「月島慕情」を手にしてから、もう数カ月は経っている。
買ってすぐにページをめくったものの、この短編集・冒頭の「月島慕情」を読んでから、
先に進めなくなって数カ月だ。
先を読むのが、怖かった。
平素から小説を読むのはあまり好きでなく、
なので実用書ばかり読んでいた。
今日は、やっとの思いでページを先に進めたが、
「供物」を読んでやはりページが止まり小1時間が過ぎ、「雪鰻」を読むと、
オイラはもう完全にノックダウンされてしまった。
ただの短編小説だよね?
だけどダメ。KO負け。また先を読むのが、怖い。
オイラの感情が、激しく動揺してやまない。
浅田次郎って、凄くって嫌になる。
どのみち彼の作品を、全部読んじゃいそうだ。
「島には天皇陛下もおられず、日本国でもなかった。そこには三万人の貧乏な一家族が暮らしていたのだ。三万人が一万人になって、その一万人すらもほとんどはどこでどうなっているのかもわからぬ、苦労この上ない家族だった。気の毒な子供らは生きんがためにたがいを殺して食い合い、その事実を知った俺は、家族の名誉と人間の尊厳を誓って、その哀れなわが子を殺さねばならなかった」(P118)
「そしてこれは肝心なところだが、彼らの多くは、貴様や俺のような職業軍人ではなかった。赤紙一枚で引っ張られた、親も子も妻も恋人もいる、百姓やサラリーマンや、豆腐屋の店員や銀行員や、魚河岸の若い衆や市電の運転手や、大工や左官やカメラマンや学生だった。彼らはみな、それは苦しみ、憎悪も懐疑もしただろうが、しまいにはささやかな納得をして、潔く死んでいった」(P119~120)
最初は、いろいろと素直に感動もしていたが、
やがてはそれが相場の世界にみえてきた。
オイラ達はいったい何人が残って、
あとどれくらいこの相場という世界に生きていられるだろう。
しまいにはやがて、ささやかに納得するのだろうか。
明日は、オイラの番かもしれない。
「(死にそうになっている師団長の命令)きさま、かならず、にほんに、いきてかえれ。よいか、けっして、しぬな。かならず、ほっかいどうの、ゆきのなかにたて。いまいちど、かたく、めいずる。ふくしゅうせよ」(P122)
復讐、できたらいいけどなぁ。。
★引用 「月島慕情」 浅田次郎著 文春文庫 543円+税
2件のコメントがあります
1~2件 / 全2件
まだ全ての作品を読んでおらず、
オイラには未知なる方です。
NHKのドラマ原作になった作品もあると、
今日の書店で知りました。
凄い人ですね。
オイラには未知なる方です。
NHKのドラマ原作になった作品もあると、
今日の書店で知りました。
凄い人ですね。
浅田次郎いいですよね。ぽっぽやもよかったし。人の心に染みいる作品ですね。