TIW藤根 靖晃さんのブログ

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【NISHIMURAの眼】 2009年5月15日号

今週の株式市場は本稿を書いている14日(木)の前場で、200円を超える下げとなっている。米国株式市場の下落やこれまで上昇が続いたことによる一服感が出たものと推察される。日経平均株価は1万円の大台が視界に入ってはきたものの、これからの歩みはそう簡単ではないことを感じさせられる。とは言え、下値が結構固そうなこともあり、しばらくは揉み合う展開が予想される。

TIWでは、すべてのアナリストがメールに書き上げたレポートを添付して、レポート送付専用アドレスに送信する。その際メールには、アナリスト・インプレッションや情報ソース(説明会や取材を行った日と相手)を記載するとともに、関連テーマを記載する。この関連テーマは、低価格戦略やオーナー企業、M&A推進(買収)、上方修正期待、増配期待、株主優待積極、BRICs関連、バイオ、健康関連など全部で40あり、各アナリストはこのなかからレポート企業に最もふさわしいと考えるテーマを最小1つ、最大3つピックアップする。

関連テーマのなかに、「インプレッシブ」と「ミライ」がある。「インプレッシブ」はその名の通り印象的で、この先の株価パフォーマンスが期待できるとアナリストが考える企業である。証券会社で一般的に使われるレーティングで言えば「強気」に相当しよう。一方、「ミライ」は例えば将来的に大きく開花するような技術等を持っており、中長期の高成長が期待できるとアナリストが判断した会社である。この2つが同時にピックアップされたケースは、このシステムを導入した06年11月以来なかったように記憶しているが、私が執筆したユニ・チャーム(8113)レポート(5月11日にリリース)の送信メールには、この2つを同時に関連テーマとして取り上げた。

「インプレッシブ」と「ミライ」の並列が何を意味するかと言えば、その企業は目先の業績が良いのはもちろん、中長期に亘る企業成長が期待できる(すなわち、ロングタームでの株価上伸の可能性のある)企業ということである。私がユニ・チャームの業績が中長期で拡大すると判断したのは、アジアや中東を中心とする海外からの収益が少なくとも5~10年先、あるいはそれ以上に亘って伸びが続くと確信したからに他ならない。この意味では、ヤクルト本社(2267)も似たようなストーリーで注目しているが、スピード感は明らかにユニ・チャームのほうがあるように思われる。

せっかくなので、ユニ・チャームの海外ビジネスについて触れておきたい。終わった09/3期の連結売上高3,478億円に占める海外(アジアと欧州・中東)の割合は36%、また連結営業利益348億円に占める割合は32%(うちアジア28%、欧州・中東4%)となっている。09/3期は4期連続の増収、営業増益を達成したが、その原動力は海外、実際にはアジアだった。ちなみに、05/3期から09/3期までの5年間、国内が平均3%成長だったのに対し、海外はアジアを軸に30%程度の高成長を記録している。

アジアでは中国やインドネシアなどの人口大国をはじめ、韓国やマレーシア、タイ、台湾に進出しており、それぞれの国で概ね3位以内の高いシェアを獲得している。それぞれの国で09/3期にどれほどの伸びを記録したかと言えば、中国+34%(10/3期予想+43%)、タイ+13%(+7%)、マレーシア+3%(+20%)、インドネシア+42%(+33%)、韓国+46%(+16%)となっている。参入したアジアの国々では例外なく高い伸びとなっている点に注目して頂きたい。

この背景にあるのは、アジアの国々の経済成長とそれに伴う国民所得の増加で、いわゆる中間所得層がベビーケア(ベビー用紙おむつ)やフェミニンケア(生理用品)、ヘルスケア(大人用紙おむつ)などを使用して生活のクオリティを向上することが可能になったことがある。しかも人口的に潜在市場が大きい中国とインドネシアについては、本格的に伸びるのはむしろこれからと見られる。例えば中国での参入都市は08/3期178、09/3期262、10/3期(予)378を想定しており、今後最大マーケットの地方都市に順次販売エリアを拡大していく計画である。

加えて、最近では中国に匹敵する巨大市場であるインドに進出したほか、タイを拠点にラオスやカンボジア、ベトナムなどグレーターメコン諸国への輸出販売を拡大している。なお、同社はアジア以外でもサウジアラビアで橋頭堡を確保している。将来的にはサウジを拠点に中東や北アフリカのマーケットに進出する意向である。一方で、昨年にはM&Aで豪州第2位の紙おむつメーカーを買収して、高収益マーケットへの参入を果たした。白地だった世界地図がかなり塗りつぶされてきた。

これらを総合して、私は今後相当先までアジアでの伸びが続くだろうと結論付けた。将来長きに亘って楽観的な見通しができる会社はそう多くはないが、ユニ・チャームはそうした会社の一つと思われる。さらに付け加えれば、私が投資判断材料の一つとする世界の国々に貢献する会社でもある。同社はイスラム資金が購入することのできるS&P/TOPIX150シャリア指数構成銘柄の一つ。中東産油国の政府系ファンドが同社株を購入することを期待している。

今週のTIWレポートからは、栗田工業、ワコム、大同特殊鋼の3銘柄を取り上げる。

栗田工業(6370)同社は私がかねてから注目している会社で、本欄でも何度か取り上げた。服部シニアアナリストも強気のスタンスで、「現在の株価に割安感はないが超純水供給事業の貢献で10/3期も小幅減収減益で済みそうな点は評価できる。世界的な環境志向の潮流のなかで総合水処理会社としての高い競争力を持つ同社は海外での成長余地を残しており中期成長ポテンシャルは高い」との結論だ。5月13日の日経記事(5面)にあったが、経済産業省は日本企業が海外で手がける水資源ビジネスの支援策を強化する。同社を含めた水処理関連企業の活躍する場面は今後大きく拡大することになろう。

ワコム(6727)これも服部シニアアナリストの担当銘柄。株価は1月の安値から2倍以上となっているが、同アナリストは、「中期的な収益拡大ポテンシャルを踏まえれば更なる上値余地もありそう」と見ている。10/3期の会社計画は前期比5%増収、18%営業減益と利益面を厳しく想定している。但し、この下期にタッチパネル向けコンポーネントの新製品が立ち上がる見通しであり、同社の中期的な収益拡大を牽引することが期待されるという。

大同特殊鋼(5471)佐藤シニアアナリストは、「同社の10/3期予想営業利益95億円は最低線。株価は、業績の底打ちで中期上昇トレンドに転じた可能性が高い」との結論だ。業績的には、10/3期は営業赤字に転落する見込みながら、四半期ベースでは09/3期4Q(1-3月)を底に緩やかに回復、下期からは営業黒字に復帰するという。自動車減産の影響は大きいものの、鉄スクラップ等の原材料価格の下落や事業構造改革によるコスト削減効果が期待できる見通しだ。

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