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*12:06JST サクシード Research Memo(6):当面はオンライン型と対面型のバランスを考慮した展開
■事業内容
4. 家庭教師事業
サクシード<9256>は、対面型とオンライン型の2方式で「家庭教師のサクシード」を展開している。従来首都圏と関西圏において対面型の家庭教師の紹介事業を行ってきたが、コロナ禍におけるオンラインニーズに対応するため、オンライン家庭教師という新しいサービスを創出した。これはまた結果的に、教育の地域格差という社会課題の解決策にもつながっているようだ。対面型の家庭教師サービスでは、主要大学のある首都圏や関西圏に講師が集中する傾向があり、その他の地域では紹介可能な講師が限られてしまうことが多かった。しかしオンライン型の家庭教師サービスでは、全国の生徒に対して、同社の約7万人超の登録講師のなかから、例えば地方に住む東大理系を目指す生徒に対して現役の東大理学部の講師を紹介するなど、生徒の希望にピンポイントで合致した選りすぐりの家庭教師を紹介することが可能になった。このため、大都市圏以外のエリアでの家庭教師のクオリティ格差やミスマッチングの解消につながっている。
一方都市部でも、コロナ禍でテレワークが増加しWeb会議などに慣れた保護者にとって、オンラインでの教育はまったく違和感がなくなったうえ、お茶出しや交通費の負担など講師訪問時の家庭の負担が極小化されることもあり、オンライン家庭教師サービスを選択する生徒・保護者が増えてきたようである。講師側から見ても、オンライン家庭教師のメリットは大きい。例えば通勤する必要がなく、時間を効率的に使うことができるのは大きなメリットである。これは、講師の働き方改革にもつながっており、対面型で1人の生徒を担当する時間でオンライン型であれば2人の生徒を担当することも可能となった。また同社にとってもメリットがある。登録者を有効利用できるだけでなく、本部のテレマーケティング部門が問い合わせなどの対応を一括で行うことで、拠点(コスト)を出さずに全国展開することが可能となったのである。さらに、生徒の居住地に縛られないため、離島や遠隔地のみならず海外赴任先で日本と同様の教育を受けさせたい生徒・保護者までもターゲットにできる。このように、オンライン家庭教師は、保護者、家庭教師、同社の三者三得になっているということができる。
こうしたことから、オンライン家庭教師のニーズは今後も伸びて行くことが予測されているが、足もとのコロナ禍からの回復のなかで伸びがやや鈍っているようだ。一方、対面型のサービスについては、一部回帰する動きが見られること、拠点を持たずにエリアを開発する仕組みが見えてきたことから、当面はオンライン型と対面型のバランスを取った運営を進めていく方針である。とはいえオンライン型は、インターネットビジネスのためクリティカルポイントを超えると急速な収益拡大が始まる可能性があること、中長期的に再び増勢が予想されることから、全国展開に向けたマーケティング活動は継続する方針である。なお、コスト面では、今のところ対面型とオンライン型であまり差がなく、オンライン型の料金をやや低く設定している分、対面型のほうが利益率が高くなっている程度である。
強みは人材の共有、自社マーケティングチーム、細やかなマッチング
5. 同社の強み
同社の強みは、教育サービスと人材サービスを同時に行うシナジーとしての人材の共有、募集サイトを機動的に制作できる自社内のマーケティングチーム、求職者・求人企業双方のニーズに合致したきめ細かなマッチングの3点にある。シナジーは、人材サービスと教育サービスでそれぞれ必要とする人材を一括して募集することで、募集費のコストダウンを実現できるうえ、学校教員の募集サイトで集めた登録者に対して学童保育の仕事を斡旋するなど、事業領域を横断した人材の共有を図ることができる。この結果、人材全体が強化されるだけでなく、教育サービスで競合する他社学習塾にも人材を紹介することができるのである。
また、自社内のマーケティングチームでは、人材不足が深刻な教育関連に絞り込んだうえ専門性の高い職種に特化した多彩なオウンドメディアやLP※など募集サイトを機動的に制作・展開することができる。この結果、同じ業種や職種でも様々な違いのある求職者・求人企業の個別ニーズに対応することができ、競合に対して大きな強みとなっている。さらに、集まった登録者から担当者が詳細をヒアリングすることによって、職種にまで細分化された専門性の高い人材データベースを大量に保有することができる。このため、様々な求職者と求人企業のニーズを、迅速、機動的、正確にマッチングすることが可能となる。例えば、業種単位で募集している他社人材サービスのように学習塾と講師を単に引き合わせるだけでなく、学力重視の進学塾へは御三家(中高一貫名門三校の俗称)の問題を初見で解くような学力の高い講師を、雰囲気重視の補習塾へは明るい雰囲気の面倒見のよい講師を紹介するというような、求職者と求人企業双方の要望に合致したマッチングができるのである。結果として、講師の退職率が極めて低くなるというメリットも生じることになる。
※LP(Landing Page):様々な切り口から求職者を集める数ページのミニサイト。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
4. 家庭教師事業
サクシード<9256>は、対面型とオンライン型の2方式で「家庭教師のサクシード」を展開している。従来首都圏と関西圏において対面型の家庭教師の紹介事業を行ってきたが、コロナ禍におけるオンラインニーズに対応するため、オンライン家庭教師という新しいサービスを創出した。これはまた結果的に、教育の地域格差という社会課題の解決策にもつながっているようだ。対面型の家庭教師サービスでは、主要大学のある首都圏や関西圏に講師が集中する傾向があり、その他の地域では紹介可能な講師が限られてしまうことが多かった。しかしオンライン型の家庭教師サービスでは、全国の生徒に対して、同社の約7万人超の登録講師のなかから、例えば地方に住む東大理系を目指す生徒に対して現役の東大理学部の講師を紹介するなど、生徒の希望にピンポイントで合致した選りすぐりの家庭教師を紹介することが可能になった。このため、大都市圏以外のエリアでの家庭教師のクオリティ格差やミスマッチングの解消につながっている。
一方都市部でも、コロナ禍でテレワークが増加しWeb会議などに慣れた保護者にとって、オンラインでの教育はまったく違和感がなくなったうえ、お茶出しや交通費の負担など講師訪問時の家庭の負担が極小化されることもあり、オンライン家庭教師サービスを選択する生徒・保護者が増えてきたようである。講師側から見ても、オンライン家庭教師のメリットは大きい。例えば通勤する必要がなく、時間を効率的に使うことができるのは大きなメリットである。これは、講師の働き方改革にもつながっており、対面型で1人の生徒を担当する時間でオンライン型であれば2人の生徒を担当することも可能となった。また同社にとってもメリットがある。登録者を有効利用できるだけでなく、本部のテレマーケティング部門が問い合わせなどの対応を一括で行うことで、拠点(コスト)を出さずに全国展開することが可能となったのである。さらに、生徒の居住地に縛られないため、離島や遠隔地のみならず海外赴任先で日本と同様の教育を受けさせたい生徒・保護者までもターゲットにできる。このように、オンライン家庭教師は、保護者、家庭教師、同社の三者三得になっているということができる。
こうしたことから、オンライン家庭教師のニーズは今後も伸びて行くことが予測されているが、足もとのコロナ禍からの回復のなかで伸びがやや鈍っているようだ。一方、対面型のサービスについては、一部回帰する動きが見られること、拠点を持たずにエリアを開発する仕組みが見えてきたことから、当面はオンライン型と対面型のバランスを取った運営を進めていく方針である。とはいえオンライン型は、インターネットビジネスのためクリティカルポイントを超えると急速な収益拡大が始まる可能性があること、中長期的に再び増勢が予想されることから、全国展開に向けたマーケティング活動は継続する方針である。なお、コスト面では、今のところ対面型とオンライン型であまり差がなく、オンライン型の料金をやや低く設定している分、対面型のほうが利益率が高くなっている程度である。
強みは人材の共有、自社マーケティングチーム、細やかなマッチング
5. 同社の強み
同社の強みは、教育サービスと人材サービスを同時に行うシナジーとしての人材の共有、募集サイトを機動的に制作できる自社内のマーケティングチーム、求職者・求人企業双方のニーズに合致したきめ細かなマッチングの3点にある。シナジーは、人材サービスと教育サービスでそれぞれ必要とする人材を一括して募集することで、募集費のコストダウンを実現できるうえ、学校教員の募集サイトで集めた登録者に対して学童保育の仕事を斡旋するなど、事業領域を横断した人材の共有を図ることができる。この結果、人材全体が強化されるだけでなく、教育サービスで競合する他社学習塾にも人材を紹介することができるのである。
また、自社内のマーケティングチームでは、人材不足が深刻な教育関連に絞り込んだうえ専門性の高い職種に特化した多彩なオウンドメディアやLP※など募集サイトを機動的に制作・展開することができる。この結果、同じ業種や職種でも様々な違いのある求職者・求人企業の個別ニーズに対応することができ、競合に対して大きな強みとなっている。さらに、集まった登録者から担当者が詳細をヒアリングすることによって、職種にまで細分化された専門性の高い人材データベースを大量に保有することができる。このため、様々な求職者と求人企業のニーズを、迅速、機動的、正確にマッチングすることが可能となる。例えば、業種単位で募集している他社人材サービスのように学習塾と講師を単に引き合わせるだけでなく、学力重視の進学塾へは御三家(中高一貫名門三校の俗称)の問題を初見で解くような学力の高い講師を、雰囲気重視の補習塾へは明るい雰囲気の面倒見のよい講師を紹介するというような、求職者と求人企業双方の要望に合致したマッチングができるのである。結果として、講師の退職率が極めて低くなるというメリットも生じることになる。
※LP(Landing Page):様々な切り口から求職者を集める数ページのミニサイト。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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