最近,ノンフィクション・ライターの佐野眞一,そしてその流れで宮本常一にも関心の対象が拡大しつつある。
宮本と来れば,パトロンは渋沢敬三である。渋沢栄一の孫にして,日本銀行総裁や大蔵大臣などを歴任。
さて,その渋沢敬三について佐野による次の文章を読み,一驚した。やはり一流の人物は違う。
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敬三は海外旅行でホテルにとまると,ホテルの前につけたタクシーには乗らず,必ず数十メートルはなれたところで流しのタクシーを拾った。ドアボーイへのチップを浮かせ,その分,学問のために使う。それが敬三流の考えだった。
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佐野眞一『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』p.176