木下 晃伸さんのブログ
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短期的な視点と中長期の視点から判断する
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● 【本日のニュース】/
三井住友と大和合弁解消へ、大和SMBC大和の100%子会社に
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三井住友フィナンシャルグループと大和証券グループ本社が法人向け証券会社、大和証券SMBCの合弁を解消する方向で最終調整に入っていることが3日、明らかになった。三井住友が保有する大和SMBCの株式の持ち分すべてを大和が買い取り、100%子会社化する。銀行・証券を融合した事業を目指す三井住友と、独立した証券会社の立場を守りたい大和の経営戦略の違いから、10年の連携に終止符を打つ
(2009/09/04付日本経済新聞朝刊1面より一部抜粋)
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【ニュースの深層】短期的な視点と中長期の視点から判断する
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■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。
経済アナリスト、木下晃伸です。
■蜜月関係にあった、三井住友フィナンシャルグループと大和証券が袂を分かつことになる、との報道は、自然という見方もできますし、一方で驚きを持って見るということにもなるでしょう。
というのも、大和証券にとって旧住友銀行は恩人。山一証券が自主廃業してしまった97年11月ごろ、次は大和証券か、と噂されていたほど資金繰りに窮していました。
山一のバックにいた富士銀行は体力の低下から、山一を救うことができませんでした。しかし、大和のバックにいたのは住友。あの金融危機時において住友がバックで大和を支えていたことは、多大な信用力となったはずです。
■それから10年、金融業界を取り巻く環境は本当に大きく変わりました。合従連衡が進んだことで、私自身も4度のM&Aを経験することになりました。いまでは、私ぐらいの世代から上でM&Aを経験したことがない金融マンの方が少ないでしょう。
思い返せば、独立を果たそうとした日興は、親密だった三菱から離れ、シティと組んだ訳です。しかし、その後迷走、結果としてグループ中核が三井住友FGの傘下に入ることとなってしまったわけです。
今回の大和はどうなるか。
短期的には、独立でいくと決めることが出来る程、金融環境が好転していると考えることが出来ます。同社の株価にはマイナスとなるかもしれませんが、投資家からすれば、金融不安解消に対するひとつの安心材料と見なすことができます。
■一方、中長期で見ればどうか。
ライバルである野村は、リーマンの欧州部門を買収、ロンドンでもかなりの地位を占めるまでに急速に成長しています。他にも三菱UFJがモルガン・スタンレーに出資する等、世界を見据えた戦いになってきています。
一方の大和は、今後の国際戦略をどうしていくのか、ハッキリとした道筋が比較をした場合見えてきません。
そのとき、三井住友と組まずしてどのように自力で展開していくのか、、、
今回の経営判断が成功だったのか失敗だったのか、結果は再び10年後にハッキリするでしょう。そのとき、また私たちを取り巻く金融環境は激変しているかもしれません。
企業の行動から、短期的な動き、そして、中長期的な動きに思いを馳せるバランス感覚が株式投資に求められる好事例だと思います。
(文責:木下晃伸 きのしたてるのぶ)
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関連銘柄:
大和証券グループ本社(8601) 三井住友FG(8316) -
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1200を待っているのですが いいことはよく出ますがなかなか心配です。