為替見通し
2011年07月31日
非常に現実的な分析ですが、29日の時点では、ドルがまさか75円に迫るとはおもっても見なかったでしょう。米国の対応がいかに非常識かがわかる。リーマンもいい当てた人は少ない。今度は一つ間違うと、リーマンよりひどいかもしれない。不思議なのは銀行は何処も来年は円安になると予想したがる。これがそもそも間違いだろう。(Y)
三菱東京UFJ銀行金融市場部http://www.bk.mufg.jp/report/bfrm2011/Monthly1108.pdf
BTMU FX Monthly 2011 年 8 月
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予想レンジ 8 月~9 月10 月~12 月1 月~3 月4 月~6 月
USD/JPY 76~83 79~86 79~86 80~88
EUR/USD 1.38~1.47 1.37~1.46 1.34~1.43 1.32~1.41
EUR/JPY 108~116 109~117 110~120 112~122
GBP/USD 1.57~1.66 1.57~1.66 1.55~1.64 1.54~1.63
GBP/JPY 122~133 124~134 123~133 125~135
AUD/USD 1.02~1.12 0.99~1.08 0.96~1.06 0.94~1.04
AUD/JPY 82~88 80~90 80~90 78~90
~ 米国経済の現状認識 ~
7 月は月初に発表された米国ISM 製造業景況指数が前月から改善すると、やや円高圧力が和らぎ、ドル円は一旦81 円台半ばまで上昇した。ただ、米国雇用統計が大幅に事前予想を下回った上、バーナンキ議長より、議会証言で米国経済への厳しい見方が示されると、ドル円相場には徐々に下げ圧力が強まった。加えて、8 月2 日の期限を控え、米国連邦政府債務の法定上限引き上げ問題が先鋭化すると、米国債のトリプルA 陥落懸念も台頭し、ドル円は下げ足を早めた。途中、ギリシャ情勢をはじめ、ユーロ圏の政府債務問題に焦点が移り、一時的に「リスク回避」のドル買いとの場面もみられたが、ドル円に関して言えば、月間を通してドル安円高傾向が進み、本稿執筆時点で77 円台半ばまで下落している。
米国連邦政府債務の法定上限引き上げをめぐり、期日とされる8月2日前後では未だに混乱も予想され、ドル円相場が更に下押しする可能性もあるだろう。ただ、いずれ上限引き上げで合意に至れば、投機筋による円買いの持ち高が、昨年11月以来の水準まで造成されているだけに、一旦は持ち高解消に伴い、ドル円相場が反発することも予想される。ただ、米国債のトリプルA陥落懸念が残る上、生産活動が回復しつつある本邦からの円買い需要も相応に強いと思われる。米国経済に対する厳しい見方が和らぐといった追加の支援材料がなければ、上値の重い時間帯が続くだろう。
・・・
事情が磐石と言えない中にあっては、ドル円相場が5 円も10 円も上昇する材料とはならないだろう。
(7 月29 日脱稿 シニアアナリスト 内田 稔)