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ステップのニュース
■今後の見通し
2. 今後の成長戦略
ステップ<9795>は2019年9月期から2020年9月期までの2年間を、将来の持続的な成長を実現していくための基盤を構築する期間として位置付け、積極的な投資を進めていく方針を打ち出していた。初年度の2019年9月期は「翠嵐プロジェクト」の目標を達成するなど、期待以上の成果が得られており、今後も以下の施策に取り組むことで、収益拡大を継続していくものと予想される。
(1) 新スクールの開校は、川崎と横浜北部地域を中心に展開
今後の新スクールの進出地域は、現在、5スクールにとどまっている川崎市や横浜北部を中心とした地域に積極的にシフトしていく予定にしている。神奈川県内でも川崎市や横浜市北部地区、藤沢市は、今後10年以上、就学人口の増加が見込まれているためだ。県内の公立中学校の地域別生徒数で見ると、川崎市と横浜北部地区で全体の32.7%を占めており(2019年5月時点)、今後10年間でその比率はさらに上昇することが予想される。このため、これらの地域で進学学習塾としての圧倒的な基盤を確立し、生徒数を獲得していくことが持続的な成長を実現していくうえで最も重要であると考えている。
ただ、これら地域については同社の条件に適う不動産物件が見つかりにくく、賃貸物件に入居したとしても家賃が県西部エリアの約1.5倍と高いこともあり、必然的に利益率が低くなるといった課題もある。ただ、対価に見合うだけの教育サービスを提供し圧倒的なブランド力が確立できれば、将来的に料金の見直しも可能と考えている。
(2) 「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」を継続
横浜・川崎地区でのブランド力を強化するために、「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」に継続して取り組んでいく。学習塾としてのブランド力を高めるには、難関校の合格者実績がもっとも客観的で分かりやすい指標となるためだ。競合塾の巻き返しも予想されるが、2020年春も両プロジェクトを達成する可能性は高く、同社は3年連続で目標を達成できれば、圧倒的なブランド力を構築できると見ている。このため、2021年9月期までは小中学生部門の開校ペースも従来の年間4~5校ペースから2~3校ペースに抑え、全社一丸となってプロジェクト達成を目指していく方針となっている。
(3) 学童保育は2020年からネットワーク化を開始
「STEPキッズ」は前述したとおり、学童保育の経験・ノウハウを蓄積できたことから、2020年以降、教室数を拡大していく。成長のカギを握るのは人材の確保となる。特に低学年の児童は感受性が豊かであり、心情変化の機微を敏感に察知し適切な対応ができる人材が必要となる。同社は「STEP」の女性講師で結婚後に育児休職から復帰してくる人材等、学童保育部門の適性に合った人材を各教室に配置していく予定にしている。
(4) IT投資
授業の質の向上と教師の生産性向上を図るために、IT関連機器の投資を継続して進めていく。既に、最新鋭プロジェクターの全スクール導入を終えたほか、「はば広教養」※でクイズ形式の授業を行う際に使用する早押しボタン機についてもコードレスタイプを各教室に導入した。IT機器ではないものの、今後は図書の拡充も進めていく予定にしている。
※はば広教養:社会的分野や理科的分野など教科の枠を越えた教養を幅広く身に付けていく授業。パワーポイントやプロジェクターを使って授業を進めていくほか、早押し機を使ったクイズ形式の授業も取り入れることで、「楽しんで学ぶ」カリキュラムとなっている。2017年春より小学5~6年生で導入を開始し、2018年春からは中学1年生でも開始している。
また、ここ最近はAIとIT機器を活用した学習サービスを提供する学習塾が増えているが、同社でも個別指導部門においては、フェイス・トゥー・フェイスの指導を補完する演習ツールの一つとして試験的な導入を検討している。ただ、プロの教師による生きた学習指導やチューターによる進路相談等は、AIで置き換えることは難しく逆にこうしたサービスを提供できることが同社の特徴であり強みであることに変わりはない。実際、大学入試の英語試験で混乱が生じているが、こうした局面での適確なアドバイスは同社の得意とするところである。
(5) 人材採用・育成の強化
校舎数を拡大していくためには、教師となる人材の採用・育成を強化していくことが重要となる。採用については、新卒採用に加えて2017年より開始したリファラル採用(社員紹介入社)を強化している。同業他社からの入社も多く、会社の状況をある程度理解し共感して入社するので、通常の転職サイトや一般応募から入社する社員と比較して、仕事が進めやすく離職率も低くなるといった効果が期待できる。2020年春の新卒内定者数は目標を若干下回ったが、不足する部分についてはリファラル採用などで補充していく方針となっている。
また、人材育成については研修プログラム等の改善に向けた検討を常時行いながら、時間をかけて研修を行った上でスクールに配属する体制づくりを進めていく。なお、離職率に関しては、学習塾としては低水準で推移している。
(6) 運営方針と生徒募集活動、価格政策について
進行する少子化に対応すべく、今後も校舎規模を必要以上に拡大せず、「何よりも授業の質を大切にする」という基本方針を徹底させ、堅実な成長を目指していく。生徒募集活動については従来、生徒や保護者からの口コミが中心で、一部チラシ広告を行っていたが、新聞購読者数の減少とインターネットの普及といった環境変化に対応し、今後はチラシ広告を抑制し、教室ごとのホームページの充実とWebの活用を積極的に進め、長期的なスタンスで生徒募集・校舎運営の体制を構築していく方針となっている。なお、「塾ナビ」のような学習塾の比較サイトへの広告出稿については今後も予定していない。価格政策については、競合塾がディスカウント戦略を仕掛けているが、同社は「高品質の授業とシステム」を「安売りせず」提供していく方針を今後も継続していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 今後の成長戦略
ステップ<9795>は2019年9月期から2020年9月期までの2年間を、将来の持続的な成長を実現していくための基盤を構築する期間として位置付け、積極的な投資を進めていく方針を打ち出していた。初年度の2019年9月期は「翠嵐プロジェクト」の目標を達成するなど、期待以上の成果が得られており、今後も以下の施策に取り組むことで、収益拡大を継続していくものと予想される。
(1) 新スクールの開校は、川崎と横浜北部地域を中心に展開
今後の新スクールの進出地域は、現在、5スクールにとどまっている川崎市や横浜北部を中心とした地域に積極的にシフトしていく予定にしている。神奈川県内でも川崎市や横浜市北部地区、藤沢市は、今後10年以上、就学人口の増加が見込まれているためだ。県内の公立中学校の地域別生徒数で見ると、川崎市と横浜北部地区で全体の32.7%を占めており(2019年5月時点)、今後10年間でその比率はさらに上昇することが予想される。このため、これらの地域で進学学習塾としての圧倒的な基盤を確立し、生徒数を獲得していくことが持続的な成長を実現していくうえで最も重要であると考えている。
ただ、これら地域については同社の条件に適う不動産物件が見つかりにくく、賃貸物件に入居したとしても家賃が県西部エリアの約1.5倍と高いこともあり、必然的に利益率が低くなるといった課題もある。ただ、対価に見合うだけの教育サービスを提供し圧倒的なブランド力が確立できれば、将来的に料金の見直しも可能と考えている。
(2) 「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」を継続
横浜・川崎地区でのブランド力を強化するために、「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」に継続して取り組んでいく。学習塾としてのブランド力を高めるには、難関校の合格者実績がもっとも客観的で分かりやすい指標となるためだ。競合塾の巻き返しも予想されるが、2020年春も両プロジェクトを達成する可能性は高く、同社は3年連続で目標を達成できれば、圧倒的なブランド力を構築できると見ている。このため、2021年9月期までは小中学生部門の開校ペースも従来の年間4~5校ペースから2~3校ペースに抑え、全社一丸となってプロジェクト達成を目指していく方針となっている。
(3) 学童保育は2020年からネットワーク化を開始
「STEPキッズ」は前述したとおり、学童保育の経験・ノウハウを蓄積できたことから、2020年以降、教室数を拡大していく。成長のカギを握るのは人材の確保となる。特に低学年の児童は感受性が豊かであり、心情変化の機微を敏感に察知し適切な対応ができる人材が必要となる。同社は「STEP」の女性講師で結婚後に育児休職から復帰してくる人材等、学童保育部門の適性に合った人材を各教室に配置していく予定にしている。
(4) IT投資
授業の質の向上と教師の生産性向上を図るために、IT関連機器の投資を継続して進めていく。既に、最新鋭プロジェクターの全スクール導入を終えたほか、「はば広教養」※でクイズ形式の授業を行う際に使用する早押しボタン機についてもコードレスタイプを各教室に導入した。IT機器ではないものの、今後は図書の拡充も進めていく予定にしている。
※はば広教養:社会的分野や理科的分野など教科の枠を越えた教養を幅広く身に付けていく授業。パワーポイントやプロジェクターを使って授業を進めていくほか、早押し機を使ったクイズ形式の授業も取り入れることで、「楽しんで学ぶ」カリキュラムとなっている。2017年春より小学5~6年生で導入を開始し、2018年春からは中学1年生でも開始している。
また、ここ最近はAIとIT機器を活用した学習サービスを提供する学習塾が増えているが、同社でも個別指導部門においては、フェイス・トゥー・フェイスの指導を補完する演習ツールの一つとして試験的な導入を検討している。ただ、プロの教師による生きた学習指導やチューターによる進路相談等は、AIで置き換えることは難しく逆にこうしたサービスを提供できることが同社の特徴であり強みであることに変わりはない。実際、大学入試の英語試験で混乱が生じているが、こうした局面での適確なアドバイスは同社の得意とするところである。
(5) 人材採用・育成の強化
校舎数を拡大していくためには、教師となる人材の採用・育成を強化していくことが重要となる。採用については、新卒採用に加えて2017年より開始したリファラル採用(社員紹介入社)を強化している。同業他社からの入社も多く、会社の状況をある程度理解し共感して入社するので、通常の転職サイトや一般応募から入社する社員と比較して、仕事が進めやすく離職率も低くなるといった効果が期待できる。2020年春の新卒内定者数は目標を若干下回ったが、不足する部分についてはリファラル採用などで補充していく方針となっている。
また、人材育成については研修プログラム等の改善に向けた検討を常時行いながら、時間をかけて研修を行った上でスクールに配属する体制づくりを進めていく。なお、離職率に関しては、学習塾としては低水準で推移している。
(6) 運営方針と生徒募集活動、価格政策について
進行する少子化に対応すべく、今後も校舎規模を必要以上に拡大せず、「何よりも授業の質を大切にする」という基本方針を徹底させ、堅実な成長を目指していく。生徒募集活動については従来、生徒や保護者からの口コミが中心で、一部チラシ広告を行っていたが、新聞購読者数の減少とインターネットの普及といった環境変化に対応し、今後はチラシ広告を抑制し、教室ごとのホームページの充実とWebの活用を積極的に進め、長期的なスタンスで生徒募集・校舎運営の体制を構築していく方針となっている。なお、「塾ナビ」のような学習塾の比較サイトへの広告出稿については今後も予定していない。価格政策については、競合塾がディスカウント戦略を仕掛けているが、同社は「高品質の授業とシステム」を「安売りせず」提供していく方針を今後も継続していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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