長期投資と短期投資を区別する定義は今一つ明確ではありませんが
概ね長期投資は特定の銘柄を半年~1年以上保有する投資スタイルを指し
短期投資は主にデイトレ~数日間のスイングトレードを指すことが多いのではないかと思います。
(実際は長期・中期、短期・スイング・デイトレなどに分かれますが、ここでは便宜上二分して考えます)
ところがそれ以外にも両者を区分する根拠があります。
それは投資の動機です。
長期投資は企業の価値、即ち業績や将来性が動機ですからファンダが主な判断材料になります。
これに対して短期投資は企業に投資するという考えではなく、売買のチャンスに投資する訳ですから
株価変動と投資のタイミングが動機となるのでテクニカル指標が主な判断材料になります。
そう考えるとチャーチストは短期投資に向いていると言えます。
しかし長期投資は金融政策や為替、商品相場といった経済環境から
地政学的リスクや災害に至るまで様々な外部(相場)環境に左右されます。
しかもキャピタル・ゲインを目的とするのであれば下落相場ではなかなか利益を出せない上に
銘柄選択を間違えると資産が減少するだけでなく、機会損失が増えるという難点があります。
従って実際にはインカム・ゲインを目的とした長期投資でなければ
対時間投資効果は意外に小さいのではないかと思います。
次に短期投資は外部(相場)環境に左右されないところが大きな利点です。
しかも相場環境や株価の変化に日々一喜一憂する必要がないのでメンタル面でもメリットがあると思います。
ただ本業の合い間にという訳にはいかないので
トレード環境が制約されることと、極めてレベルの高い投資スキルが必要になることが難点でしょう。
結局どちらの投資スタンスを選ぶかは個々のトレード環境や適性次第だと思いますが
いずれにしても長期投資では企業の収益性や財務、成長性などを分析する能力
短期投資ではチャート分析力と決断力を磨くことがそれぞれ重要です。
<point>
①個人は短期より長期の方がリスクが少ないと考えがちですが、リスクは多種多様なので優劣は無く
あくまで適性とトレード環境で選択するしかありません。
②トレード環境は如何ともし難いので、実際には短期投資に向いている人が長期投資をしたり
長期投資に向いている人が短期投資をしていることも少なくないと思います。
つまり必ずしも自分に合った投資スタイルを実践出来るとは限らないところに
ジレンマや時に敗因があるかのも知れません。
③長期と短期はその名の通り一長一短で、長期でも短期でもない場当たり的な投資が問題だと思います。
場当たり的な投資はしばしば塩漬けを生み、その度に自称長期投資家が生まれます。
つまり一貫性の無い投資スタイルこそが最大のリスクだという認識が大切でしょう。