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No.533 来週の株式相場 

来週の株式相場 空売り規制導入の有無次第だが、下振れよりも、上振れを意識
11時39分配信 サーチナ

 日経平均に関しては、5月27日の9395.29円が1番底、6月9日の9378.23円が2番底、ネックラインが6月4日の9962.42円という「ダブル・ボトム」の形成過程にあるとみている。来週、9962.42円をブレイクできれば、日経平均は底入れとなり、まずは、52週移動平均線(11日現在、10245.08円)を目指すことになるだろう。

 17~18日の欧州理事会(EU首脳会議)では、EUの新しい成長戦略の「欧州2020」が正式に採択され、加盟国は自国の目標を設定し、「国家改革計画」を10年秋までに提示することになっている。また、欧州委が5月12日に提案した各国の財政政策の監視強化策や、6月8日の共同書簡で独仏首脳が求めている債券、株式、国債のCDSのEU全域でのネーキッド・ショート・セリング(現物手当てのない空売り)禁止の是非、なども議論されるとみられる。

 なお、独政府は5月19日、一部金融商品についてネーキッド・ショート・セリングの一時的禁止措置を導入した。これを受けてユーロと欧州株が急落し、市場の流動性への懸念が生じ、世界的な株安とユーロ安などが発生した。この市場の反応は決して、規制内容だけが嫌気されたわけではない。それよりもむしろ、EU内の大国である仏が、この規制に慎重だったことが嫌気された、とみている。つまり、独仏の足並みが揃っていなかったことが、市場にとって、最大の嫌気材料だったと考える。

 しかし、ここにきて、金融規制の強化で独仏が足並みを揃えた。よって、仮に、17~18日のEU首脳会議で、EU全域でのネーキッド・ショート・セリング禁止が決定されたら、5月とは全く逆の市場の反応を予想する。即ち、ヘッジファンドの損失覚悟の買戻し(踏み上げ)を起爆剤とした、ユーロ、低格付け国債、株式などの急騰だ。これが回り回って、日本株底入れのきっかけ・理由になる公算が大きい。

 信頼できるメディアが、EU首脳会議で空売り規制がEU全域で導入される可能性が高いという観測を報じるケースでは、その報道が、踏み上げ開始の合図になるだろう。また、そのような観測がなければ、18日の会議の結果が判明するまで、市場は相場反転のきっかけを待たねばならない。

 ただし、現時点で確率は低いとみているが、EU首脳会議で空売り規制導入への結論が出ない、若しくは、そのようなことが一切議論もされないというケースでは、残念だが、現状のユーロ安、世界的な株安は続く見通しだ。これまで通り、世界の投資家は高リスク商品の保有を嫌い続けるだろう。当然、海外の投資家は日本株を売り続け、その一方、安全通貨である円は買われ続ける公算が大きい。

 なお、このケースでの外国人投資家の売り物は、信託銀行経由の公的年金が拾い続けるとみている。このため、日経平均は下がるには下がるだろうが、急ピッチな下落は想定していない。先述の5月27日の9395.29円、6月9日の9378.23円付近では、少なくとも来週は、押し目買いが優勢な状況が期待できるとみている。

以上のことから、来週の日経平均の想定レンジは9378.23円~52週移動平均線(11日現在、10245.08円)だ。EU首脳会議での空売り規制導入の有無次第だが、来週の日経平均は、下振れよりも、上振れを意識したい。(編集担当:佐藤弘)
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