伊藤洋一「どう描く,日本再生のシナリオと経済動向」
真壁昭夫「これからの投資環境を読む」
前者の主旨は,日本の産業は優れているのだから内外に色々問題が生じても「バランス感覚」をもって見ることが大切。ただ,「世界経済は,しばらく調整期」とも。
後者。私は浅学非才にして同氏を行動経済学の研究者としてぐらいにしか認識していなかったのだが,どうしてどうして,相当に優秀なエコノミストとお見受けした。自分自身よく理解していることを適確に説明していく技は,今まで数多多数のセミナーを受講してきた体験からも the best。また,かつてファンドマネージャーとして一貫して好成績を挙げたとのバックグラウンドが,講演内容に説得力をもたらしている。
以下,同氏の講演の要点。
・本当の問題はギリシャではなく,ギリシャが引き起こしかねないイタリア,スペイン。とりわけ,イタリアの動向には注目しておく必要がある。
・2012~3年に,リーマンショック以上の混乱が起こる可能性がある(という,ニトリの似鳥氏の見解を紹介)
・バブルの特徴は2つ。普通3~4年続き,価格が3倍程度になる(から,3倍になったら,とにかく逃げることが大切)
・相場はワルツ。「3」が鍵になる。3日,3週間,3ヶ月,3年,3倍など。
・バブル崩壊後に要するのは2つ。不良債権の処理と生産調整。欧米はバブル崩壊の後始末がまだ終わっておらず,あと1~2年はかかるだろう。
・(前項の根拠の一つとして)米国では銀行が,昨年150行,今年は既に80数行潰れている。
・ところが日本は不良債権処理がほとんど終わっており,体力がある。
・中国は,(労働力人口がピークを迎える)2015年以降にバブル崩壊。
・円高はもう少し進む可能性がある。
・通貨は,4分類しておくと理解しやすい
安全国通貨……経常収支黒字黒字国 日本円とスイスフラン(やばくなると買われる)
資源国通貨……オーストラリア,カナダ
新興国通貨……ブラジルなど
先進国通貨……US$, EURO
・円高ドル安はしばらく続く(FRBが2013年半ばまでは金利を上げないと確約しているから)
・良識と常識が通らないことは長続きしない
・日本企業については強気に見ており,2012年は日本経済の転機になる可能性がある。企業再編はあるだろうが。
・政治家? 全く駄目。政治に頼ることは,もう罪悪。
・GDPと株価は長期的にはパラレル。
・日本国債は2015年以降,危ない。
・個人投資家は,負けない投資を続けることが大切。