いやぁ、まいった。
先日、高田氏の「御霊将門」を読んで平将門公のにわか知識を持ったので、
フラフラといきつけの書店を巡った折、
ふと夢枕獏氏の陰陽師のコーナーに行ったら、
この「瀧夜叉姫」があったのだった。
瀧夜叉姫は、平将門公の娘ということなので、
自然に腕が伸び読んでみた。
夢枕獏氏には珍しい、長編もの。
中でも、平将門と一騎打ちをする俵藤太(藤原秀郷)の描写が粋であり、
朝廷より平将門討伐の命を受けた折、
吐いたセリフが心憎い。
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「そもそも、こたびのことは、都が東国を支配しすぎたことにその因がござります。
重い税を課し、それを厳しく取り立てました。そのことに、民も怒っているのです。
いくら将門どのが乱を起こそうとも、民がそれを後ろから押さねば成るものではありませぬ。
このたび将門どのが乱によって東国八州を手にしたというのは、
民がそれを味方したからでありましょう」
藤太は、日頃思っていることを口にした。
「できることなら、弓、太刀を引っ下げて、将門どのの軍にわたしも加わりたいくらいでござります」
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平素の短編ものと違って、伏線も多いし、まどうくらい忙しいシナリオなのがちと難なのだが、
上下巻とも、あっという間に読破せざるを得ない面白みに満ちている。
そして、例の如くおどろおどろしい鬼たちの描写に、この夏の暑さを忘れること請け合いだ。
★「陰陽師 瀧夜叉姫 上・下」
夢枕獏著 文春文庫 各629円+税
PS:先の引用文、都=米国、東国=日本と置き換えて読むと、泣けてくるが・・・。
そうそう、重い税=米国債だってばw
そのように読むことができるなら、将門公=ケンシロウになるのであった。
以上、Q.E.D.(証明終わり)