四川省の省都、成都に来ています。
大阪から北京経由で5時間。
あっというまでした。
地図で確認したら、いつも行っているバンコクよりも全然近い。
ここは、パンダ、三国志、杜甫、四川料理、回鍋肉、酢辣湯…、そしてお茶が有名です。
市内でメジャーな観光地といえばなんといっても武候祠です。
武候祠は三国志のヒーローである諸葛亮を祀った祠で、近くに劉備玄徳の墓もあります。
蜀の将軍たちの彫像などもあり、三国志マニアなら必見ですな。
三国志を読んでいるのといないのとでは、成都の街に対するモノの見方が全然違ってきますね。
せっかく成都まで出かけるのでしたら、あらすじだけでも知っておくと楽しみもグッと広がります。
メシ関係ですが、何を食っても辛いです。
唐辛子を沢山放り込んであるだけの辛さではなく、山椒(花椒)のピリピリした辛さがとても効いています。
四川省は辛い料理が有名で、その代表として広く知られているのが、麻婆豆腐や坦坦麺です。
日本でも四川の麻婆豆腐は有名ですが、本場の麻婆豆腐は赤さを通り越してどす黒く、色合いそのままに、口にいれると経験のない辛さが体内に染み渡ります。
日本ではなかなか味わえないこの辛さは病みつきになります。
値段も驚くほどリーズナブルで、大人数で四川料理を堪能し、浴びるほどお酒を飲んでも、一人60元くらい(1000円以内)でおさまります。
僕のようなアルコール好きの辛党にとっては、天国のような場所です。
お茶も成都の名物の一つです。
緑茶ではなく、茶色い花茶が好んで飲まれるようです。
そして嬉しいことに、成都にはそうした茶館がとても発達しています。
昔(文化大革命以前)茶館は全国各地にあり、庶民の社交の場になっていました。
ところが、そこでもって政府の悪口やうわさ話が盛んに話されるようになり、次々と閉鎖させられてしまいました。
今、全国で茶館が復活しつつありますが、最も庶民的で、気軽に入れるのは成都の茶館でしょう。
茶館と言っても大きく分けて3つの種類があります。
最も庶民的なものは地元の人のたまり場になっていて、中からジャラジャラと麻雀牌の音が聞こえてきます。
レストランのような店構えで「茶」と書いてある所もありますが、いかにも高そうです。
お薦めなのは公園の中にある「茶席」です。
「茶館」といっても屋根のない露天で、いわゆるオープンカフェがほとんどです。
まず葉っぱを買います。
お茶には、庶民的な「三花」(三級ジャスミン茶)から中、高級クラスの竹葉青、峨眉毛峰、蒙顶甘露、碧潭飘雪までいろいろな種類があります。
花茶なら独特の茶碗に入れてくれます。
茶碗蒸し用の茶碗に似た杯です。
急須を使わず、茶葉をそのまま茶碗に入れ、熱いお湯を注ぎます。
飲むときは瓷盖で茶葉をよけます。
この茶碗を持って好きな席に座れば、お湯係りのオッサンがお湯を注ぎに来てくれます。
御代わりはいくらでもOKで、少し飲むとすぐ継ぎ足してくれます。
値段は三元から数十元までさまざま。
日本円で換算すると50円から200円ほど。
一度注文すれば、朝から晩までいても何も文句を言われません。
成都は中国猛暑三大都市のひとつで、盆地にあるために夏はとてもムシ暑いのですが、今はもう涼しくてちょうどいいくらいの季節です。
ここちよい野外の「茶席」で、桃の花、椿の花の香りが漂う中でお茶を味わいながら、まったりと読書するのが至福のひとときです。
いがいに思われるかもしれませんが、繁華街はWi-Fiも発達していて「茶席」でノートPCで株取引も可能です。
恥ずかしいのでやりませんがw
中国人のアンケート調査では、「全国最休閑的城市」(全国で一番のんびりしている都市)に選ばれているそうで、なるほど上海や北京と比べると、人口700万の大都市にもかかわらず、比較的ゆったりとした時間が流れているように思います。
最初はシドニーか香港か迷ったんですが、成都を選択して本当によかったです。
旅をしよう。
もうちょっと頑張ってみよう。
中国に来ると、つねにそう思わされるんですよ。
この国じゃ乞食も元気だし、街も人も洗練されてないけど、戦前の日本のような無骨で荒削りなパワーがあります。
あえて歯の浮いたような表現を使わせてもらうと、生きること、働くこと、愛することとか、人生を歩んでいくうえでの有効なサジェスチョンを示しうる何かがあるんでよね。