもいないですし日本に来ている中国人数名でと本土にいる中国人すべてを判断するのも間違っていると思うので、ぜひ聞かせていただきたいですね。