前回が3月7日だったこともあり、大幅に更新期間が延びてしまいましが、『損切り以外のリスク管理』第2回の後半を書こうと思います。( 前回URLはこちら http://minkabu.jp/blog/show/320818 )
前回のテーマは『自身のイメージと実態は乖離していないか?』について、過去のデータから実態とイメージの乖離を振り返ることでこれを補正する方法について書きましたが、今回は『未来に関するイメージと実態が乖離幅は縮小する方法』(=未来に関する予想が的中しやすくなる方法)について書こうと思います。
これから書くことはいわゆる『勘を良くする』事になります。
『勘』といってもあてずっぽうの類ではなく、過去の知識の蓄積や経験に元ずく『勘』です。
誰でも1つのことを長くやっていればこれが蓄積され、そういう人が多くの世界で敬意を以って『ベテラン』と呼ばれます。
この『勘』を20年かけて構築していったのでは『勘』が構築される前に退場となってしまうかもしれませんし、コツコツと利益を重ねていても『時給として考えるとどうなの?』という状態になってしまいます。
時間は全ての人に同じ速度で流れているので『ベテランになるまで待てない!なんとか短期に『勘』を構築したい!』となると思います。
これからそのことについて書きます。
『どうやったら人より短期間で"勘"を構築できるか?』
以下の2点を行うだけでかなり効果があると思います。
■ 一部の情報に集中する。
■ 練習
■『一部の情報に集中する』こと
時間は全ての人に同じ速度で動いているので、全ての情報を入れていくと時間がかかってしまいます。
ジェシー・リバモア氏が『欲望と幻想の市場』という本の中で『得意銘柄を見つける事』という事が重要というように、FXであればどれか一つ通貨ペアを見つけ、しばらくはその通貨ぺアに注視すること、又、24時間動くFXや商品相場、指数取引であれば時間を決めてそこに特化したやり方を見つけていく事でたとえば『NY時間の動きはまだわからないけど欧州マーケットオープン近辺はなんかわかる様になってきた』とか『USD/JPYならある程度見える様になってきた』という風になりやすいはずです。
特に時間を決めてしまう事はそれ以外の時間はチャートを注視しなくなるので自然と『準備』や反省会にあたる『後始末』の時間も決まり、一部の時間ではあるもののより深く理解することが出来るので『勘』が構築されやすくなります。これがバラバラの時間になって仕舞うと、情報はあるものの、コンディションが違いすぎる状況での情報となってくるので『散漫すぎて少ないデータからは方針を見出せないデータ』となってしまいます。
FXで言えば、いつも欧州時間やNY時間のスタートから1時間と決めて取引する人はこの時間に短期間で強くなれますが、金曜日の雇用統計と月曜日のウェリントンのスタートから1時間と、ぜんぜん動かない時が多い13時というのでは状況が違いすぎてこの3つの少ないデータを持ってきても方針は見出せないので『勘』は育つ分けないわけです。
24時間動いているマーケットで優位性でもあり、怖い面でもあるのは『常に参加出来る』という事です、『常に参加出来る』ということのメリットデメリットは以下の通り。
1. メリット
1-1 "得意な時間だけ参加"することができる。
1-2 "仕事やプライベートの都合で出来ない時間"があっても自分の都合の良い時間だけ参加出来る。
1-3 "体力が許せばひたすら張り付いて取引可能"従って上手くいけば株式と比較にならない利益を得ることも可能。
2. デメリット
2-1 "いつでも参加出来る為、間合いの存在しない状態になりかねない"、株式の寄り付き前の様ないわば強制的に『準備』と言える時間が無く、いつでもいきなりポジションを持てる。これによって『構想』→『準備』→『実行』→『後始末』のパートのうち、『実行』ばかりになり危険。
2-2 "体力が許す限り参加可能故、負けが込んだ場合そのまま取引を続けさらに負けてしまう"、これは2-1と関連性があるのですが、『実行』ばかりの上にさらに疲れが加わり、さらに精神的にもイライラする状況になるので必然的に大負けしてしまいます。
なにしろ8割~9割の人がお金を失っていくのが相場ですから、まずはこのデメリットを避ける事が重要です。
その為にも最初は取引する時間を固定&限定するというのは『得意時間を作る』事はメリットを生み出すと同時にデメリットを排除できるので非常に重要なことだと思います。
『時間』や『銘柄(FXであれば通貨ペア)』の情報を最初は限定し、集中することで『勘』が構築されやすくなること、他の銘柄や通貨ペアを手がける時にも参考に出来(もちろん先入観のコントロールというは別途必要です)、調子の悪いときに戻ってくる場所として軸に出来るので重要です。
■ 練習
多くのトレーダーの人は『実戦』は行っていても、『練習』というのはおこなっているのでしょうか?
これはたまたま私がゲーム業界に居て気が付いたことなのですが、私は仕事とは別に面白いゲームを創るために『ゲームを創る練習』としてゲームのプログラムを書くことが有る(というより常に行っている)のですが、この『ゲームを創る練習』を行っているゲーム業界の人に未だに私は出会ったことがありません。スポーツの類では当たり前、会社に入れば『研修』があり『実戦の前段階』にあたるパートがあるのが当たり前なのですが、どういうわけかトレードだと9割の人が負けていくのに『練習』パートがないんです・・・。
スポーツであれば、『試合』とは別に『練習』を行うのが当たり前、なおかつ総時間となると『練習』の方が時間が長いのが当たり前で『構想』→『準備』→『実行』→『後始末』パートのうち『実行』部が最も短いのですが、トレードとなるとほとんどの人は『実行』が最も長い時間になっていると思います。
柔術の世界では『100回のスパーリングよりも1回の試合』という言葉があり、実戦により育つ速度が格段速くなり、これは他のジャンルには言えているのですが、『練習』が全くないのに大金を使っていきなり『実戦』というのでは不利すぎます。
『練習』の中で失敗を繰り返しながら経験を詰み、『勘』を構築することで初心者の段階でどうしても発生してしまう負けトレードの比率や致命的損失になる大負けトレードを減らせるはずです。
スポーツの試合であれば負けたことで『残念!』、『次はがんばろう』で済むのですが、トレードでは大金が消えて行きます。なのに『練習』をしない・・・
トレードの中で、ドテンやナンピン、増し玉にスプリットにトレーリングといったテクニックがあると思うのですが、この類も『勘』が構築されるまで実弾でやっていたらお金がもちません!テクニックが増えるという事はそれだけ負け幅を縮めたり、勝ち幅を大きくしたり出来るのでいっぱい持っていたほうが有利です。
ただ、これを毎回実弾を使ってやっていたのでは持たないので、普段の利益を上げるトレードとは別にバーチャルで実験する時間を造り、『勘』を養うことである程度自信を持った状態でテクニックを活用できるので勝率が上がるのは必然と言えるように成ります。
第2回の最後に・・・
自身はFXは実際に行う1月まえからチャートを見始めました。
また、昨年10月よりトレードを始め、11月下旬頃から本格的にトレードを始めたGBP/CHFですが、これは8月下旬からトレードする通貨ペアに加える事を考え、9月からヴァーチャルで取引を始めました。
この前段階を行うことで『勘』が構築されスタートダッシュが出来たと思っています。
もちろんこの『練習』を行うことで時間は失われますが、結果的にはこれがあったことで速く利益を増やす事が出来るようになったと思っています。
この日記を読んだ方がこれまで行っていなかった『情報の集中』や『練習』を取り入れることでさらなる利益が発生すれば幸いです。
ジェシー・リバモアの本『欲望と幻想の市場』
ISBN-10: 4492061118
ISBN-13: 978-4492061114