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期間
中期投資 (数週間~数ヶ月単位で売り買い)
理由
業績(会社計画の修正発表を含む)
魚の食欲をAI判定、超低温で凍結 水産に驚異の技術
日経産業新聞
2019/11/21 2:00
2943文字
[有料会員限定]
四方を海に囲まれた日本で、消費者の「さかな離れ」が止まらない。さらにマグロやサンマは乱獲などの影響で将来に不安が残る。そんな問題山積の水産業を救おうとスタートアップが立ち上がった。人工知能(AI)などの先端技術を駆使し、鮮魚の価値を最大限に高める。水産業支援の「大海原」にこぎ出した各社の針路を追った。
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「今日はよく食べてるな。もう少しエサを追加してみるか」。ここはマダイの養殖を手掛ける漁業者の自宅。手元のスマートフォンにはマダイがエサを食べている動画と棒グラフが表示されている。スマホを操作すると遠く離れた海上のいけすの機器が作動し、エサを海中に投入し始めた。
■養殖魚の食いつき方をAIが解析
これは養殖関連スタートアップのウミトロン(東京・港)が開発したシステムの利用風景だ。グラフは魚の「食欲」を自動で評価する。エサを食べる様子をカメラで撮影し、人工知能(AI)が画像を解析する仕組み。食欲は群れ全体で判断する。勢いよく食い付く魚が多ければ多いほどAIが高い点数を付ける。
養殖の現場では漁業者が船でいけすを回って魚の様子を確認し、エサをやる。ウミトロンの共同創業者である藤原謙氏は「エサの量やタイミングは個人の勘に頼っているのが実情だ」と話す。
養殖コストの6~7割はエサ代が占めるとされる。食欲がないタイミングでは量を減らし、食べたいときに増やせば効率よく魚を成長させられる。過剰なエサは赤潮の原因ともいわれ、適正な管理は環境保全でも重要だ。いけすを回る労力を省ける効果も大きい。
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ウミトロンの藤原氏は、実は水産業とは無関係な経歴の持ち主だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)で人工衛星の開発に携わる技術者だった。なぜ畑違いの水産支援に乗り出したのか。
「宇宙も海も、環境が不安定でセンシング(探査)が難しい点は同じ」。これが藤原氏の持論だ。JAXAで培った宇宙開発の技術を海でも生かそうと考え、2016年に知人2人と起業した。同社のシステムは愛媛県や大分県などの養殖事業者に導入されている。
10月には米州開発銀行(IDB)と連携し、ペルーのティティカカ湖の養殖場にAIを搭載した自動給餌機を設置した。サーモントラウトの養殖事業者などが利用する。今後は東南アジアでも導入を進める方針だ。
■国内消費量が25%減少
日本人の「さかな離れ」は深刻。農林水産省によれば16年度の1人当たり水産物消費量は24.6キログラムだった。06年度と比べ25%も減っている。
しかし世界全体でみれば状況は正反対だ。国連食糧農業機関(FAO)によれば13年の1人あたり水産物消費量は10年前よりも16%増加した。需要拡大に応じるため養殖生産量も17年段階で2億4958万トンと5年前に比べて4割増えている。海外に目を向ければ水産業は「成長産業」だ。
消費者に振り向いてもらうには魚の味を良くする努力も欠かせない。氷製造技術を持つスタートアップのブランテックインターナショナル(東京・千代田)は、鮮魚の味を良くするため漁師がする「血抜き」を簡単にできる技術を開発した。
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技術のポイントは食塩水を雪状に凍らせた「ハイブリッドアイス」にあり、セ氏マイナス60度の金属ドラムに濃度23.5%の食塩水を静かに注ぎ込んで完成する。これに生きたままの魚をつけると約1分で表面が凍る。冷気やアルコールによる冷凍より格段に速い。
魚が生きたまま凍ると生命を維持する本能が働き、筋肉の血液が内臓に集まる。調理の際に内臓を取り除けば「血抜き」と同じ効果が得られるため、短時間で大量の処理が可能になるという。
この技術は、実はスキー場に人工の雪を降らせる手法が出発点だ。金属ドラムの温度や食塩水の濃度、かける速さなどを研究し、塩と水を分離させずに凍らせることに成功した。ブランテックの創業者である広兼美雄社長は雪をつくる機械の製造販売をしていたが、スキー人口の減少で撤退。技術を食品向けに役立てようと18年に起業した。
ハイブリッドアイスの活用場面は徐々に広がっている。水産加工会社のケンスイ(広島県廿日市市)は旬のカキを冷凍する工場にハイブリッドアイスを採用した。このほか国内の約10カ所やモロッコ、韓国の工場に導入されている。広兼社長は今後の展開について「世界で必要とされる技術だ。まずはアジアに進出していきたい」と話す。
■地域産業を元気に
「日本の養殖魚をどれだけ売るかが勝負だ。ここが変われば、日本の地域産業は根本から元気になる」。こう話すのは近畿大学の教授で養殖魚を加工、販売するスタートアップ、食縁(和歌山県新宮市)社長でもある有路昌彦氏だ。水産業の経営に関する研究者だったが、研究の成果を自ら実現しようと近大の支援を受けて2013年に起業した。
食縁は近大水産養殖種苗センターと共同開発した養殖魚「鮮熟真鯛」のインターネット販売を15日に始めた。同社によれば、一口食べれば分かるほどにうまみが濃いのが特徴という。「うま味調味料をかけているのか、と食べた人に聞かれたこともある」(有路社長)。鍵となったのは高級江戸前ずしの職人技である「熟成」を科学的に再現したことだ。
ここでいう熟成は切り身の魚に塩を振り、しばらく寝かせることでうまみを引き出す技法を指す。塩の量や熟成時間はまさに職人秘伝の技だ。「何がどう効いているのか分からず、大量生産ではなかなか再現できない」(有路社長)。そこで魚のしめ方や熟成方法を少しずつ変え、効果を比べる実験を繰り返した。
その結果、生物の細胞のエネルギー源であり「うまみ」の素となるATP(アデノシン三リン酸)が身に多く残っていることが重要だという事実が浮かび上がってきた。収穫後に魚が暴れると、ATPを消費してしまう。そこで食縁は工場の目の前のいけすから魚を引き揚げた後、なるべく早く落ち着かせてしめる工夫を凝らす。しめた後はなるべく早く、身が固くなりすぎない適切な温度帯まで冷やす。
身に残ったATPは熟成するうちに魚自身が持つ酵素によって分解され、うまみ成分のイノシン酸となる。ただし熟成時間が長すぎるとイノシン酸は逆に減ってしまう。
熟成の成否は温度や塩分量、水分量などに左右される。時間と温度、水分のベストバランスを毎日のように食べ比べ、探り当てた。熟成後は最高のタイミングで冷凍し、熟成を止めて出荷する。
■世界市場で再び競争力を
近大は養殖魚の稚魚を開発・生産し、養殖業者に販売する水産事業者としての顔も持つ。今後は欧州などへの海外展開も視野に入れている。
有路社長は「近大生まれの魚を地域の養殖業者が育て、食縁が付加価値を付けて海外へ出す。これが理想の姿だ」と夢を描く。「出世魚」になるため、世界市場で新たな需要を開拓する構えだ。
料亭で提供されるような鮮魚の処理方法が広く使われるようになれば、消費者の「さかな離れ」に歯止めがかかるかもしれない。しかも人口が急速に増加する新興国では、肉類と比べて安価に手に入る魚介類の需要が今後も拡大する見通し。日本の水産業がスタートアップの力を借りて革新できれば、世界市場で再び競争力を発揮できる。
(企業報道部 山田彩未、潟山美穂)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52389260Q9A121C1X11000/
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO5236353019112019X11001&dc=1&ng=DGXMZO52389260Q9A121C1X11000&z=20191121
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO5236354019112019X11001&dc=1&ng=DGXMZO52389260Q9A121C1X11000&z=20191121
日経産業新聞
2019/11/21 2:00
2943文字
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四方を海に囲まれた日本で、消費者の「さかな離れ」が止まらない。さらにマグロやサンマは乱獲などの影響で将来に不安が残る。そんな問題山積の水産業を救おうとスタートアップが立ち上がった。人工知能(AI)などの先端技術を駆使し、鮮魚の価値を最大限に高める。水産業支援の「大海原」にこぎ出した各社の針路を追った。
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「今日はよく食べてるな。もう少しエサを追加してみるか」。ここはマダイの養殖を手掛ける漁業者の自宅。手元のスマートフォンにはマダイがエサを食べている動画と棒グラフが表示されている。スマホを操作すると遠く離れた海上のいけすの機器が作動し、エサを海中に投入し始めた。
■養殖魚の食いつき方をAIが解析
これは養殖関連スタートアップのウミトロン(東京・港)が開発したシステムの利用風景だ。グラフは魚の「食欲」を自動で評価する。エサを食べる様子をカメラで撮影し、人工知能(AI)が画像を解析する仕組み。食欲は群れ全体で判断する。勢いよく食い付く魚が多ければ多いほどAIが高い点数を付ける。
養殖の現場では漁業者が船でいけすを回って魚の様子を確認し、エサをやる。ウミトロンの共同創業者である藤原謙氏は「エサの量やタイミングは個人の勘に頼っているのが実情だ」と話す。
養殖コストの6~7割はエサ代が占めるとされる。食欲がないタイミングでは量を減らし、食べたいときに増やせば効率よく魚を成長させられる。過剰なエサは赤潮の原因ともいわれ、適正な管理は環境保全でも重要だ。いけすを回る労力を省ける効果も大きい。
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ウミトロンの藤原氏は、実は水産業とは無関係な経歴の持ち主だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)で人工衛星の開発に携わる技術者だった。なぜ畑違いの水産支援に乗り出したのか。
「宇宙も海も、環境が不安定でセンシング(探査)が難しい点は同じ」。これが藤原氏の持論だ。JAXAで培った宇宙開発の技術を海でも生かそうと考え、2016年に知人2人と起業した。同社のシステムは愛媛県や大分県などの養殖事業者に導入されている。
10月には米州開発銀行(IDB)と連携し、ペルーのティティカカ湖の養殖場にAIを搭載した自動給餌機を設置した。サーモントラウトの養殖事業者などが利用する。今後は東南アジアでも導入を進める方針だ。
■国内消費量が25%減少
日本人の「さかな離れ」は深刻。農林水産省によれば16年度の1人当たり水産物消費量は24.6キログラムだった。06年度と比べ25%も減っている。
しかし世界全体でみれば状況は正反対だ。国連食糧農業機関(FAO)によれば13年の1人あたり水産物消費量は10年前よりも16%増加した。需要拡大に応じるため養殖生産量も17年段階で2億4958万トンと5年前に比べて4割増えている。海外に目を向ければ水産業は「成長産業」だ。
消費者に振り向いてもらうには魚の味を良くする努力も欠かせない。氷製造技術を持つスタートアップのブランテックインターナショナル(東京・千代田)は、鮮魚の味を良くするため漁師がする「血抜き」を簡単にできる技術を開発した。
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技術のポイントは食塩水を雪状に凍らせた「ハイブリッドアイス」にあり、セ氏マイナス60度の金属ドラムに濃度23.5%の食塩水を静かに注ぎ込んで完成する。これに生きたままの魚をつけると約1分で表面が凍る。冷気やアルコールによる冷凍より格段に速い。
魚が生きたまま凍ると生命を維持する本能が働き、筋肉の血液が内臓に集まる。調理の際に内臓を取り除けば「血抜き」と同じ効果が得られるため、短時間で大量の処理が可能になるという。
この技術は、実はスキー場に人工の雪を降らせる手法が出発点だ。金属ドラムの温度や食塩水の濃度、かける速さなどを研究し、塩と水を分離させずに凍らせることに成功した。ブランテックの創業者である広兼美雄社長は雪をつくる機械の製造販売をしていたが、スキー人口の減少で撤退。技術を食品向けに役立てようと18年に起業した。
ハイブリッドアイスの活用場面は徐々に広がっている。水産加工会社のケンスイ(広島県廿日市市)は旬のカキを冷凍する工場にハイブリッドアイスを採用した。このほか国内の約10カ所やモロッコ、韓国の工場に導入されている。広兼社長は今後の展開について「世界で必要とされる技術だ。まずはアジアに進出していきたい」と話す。
■地域産業を元気に
「日本の養殖魚をどれだけ売るかが勝負だ。ここが変われば、日本の地域産業は根本から元気になる」。こう話すのは近畿大学の教授で養殖魚を加工、販売するスタートアップ、食縁(和歌山県新宮市)社長でもある有路昌彦氏だ。水産業の経営に関する研究者だったが、研究の成果を自ら実現しようと近大の支援を受けて2013年に起業した。
食縁は近大水産養殖種苗センターと共同開発した養殖魚「鮮熟真鯛」のインターネット販売を15日に始めた。同社によれば、一口食べれば分かるほどにうまみが濃いのが特徴という。「うま味調味料をかけているのか、と食べた人に聞かれたこともある」(有路社長)。鍵となったのは高級江戸前ずしの職人技である「熟成」を科学的に再現したことだ。
ここでいう熟成は切り身の魚に塩を振り、しばらく寝かせることでうまみを引き出す技法を指す。塩の量や熟成時間はまさに職人秘伝の技だ。「何がどう効いているのか分からず、大量生産ではなかなか再現できない」(有路社長)。そこで魚のしめ方や熟成方法を少しずつ変え、効果を比べる実験を繰り返した。
その結果、生物の細胞のエネルギー源であり「うまみ」の素となるATP(アデノシン三リン酸)が身に多く残っていることが重要だという事実が浮かび上がってきた。収穫後に魚が暴れると、ATPを消費してしまう。そこで食縁は工場の目の前のいけすから魚を引き揚げた後、なるべく早く落ち着かせてしめる工夫を凝らす。しめた後はなるべく早く、身が固くなりすぎない適切な温度帯まで冷やす。
身に残ったATPは熟成するうちに魚自身が持つ酵素によって分解され、うまみ成分のイノシン酸となる。ただし熟成時間が長すぎるとイノシン酸は逆に減ってしまう。
熟成の成否は温度や塩分量、水分量などに左右される。時間と温度、水分のベストバランスを毎日のように食べ比べ、探り当てた。熟成後は最高のタイミングで冷凍し、熟成を止めて出荷する。
■世界市場で再び競争力を
近大は養殖魚の稚魚を開発・生産し、養殖業者に販売する水産事業者としての顔も持つ。今後は欧州などへの海外展開も視野に入れている。
有路社長は「近大生まれの魚を地域の養殖業者が育て、食縁が付加価値を付けて海外へ出す。これが理想の姿だ」と夢を描く。「出世魚」になるため、世界市場で新たな需要を開拓する構えだ。
料亭で提供されるような鮮魚の処理方法が広く使われるようになれば、消費者の「さかな離れ」に歯止めがかかるかもしれない。しかも人口が急速に増加する新興国では、肉類と比べて安価に手に入る魚介類の需要が今後も拡大する見通し。日本の水産業がスタートアップの力を借りて革新できれば、世界市場で再び競争力を発揮できる。
(企業報道部 山田彩未、潟山美穂)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52389260Q9A121C1X11000/
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO5236353019112019X11001&dc=1&ng=DGXMZO52389260Q9A121C1X11000&z=20191121
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