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*13:21JST NSW Research Memo(1):中期経営計画2年目の2024年3月期業績は順調
■要約
NSW<9739>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する独立系ITソリューションプロバイダで、技術者が従業員の9割近くを占めるエンジニア集団である。事業区分はエンタープライズソリューション、サービスソリューション、エンベデッドソリューション、デバイスソリューションの4セグメントで、各事業のシナジーを生かしたIoTやAIをはじめとしたデジタル技術を軸に、DXの実現による顧客価値の共創に取り組んでいる。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高50,299百万円(前期比8.9%増)、営業利益5,862百万円(同8.8%増)で、過去最高業績を更新する12期連続の増収増益で、中期経営計画目標の売上高50,000百万円を1年前倒しで達成する好決算であった。期初計画比では売上高で3.7%、営業利益で4.7%それぞれ上回って着地した。営業利益率は前期と同水準の11.7%であったが、売上目標達成に伴う一時金の支給という特殊要因を除けば、実質12%台に改善している。また、今後の売上増につながる受注高は、50,784百万円(同4.1%増)と堅調であった。セグメント別では、エンタープライズソリューションは、収益性の高い案件の貢献から大幅な増収増益となり、同社の好業績をけん引した。サービスソリューションは大型案件獲得により増収となったものの、一部プロジェクト不採算化の影響から減益となった。エンベデッドソリューションは、オートモーティブをはじめとする各分野が好調で大幅増収増益であった。またデバイスソリューションは、半導体設計・開発・評価分野が堅調に推移し、小幅の増収増益を確保した。以上から、自己資本比率は75.2%(前期末比1.7ポイント上昇)と、2023年3月期の東証プライム市場の「情報・通信業」の平均30.6%を大きく上回り、引き続き極めて高い財務の健全性を維持している。また、ROE13.6%、ROA14.0%も同平均ROE7.2%、ROA4.1%を大きく上回り、高い収益性であると評価できる。配当性向の目安を30%に引き上げたことで、1株当たり年間配当金を大幅増額の85円(前期比30円増)とし、株主還元にも十分に配慮していると言えよう。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績については、売上高52,000百万円(前期比3.4%増)、営業利益6,000百万円(同2.3%増)と、売上高・営業利益は13期連続となる増収増益を予想する。前期の実績・伸び率に比べて慎重な計画であるが、経営環境の不透明さを織り込んでいるためだ。セグメント別では、エンタープライズソリューションは、売上高は横ばいで減益を見込むが、組織変更の影響を除けば実質横ばいである。サービスソリューションは、売上は好調で、不採算案件の正常化に伴い増益を計画する。エンベデッドソリューションは、売上高・営業利益ともおおむね横ばいと見込む。また、デバイスソリューションは、売上高は微増と見るが、営業利益は海外パートナー拡大に伴うコストアップにより減益を見込む。以上から、1株当たり配当金については、前期と同額の年間配当85円を予定している。ただ、同社は従来より保守的な期初予想を発表する傾向が強いことから、計画を達成する可能性が高いと弊社では見ている。
3. 中期経営計画
中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、「デジタル変革による社会と企業の持続的成長の両立~技術と知によりお客様とビジネスを共創するSIer※への進化~」を基本方針とし、「DX FIRST」と「共創」をコンセプトに、「DX実現による顧客価値の追求」「選択と集中による収益力強化」「将来成長に向けた戦略的投資」を重点戦略に掲げた。また、売上高50,000百万円(年平均成長率4.8%増)、営業利益率11%などを業績目標としている。新たにスタートした4セグメント制の事業方針と「DX FIRST」に向けた取り組みを推進することで、増収増益を達成する計画である。2年目の2024年3月期まで業績は順調に推移しており、重点戦略に沿って次々と新たな取り組みを始めている。また、サステナビリティへの取り組みにも注力している。最終年度の中期経営計画の進捗状況に注目したい。
※SIはSystem Integrationの略、SIer(エスアイヤー)はクライアントのシステム開発や運用などを請け負うサービス事業者のこと。
■Key Points
・独立系ITソリューションプロバイダで、事業を4セグメントに区分
・2024年3月期業績は増収増益で期初計画を達成し、過去最高業績を更新。大幅増配を実施し、株主還元にも前向き
・2025年3月期は小幅の増収増益と前期と同額の配当を計画。期初の業績予想は保守的な傾向
・中期経営計画では「DX実現による顧客価値の追求」「選択と集中による収益力強化」「将来成長に向けた戦略的投資」を重点戦略に、2025年3月期に売上高50,000百万円、営業利益率11%を目指す。2年目まで売上高・営業利益率は計画を上回るペースで、順調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SO>
NSW<9739>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する独立系ITソリューションプロバイダで、技術者が従業員の9割近くを占めるエンジニア集団である。事業区分はエンタープライズソリューション、サービスソリューション、エンベデッドソリューション、デバイスソリューションの4セグメントで、各事業のシナジーを生かしたIoTやAIをはじめとしたデジタル技術を軸に、DXの実現による顧客価値の共創に取り組んでいる。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高50,299百万円(前期比8.9%増)、営業利益5,862百万円(同8.8%増)で、過去最高業績を更新する12期連続の増収増益で、中期経営計画目標の売上高50,000百万円を1年前倒しで達成する好決算であった。期初計画比では売上高で3.7%、営業利益で4.7%それぞれ上回って着地した。営業利益率は前期と同水準の11.7%であったが、売上目標達成に伴う一時金の支給という特殊要因を除けば、実質12%台に改善している。また、今後の売上増につながる受注高は、50,784百万円(同4.1%増)と堅調であった。セグメント別では、エンタープライズソリューションは、収益性の高い案件の貢献から大幅な増収増益となり、同社の好業績をけん引した。サービスソリューションは大型案件獲得により増収となったものの、一部プロジェクト不採算化の影響から減益となった。エンベデッドソリューションは、オートモーティブをはじめとする各分野が好調で大幅増収増益であった。またデバイスソリューションは、半導体設計・開発・評価分野が堅調に推移し、小幅の増収増益を確保した。以上から、自己資本比率は75.2%(前期末比1.7ポイント上昇)と、2023年3月期の東証プライム市場の「情報・通信業」の平均30.6%を大きく上回り、引き続き極めて高い財務の健全性を維持している。また、ROE13.6%、ROA14.0%も同平均ROE7.2%、ROA4.1%を大きく上回り、高い収益性であると評価できる。配当性向の目安を30%に引き上げたことで、1株当たり年間配当金を大幅増額の85円(前期比30円増)とし、株主還元にも十分に配慮していると言えよう。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績については、売上高52,000百万円(前期比3.4%増)、営業利益6,000百万円(同2.3%増)と、売上高・営業利益は13期連続となる増収増益を予想する。前期の実績・伸び率に比べて慎重な計画であるが、経営環境の不透明さを織り込んでいるためだ。セグメント別では、エンタープライズソリューションは、売上高は横ばいで減益を見込むが、組織変更の影響を除けば実質横ばいである。サービスソリューションは、売上は好調で、不採算案件の正常化に伴い増益を計画する。エンベデッドソリューションは、売上高・営業利益ともおおむね横ばいと見込む。また、デバイスソリューションは、売上高は微増と見るが、営業利益は海外パートナー拡大に伴うコストアップにより減益を見込む。以上から、1株当たり配当金については、前期と同額の年間配当85円を予定している。ただ、同社は従来より保守的な期初予想を発表する傾向が強いことから、計画を達成する可能性が高いと弊社では見ている。
3. 中期経営計画
中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、「デジタル変革による社会と企業の持続的成長の両立~技術と知によりお客様とビジネスを共創するSIer※への進化~」を基本方針とし、「DX FIRST」と「共創」をコンセプトに、「DX実現による顧客価値の追求」「選択と集中による収益力強化」「将来成長に向けた戦略的投資」を重点戦略に掲げた。また、売上高50,000百万円(年平均成長率4.8%増)、営業利益率11%などを業績目標としている。新たにスタートした4セグメント制の事業方針と「DX FIRST」に向けた取り組みを推進することで、増収増益を達成する計画である。2年目の2024年3月期まで業績は順調に推移しており、重点戦略に沿って次々と新たな取り組みを始めている。また、サステナビリティへの取り組みにも注力している。最終年度の中期経営計画の進捗状況に注目したい。
※SIはSystem Integrationの略、SIer(エスアイヤー)はクライアントのシステム開発や運用などを請け負うサービス事業者のこと。
■Key Points
・独立系ITソリューションプロバイダで、事業を4セグメントに区分
・2024年3月期業績は増収増益で期初計画を達成し、過去最高業績を更新。大幅増配を実施し、株主還元にも前向き
・2025年3月期は小幅の増収増益と前期と同額の配当を計画。期初の業績予想は保守的な傾向
・中期経営計画では「DX実現による顧客価値の追求」「選択と集中による収益力強化」「将来成長に向けた戦略的投資」を重点戦略に、2025年3月期に売上高50,000百万円、営業利益率11%を目指す。2年目まで売上高・営業利益率は計画を上回るペースで、順調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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