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プログリットのニュース
*13:03JST プログリット Research Memo(3):顧客ニーズに答えるオーダーメイド型英語コーチングサービスに定評
■プログリット<9560>の事業概要
1. 事業内容
同社は英語コーチングサービス「プログリット」とサブスクサービス「シャドテン」を提供している。事業コンセプトは「人×テクノロジー」としており、英語学習に革新を起こすべく、人の力とテクノロジーの力を融合させた科学的根拠のある英語学習を提供している。顧客の学習目標を達成させるため、サービスを開発・提供する過程の要所においてテクノロジーを用いることで、学習内容の充実と効率を向上させている。例えば、従来の英語学習では、生徒が教室で教師から講義を受け、英会話を通して学習を行う形式が一般的で、標準化された配布資料や本、紙やペンを用いて学習が進められていた。しかし今日では、ノートパソコン、タブレットといった情報端末を多くの学生や社会人が所有・使用しており、これらのテクノロジーが講義などの従来学習の在り方を変化させている。それらの情報端末を活用した場合と従来の紙媒体の教材を活用した場合を比較すると、言うまでもなく前者が様々な面で学習効率を向上できることから、同社もこの変化の流れを汲んでおり、すべてのサービス開発・提供において、様々な目的に応じたテクノロジーが用いられている。学習アプリを自社で開発し、それを利用した受講生の学習データの取得・分析など、データドリブンを推進して効果的な学習方法を見つけることなどに活用している。ほかにも、受講者の個別データをベースに、スケジュール管理、週次の面談・相談、英語の添削などにも利用されている。
(1) プログリット
顧客の英語力を短期間で確実に向上させるサービスである。サービスの月単価は20万円(入会金を含む)前後である。サービス内容は個別にある顧客ニーズを満たすべく、カスタマイゼーションされているところが特徴である。具体的には、英語学習者一人ひとりにとって、最適な学習方法の選択と学習継続支援がパッケージ化されているだけでなく、学習者に専任コンサルタントがつき、学習の仕方から生活習慣の改善まで指導を行う。受講者が英語を学習する際に求めている到達レベル(使用環境、使用目的など含め)はそれぞれ異なるため、最初に学習目的と学習状況がヒアリングされる。それらの状況を踏まえたうえでコンサルタントによる、学習時間・教材・学習方法など、様々な要素が考慮された「オーダーメイドの学習方法」が提案される。学習者一人ひとりに最適化されたオーダーメイド学習プランは個々の学習意欲を向上させ、学習者側も能力が効率的に向上していくことを実感できる。さらに、学習者のパフォーマンスを評価する際に、実施した学習プランが学習成果に与える影響も同時にモニタリングされる。これにより学習が進むにつれて、学習デザイン指導のパーソナライズが一段と最適化され、学習者の自律性・エンゲージメント・効率性を向上できる仕組みとなっている。
英語コーチングサービスは4つのコースと7つの料金プランがある。「ビジネス英会話」「TOEIC(R)L&R TEST」「初級者」「TOEFL iBT(R)/IELTS」の4つのコースで構成され、顧客は入会金と各コースの受講期間に応じて料金を支払う仕組みである。ちなみに、主要顧客は仕事上の実務や資格取得が目的のビジネスパーソンだが、特に効果を短期的に求めるコストパフォーマンス意識の高い顧客層がメインとなっている。なお、「プログリット」の受講生は2024年7月末時点で累計20,000名を超え、2024年8月期末現在においては、受講生の69%が「NEXT」または「サブスクサービス」に入会し、学習を継続した。
(2) シャドテン
「シャドテン」は、「プログリット」を卒業した顧客向けに当初提供していた継続コースである「シャドーイング添削コース」を、一般に向けて提供するサービスだ。サービス名は「シャドーイング添削」の略である。シャドーイングとは、音声で聞いた英語を再現して表現する、プロの同時通訳者のトレーニングとして使われる手法であり、学習者が文章を聞いてすぐに発声するのではなく、その文章が発声されてから少し遅れて影(シャドー)のように模倣して表現を再現することに由来する。英語を聞くことと発音することを同時に行う難易度の高い練習方法であり、この練習方法を誰でもできるようにしたサービスが「シャドテン」である。「シャドテン」の売上高はユーザー数が増えるごとに積み上がる。流入経路としては、「プログリット」卒業後の「シャドーイング添削コース」経由と、デジタルマーケティング経由などによる一般流入が存在するが、足元の急成長は後者による貢献が大きい。
(3) コンサルタント
コンサルタント(コーチングスタッフ)の質は事業成長の基盤であり、同社のサービスの品質を左右するため、厳しい採用基準で選別される。コンサルタントの採用募集は、既存コンサルタントのリファラル採用、採用メディアへの出向、Wantedlyや同社採用サイトでの記事の充実、ミートアップ開催など、幅広く行われる。そのなかで、コンサルタントとしての業務に必要な英語力はもちろんのこと、顧客の目標達成のために必要なアドバイスを躊躇なく伝えられるような、本質的に高いコミュニケーション能力を備えているかが重視される。加えて、同社のサービスは英語そのものを教えるのではなく、学習の仕方やタイムマネジメントに関するコンサルティングの要素も含まれているため、論理的思考力も求められる。また、同社が事業運営を行ううえで重視している価値観「FIVE GRIT」を体現できることも重要な要素である。これらの要素を備えている人材を採用しているため、応募者の採用率は0.88%と非常に低く、少数精鋭のコンサルタント集団となっている。加えて、全員が正社員として採用される点も特徴的だ。また、より採用力を高め、コンサルタントがモチベーション高く働ける環境を提供するために、同社は2023年9月より全コンサルタント職の給与を年50万円引き上げた。
コンサルタントの品質を維持するための取り組みとして、組織全体で学ぶ仕組みも構築している。コンサルタントのベストプラクティスを共有する「BPS」、顧客対応などでコンサルタントが抱える課題に対して仲間のコンサルタントがアドバイスをする「CSアップ」、顧客からのアンケートをもとに実施する改善活動、コーチングスキルを身につけるための研修などがある。コンサルタントの教育と管理も徹底されているため、コーチングサービスでは全コンサルタントが高品質を維持できる仕組みとなっている。拡大する事業に対応すべくコンサルタントの採用を進めており、2024年8月期においては、計画を上回る人数のコンサルタント職を確保した。足元では、同社のコーチングサービスは受講者が申し込みを行ってから約1ヶ月強の受講待ちの状態で推移している。この待機期間中は予習期間と位置付けられており、顧客のモチベーションを高めるとともに受講初日から実践的な姿勢で受講できるため、待機期間における顧客離れの懸念は不要だと弊社では見ている。
(4) 顧客獲得について
同社のビジネスモデル上、当然ながら新規顧客の獲得を継続していく必要がある。利用者は一定のレベル以上に英語のスキルが身についた後は、新しい目標を設定して学習を継続するか、もしくは卒業していくためだ。新規の顧客獲得には、リスティング広告、SNS広告、YouTube動画への配信などのWebマーケティングを行い、日本全国の顧客層を対象にサービスを紹介している。そのほか、足元では電車内広告等オフライン広告にも投資を行い、潜在顧客層の認知獲得に注力している。同社では、幅広く同社のサービスを潜在顧客に紹介するため、海外リーグで活躍したサッカー選手の本田圭佑氏をアンバサダーとして起用し、ブランドの構築や信頼獲得を推進している。Webマーケティングにおいては、実際にどれぐらいの効果を得られたかを判定することが数字によって確認できるため、同社は、広告を打ったことによる自社サイトへのアクセス数や各ページの滞在時間といった情報を分析し、プロモーション効果を測定している。新規顧客獲得のKPIとなるこれらの数値を向上させるために、マーケティングの実行と分析が繰り返されている。この一連のサイクルにより改善点を明確にして、施策の展開もその都度最適な方法にすることで、新規顧客獲得の拡大につなげている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 事業内容
同社は英語コーチングサービス「プログリット」とサブスクサービス「シャドテン」を提供している。事業コンセプトは「人×テクノロジー」としており、英語学習に革新を起こすべく、人の力とテクノロジーの力を融合させた科学的根拠のある英語学習を提供している。顧客の学習目標を達成させるため、サービスを開発・提供する過程の要所においてテクノロジーを用いることで、学習内容の充実と効率を向上させている。例えば、従来の英語学習では、生徒が教室で教師から講義を受け、英会話を通して学習を行う形式が一般的で、標準化された配布資料や本、紙やペンを用いて学習が進められていた。しかし今日では、ノートパソコン、タブレットといった情報端末を多くの学生や社会人が所有・使用しており、これらのテクノロジーが講義などの従来学習の在り方を変化させている。それらの情報端末を活用した場合と従来の紙媒体の教材を活用した場合を比較すると、言うまでもなく前者が様々な面で学習効率を向上できることから、同社もこの変化の流れを汲んでおり、すべてのサービス開発・提供において、様々な目的に応じたテクノロジーが用いられている。学習アプリを自社で開発し、それを利用した受講生の学習データの取得・分析など、データドリブンを推進して効果的な学習方法を見つけることなどに活用している。ほかにも、受講者の個別データをベースに、スケジュール管理、週次の面談・相談、英語の添削などにも利用されている。
(1) プログリット
顧客の英語力を短期間で確実に向上させるサービスである。サービスの月単価は20万円(入会金を含む)前後である。サービス内容は個別にある顧客ニーズを満たすべく、カスタマイゼーションされているところが特徴である。具体的には、英語学習者一人ひとりにとって、最適な学習方法の選択と学習継続支援がパッケージ化されているだけでなく、学習者に専任コンサルタントがつき、学習の仕方から生活習慣の改善まで指導を行う。受講者が英語を学習する際に求めている到達レベル(使用環境、使用目的など含め)はそれぞれ異なるため、最初に学習目的と学習状況がヒアリングされる。それらの状況を踏まえたうえでコンサルタントによる、学習時間・教材・学習方法など、様々な要素が考慮された「オーダーメイドの学習方法」が提案される。学習者一人ひとりに最適化されたオーダーメイド学習プランは個々の学習意欲を向上させ、学習者側も能力が効率的に向上していくことを実感できる。さらに、学習者のパフォーマンスを評価する際に、実施した学習プランが学習成果に与える影響も同時にモニタリングされる。これにより学習が進むにつれて、学習デザイン指導のパーソナライズが一段と最適化され、学習者の自律性・エンゲージメント・効率性を向上できる仕組みとなっている。
英語コーチングサービスは4つのコースと7つの料金プランがある。「ビジネス英会話」「TOEIC(R)L&R TEST」「初級者」「TOEFL iBT(R)/IELTS」の4つのコースで構成され、顧客は入会金と各コースの受講期間に応じて料金を支払う仕組みである。ちなみに、主要顧客は仕事上の実務や資格取得が目的のビジネスパーソンだが、特に効果を短期的に求めるコストパフォーマンス意識の高い顧客層がメインとなっている。なお、「プログリット」の受講生は2024年7月末時点で累計20,000名を超え、2024年8月期末現在においては、受講生の69%が「NEXT」または「サブスクサービス」に入会し、学習を継続した。
(2) シャドテン
「シャドテン」は、「プログリット」を卒業した顧客向けに当初提供していた継続コースである「シャドーイング添削コース」を、一般に向けて提供するサービスだ。サービス名は「シャドーイング添削」の略である。シャドーイングとは、音声で聞いた英語を再現して表現する、プロの同時通訳者のトレーニングとして使われる手法であり、学習者が文章を聞いてすぐに発声するのではなく、その文章が発声されてから少し遅れて影(シャドー)のように模倣して表現を再現することに由来する。英語を聞くことと発音することを同時に行う難易度の高い練習方法であり、この練習方法を誰でもできるようにしたサービスが「シャドテン」である。「シャドテン」の売上高はユーザー数が増えるごとに積み上がる。流入経路としては、「プログリット」卒業後の「シャドーイング添削コース」経由と、デジタルマーケティング経由などによる一般流入が存在するが、足元の急成長は後者による貢献が大きい。
(3) コンサルタント
コンサルタント(コーチングスタッフ)の質は事業成長の基盤であり、同社のサービスの品質を左右するため、厳しい採用基準で選別される。コンサルタントの採用募集は、既存コンサルタントのリファラル採用、採用メディアへの出向、Wantedlyや同社採用サイトでの記事の充実、ミートアップ開催など、幅広く行われる。そのなかで、コンサルタントとしての業務に必要な英語力はもちろんのこと、顧客の目標達成のために必要なアドバイスを躊躇なく伝えられるような、本質的に高いコミュニケーション能力を備えているかが重視される。加えて、同社のサービスは英語そのものを教えるのではなく、学習の仕方やタイムマネジメントに関するコンサルティングの要素も含まれているため、論理的思考力も求められる。また、同社が事業運営を行ううえで重視している価値観「FIVE GRIT」を体現できることも重要な要素である。これらの要素を備えている人材を採用しているため、応募者の採用率は0.88%と非常に低く、少数精鋭のコンサルタント集団となっている。加えて、全員が正社員として採用される点も特徴的だ。また、より採用力を高め、コンサルタントがモチベーション高く働ける環境を提供するために、同社は2023年9月より全コンサルタント職の給与を年50万円引き上げた。
コンサルタントの品質を維持するための取り組みとして、組織全体で学ぶ仕組みも構築している。コンサルタントのベストプラクティスを共有する「BPS」、顧客対応などでコンサルタントが抱える課題に対して仲間のコンサルタントがアドバイスをする「CSアップ」、顧客からのアンケートをもとに実施する改善活動、コーチングスキルを身につけるための研修などがある。コンサルタントの教育と管理も徹底されているため、コーチングサービスでは全コンサルタントが高品質を維持できる仕組みとなっている。拡大する事業に対応すべくコンサルタントの採用を進めており、2024年8月期においては、計画を上回る人数のコンサルタント職を確保した。足元では、同社のコーチングサービスは受講者が申し込みを行ってから約1ヶ月強の受講待ちの状態で推移している。この待機期間中は予習期間と位置付けられており、顧客のモチベーションを高めるとともに受講初日から実践的な姿勢で受講できるため、待機期間における顧客離れの懸念は不要だと弊社では見ている。
(4) 顧客獲得について
同社のビジネスモデル上、当然ながら新規顧客の獲得を継続していく必要がある。利用者は一定のレベル以上に英語のスキルが身についた後は、新しい目標を設定して学習を継続するか、もしくは卒業していくためだ。新規の顧客獲得には、リスティング広告、SNS広告、YouTube動画への配信などのWebマーケティングを行い、日本全国の顧客層を対象にサービスを紹介している。そのほか、足元では電車内広告等オフライン広告にも投資を行い、潜在顧客層の認知獲得に注力している。同社では、幅広く同社のサービスを潜在顧客に紹介するため、海外リーグで活躍したサッカー選手の本田圭佑氏をアンバサダーとして起用し、ブランドの構築や信頼獲得を推進している。Webマーケティングにおいては、実際にどれぐらいの効果を得られたかを判定することが数字によって確認できるため、同社は、広告を打ったことによる自社サイトへのアクセス数や各ページの滞在時間といった情報を分析し、プロモーション効果を測定している。新規顧客獲得のKPIとなるこれらの数値を向上させるために、マーケティングの実行と分析が繰り返されている。この一連のサイクルにより改善点を明確にして、施策の展開もその都度最適な方法にすることで、新規顧客獲得の拡大につなげている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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