夏本番に向けて「地ビール」ならぬ「地サイダー」が静かな人気を呼んでいる。特設コーナーを設けている阪神百貨店(大阪市北区)では売り上げが順調に伸びているほか、ネット販売で取り寄せる人も増えている。レトロなガラスのビンやラベルなどが年配の人には懐かしく、若者には新鮮に受け止められているようだ。
阪神百貨店地下1階の食品売り場の一角。「ウコンサイダー」(静岡)や「醤油(しょうゆ)サイダー」(香川)、「シュークリーム風味」のラムネ(北海道)など、カラフルなラベルが張られた「地サイダー(ラムネ)」が並ぶ。
同百貨店では平成20年から例年5月末に特設コーナーを設置。売れ行きを見て約4割の商品を入れ替えているが、今年は北海道から鹿児島まで32種類の地サイダーと地ラムネをそろえた。
このうち「しそサイダー」(和歌山)や「トマトサイダー」(静岡)など14種類が初登場。6月は約200本の販売だったが、7月に入って売り上げが伸びており、月間で500本の販売を見込んでいる。
よく売れているのは、ブームの火付け役ともなった「ありまサイダー」(兵庫)。大正15(1926)年まで販売されていた「有馬シャンペンサイダー」を再現したもので、薄いブルーのアンティーク瓶が人気だ。
また、大川食品工業(大阪市港区)が復活させた「大阪サイダー」や「温泉(うんぜん)レモネード」(長崎)などもファンが多いという。
同百貨店の担当者によると、地元大阪の商品を1本購入し、あとは好みで地域色の濃いものを選ぶ傾向があり、10本くらいまとめ買いする人やボトルを収集する人も増えているという。
地サイダーや地ラムネは全国に100以上の銘柄があり、味やビンの形状、ラベルのデザインも多彩。基本的にはその土地でしか販売されていなかったが、インターネットなどで注文できるようになり、買い求める人が増えているという。阪神百貨店の特設コーナーは8月末まで。