2ヶ月前の10/17に、NHKのあさイチ(AM8:15〜)で『放射線大丈夫?日本列島・食卓まるごと調査』というのを放送したらしいです。
内容は、全国の7家族の食事を1週間 追跡調査し、放射性セシウムによる内部被曝の量を調べるというもの。
具体的には、毎食 1人前ずつ多く食事を作ってもらい、それを 丸ごとミキサーにかけて、Ge半導体検出器で放射性セシウムの量を測定し、1週間分の合計内部被曝量を調べたそうです。
参加した家庭は 福島のほか 北海道や大阪など、それに「特に産地を気にせず買い物をしている派」と「できるだけ 福島原発から遠い産地の食材を買っている派」をとり混ぜて調査したとのこと。
調査に協力した機関は、首都大学東京の福士政広 研究室。放射線の専門家のはずなんですが…。
結果は
全ての家庭で差はない(むしろ産地を気にせず買っている家庭の方が、わずかに内部被曝は少ないという結果)となり、参加した家庭の主婦が『これからは、風評被害に惑わされないようにします』と発言して終わる…というものだったそうです。
と・こ・ろ・が…
その測定データをNHKがHPに載せたところ、『このデータは不自然だ』という指摘や問い合わせが 殺到したようで、その後 NHKはデータを削除しました。
どうやら『測定器の故障で、正確なデータが取れていませんでした』だそうです。安心をアピールするかのような内容を公共放送で流しておいて、そんなのアリ
そこで、削除前のデータを別の所から見ることができたので、それを見てみました。
一応 これでも理系の端くれなんで、確認してみたところ 確かに妙な点があります。例えば
Cs134とCs137は、原発由来のものなら 両方検出されなければおかしい。
(半減期の差を考慮すると、Cs137のみ検出なら 過去の大気中核実験の残存物とも
考えられるが、Cs134のみが検出されるのは おかしい。)
Cs134のγ線スペクトルは主なピークが2本出るはずなのに、片方のピーク(605MeV)しか
検出されず、もう一方(796MeV)はゼロになっている(分光分析では 通常あり得ない)。
普通、白米には通常33Bq/kg程度のK40が含まれるはずなのに、その数値がゼロのデータがある
ただの水なのに、海水の何十倍ものK40が含まれることになっているデータがある
「検出限界値:0」の欄があるが、どんな精密な測定器でも検出限界ゼロはおかしい。
また、有効数字の使い方がおかしい。
同じサンプルを、測定時間を長く取った方が 検出限界値が高くなっているデータがある。
(普通は逆)
※ちなみに Cs:セシウム K:カリウム
Cs134 半減期 約2年
Cs137 半減期 約30年
K40 半減期 約12.5億年
(K40は天然に存在する放射性核種で、通常 地球上の全てのカリウムに一定の割合で混ざってます)
と、素人が見ても 腑に落ちない点がいくつもありました。専門家が見れば尚更でしょう。
現在NHKでは、データの一部を訂正してHPに載せてます。
(↑個人的には、細かい点を随分 はしょった印象…)
が、それでもやっぱり疑問。Ge半導体検出器で7200秒(=2時間)も測定時間をかけているのに、Cs134/137の検出限界が 5〜8Bq/kgというのは、ちょっと高すぎます。他の検査機関では、もっと短い測定時間でもそれより低い検出限界の場合が多い。その測定器、本当に大丈夫なのか…?
また、前回の放送の中では 天然放射性核種のK40による被曝量の方がずっと多いのだから、少しくらいCsによって被曝したところで問題はない…という解説だったらしいのですが、その理屈も変。
K40はあらゆる食品に混ざっていて 人間は日常的に摂取しているので、口から入る量と体内から出て行く量がバランスしているため、人体に含まれるK40は 通常 平衡状態にあります。つまり K40からの被曝量の増減を気にする必要はないんですよね。
しかし放射性Csはそうではないので、比較すること自体に意味がない。
NHKでは、データを再検証し、明日(もう今日かな)12/15に もういちど修正した内容を放送するそうです。さて、どうなることでしょうか?
普段 我が家では この時間はEテレの子供向け番組をつけているので 見ていないのですが、明日は録画してじっくり見てみようかと思います。