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飯野海運のニュース
■飯野海運<9119>の中長期成長戦略
1. 中期経営計画「Be Unique and Innovative. ー創立125周年(2024年)に向けてー」
2024年の創立125周年に向けて、2017年4月−2020年3月の中期経営計画「Be Unique and Innovative.」を策定している。海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに方針変更はなく、テーマを「バランス経営の推進と先進性への挑戦」(海運業と不動産業の両輪バランス、安定収益と次世代ビジネス、バランスの良い成長目標数値)として、重点強化策には「更なる差別化の追求」「安定収益の磐石化」「次世代ビジネスへの挑戦」を掲げている。
「更なる差別化の追求」に向けては、海運業では多様化するニーズへの対応や世界展開の加速、不動産業ではターゲットエリア戦略の深化を推進する。そして海運市況の不確実性に対処するため、「安定収益の磐石化」として、海運業では中長期契約による収益の安定化、不動産業では既存ビルの安定稼働やターゲットエリア内への資産集約を推進する。また「次世代ビジネスへの挑戦」では、新エネルギー関連ビジネスの研究、有望なニッチ市場への進出、次世代オフィスビルの研究も推進する。
具体的な取り組みとしては、ケミカルタンカーでは米州への定期配船によるシェール由来カーゴの取り込み、世界同一品質のサービス提供、中東における市場シェアの維持・拡大、継続的な船隊整備を行う。オイルタンカー及び大型/小型ガスキャリアでは新規契約の獲得、シェール革命による物流変化への対応、多様なガスカーゴ輸送への対応、高品質船舶管理継続と優位性確保に注力する。ドライバルクキャリアでは中・短期用船を活用した最適船隊の構築、電力炭・木材チップ等の専用船による安定収益の積み上げ、中東関連カーゴの拡充、配船航路の多様化を図る。不動産業事業では長期的視野に基づいたターゲットエリア戦略への継続取り組み、高品質ビル管理の提供、リーシング体制の強化、新橋田村町地区市街地再開発事業のコスト管理徹底を推進する方針だ。
中期経営計画の利益目標値は未達の見込みだが、創立125周年に向けて安定収益基盤積み上げ
2. 中期経営計画の達成見通し
中期経営計画の目標値には、最終年度である2020年3月期の売上高890億円、営業利益90億円、経常利益78億円、親会社株主に帰属する当期純利益74億円、純資産825億円、ROE約9%などを掲げている。海運業の前提は為替が110円/米ドル、燃料油価格が370米ドル/MTである。
収益性(営業利益の拡大、事業活動キャッシュ利益の拡大、持続的な成長)、効率性(保有資産の効率性、資産調達方法の多様化、資産の入れ替え)、健全性(自己資本の積み上げ、投資バランスの重視)のバランスを取りながら成長を目指す。なお創立125周年となる2024年の「ありたき姿」としては、純資産1,000億円超を目指している。
3年間合計の成長投資は380億円(船舶への投資280億円、ビルへの投資90億円、環境やシステムなどへの投資10億円)としている。2018年3月期には154億円、2019年3月期には212億円の投資を実行した。
中期経営計画の最終年度となる2020年3月期の連結業績予想は、売上高がほぼ目標達成見込みだが、各利益は海運業の市況回復遅れ、不動産業の稼働減などで目標未達の見込みとなった。
ただし創立125周年(2024年)に向けて、安定収益基盤を着実に積み上げている。
外航海運業では、ケミカルタンカーで新規COA(数量輸送契約)を2018年3月期3件、2019年3月期3件獲得し、船隊整備は2018年3月期3隻竣工、2019年3月期7隻竣工した。オイルタンカー、ガスキャリア、ドライバルクも中長期契約獲得が進展している。
内航・近海海運業では、国内大手化学品メーカー向け内航ガスキャリア新造船を整備している。また安定配船できる強みなどが荷主に評価され、採算改善を目指した契約有利更改も進展している。
不動産業では、飯野ビルディングの稼働が一時的に低下するが、高度な環境性能が強みであり、引き続き安定収益基盤として推移するだろう。さらに西新橋・虎ノ門地区の価値向上も寄与して、新橋田村町地区市街地再開発事業が稼働する2022年3月期には収益拡大に転じる見込みだ。
海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに変化はなく、ESG経営にも注目
3. 成長シナリオとESG経営
海運業と不動産業を両輪として永続的な安定成長を目指すシナリオに変化はなく、中期的に収益拡大が期待される。
また外航海運業で2018年2月締結した新造メタノール船定期用船契約では、同社初の二元燃料(重油+メタノール)主機関搭載船を建造して環境負荷軽減に向けた取り組みを推進する。また既存内航LNG船の燃料転換によるLNG燃料船・LNGバンカリング船の需要調査も開始している。そして不動産業では、飯野ビルディングの高度な環境性能に対する評価が高い。
このようなESG(環境・社会・ガバナンス)を強く意識した経営にも注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SF>
1. 中期経営計画「Be Unique and Innovative. ー創立125周年(2024年)に向けてー」
2024年の創立125周年に向けて、2017年4月−2020年3月の中期経営計画「Be Unique and Innovative.」を策定している。海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに方針変更はなく、テーマを「バランス経営の推進と先進性への挑戦」(海運業と不動産業の両輪バランス、安定収益と次世代ビジネス、バランスの良い成長目標数値)として、重点強化策には「更なる差別化の追求」「安定収益の磐石化」「次世代ビジネスへの挑戦」を掲げている。
「更なる差別化の追求」に向けては、海運業では多様化するニーズへの対応や世界展開の加速、不動産業ではターゲットエリア戦略の深化を推進する。そして海運市況の不確実性に対処するため、「安定収益の磐石化」として、海運業では中長期契約による収益の安定化、不動産業では既存ビルの安定稼働やターゲットエリア内への資産集約を推進する。また「次世代ビジネスへの挑戦」では、新エネルギー関連ビジネスの研究、有望なニッチ市場への進出、次世代オフィスビルの研究も推進する。
具体的な取り組みとしては、ケミカルタンカーでは米州への定期配船によるシェール由来カーゴの取り込み、世界同一品質のサービス提供、中東における市場シェアの維持・拡大、継続的な船隊整備を行う。オイルタンカー及び大型/小型ガスキャリアでは新規契約の獲得、シェール革命による物流変化への対応、多様なガスカーゴ輸送への対応、高品質船舶管理継続と優位性確保に注力する。ドライバルクキャリアでは中・短期用船を活用した最適船隊の構築、電力炭・木材チップ等の専用船による安定収益の積み上げ、中東関連カーゴの拡充、配船航路の多様化を図る。不動産業事業では長期的視野に基づいたターゲットエリア戦略への継続取り組み、高品質ビル管理の提供、リーシング体制の強化、新橋田村町地区市街地再開発事業のコスト管理徹底を推進する方針だ。
中期経営計画の利益目標値は未達の見込みだが、創立125周年に向けて安定収益基盤積み上げ
2. 中期経営計画の達成見通し
中期経営計画の目標値には、最終年度である2020年3月期の売上高890億円、営業利益90億円、経常利益78億円、親会社株主に帰属する当期純利益74億円、純資産825億円、ROE約9%などを掲げている。海運業の前提は為替が110円/米ドル、燃料油価格が370米ドル/MTである。
収益性(営業利益の拡大、事業活動キャッシュ利益の拡大、持続的な成長)、効率性(保有資産の効率性、資産調達方法の多様化、資産の入れ替え)、健全性(自己資本の積み上げ、投資バランスの重視)のバランスを取りながら成長を目指す。なお創立125周年となる2024年の「ありたき姿」としては、純資産1,000億円超を目指している。
3年間合計の成長投資は380億円(船舶への投資280億円、ビルへの投資90億円、環境やシステムなどへの投資10億円)としている。2018年3月期には154億円、2019年3月期には212億円の投資を実行した。
中期経営計画の最終年度となる2020年3月期の連結業績予想は、売上高がほぼ目標達成見込みだが、各利益は海運業の市況回復遅れ、不動産業の稼働減などで目標未達の見込みとなった。
ただし創立125周年(2024年)に向けて、安定収益基盤を着実に積み上げている。
外航海運業では、ケミカルタンカーで新規COA(数量輸送契約)を2018年3月期3件、2019年3月期3件獲得し、船隊整備は2018年3月期3隻竣工、2019年3月期7隻竣工した。オイルタンカー、ガスキャリア、ドライバルクも中長期契約獲得が進展している。
内航・近海海運業では、国内大手化学品メーカー向け内航ガスキャリア新造船を整備している。また安定配船できる強みなどが荷主に評価され、採算改善を目指した契約有利更改も進展している。
不動産業では、飯野ビルディングの稼働が一時的に低下するが、高度な環境性能が強みであり、引き続き安定収益基盤として推移するだろう。さらに西新橋・虎ノ門地区の価値向上も寄与して、新橋田村町地区市街地再開発事業が稼働する2022年3月期には収益拡大に転じる見込みだ。
海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに変化はなく、ESG経営にも注目
3. 成長シナリオとESG経営
海運業と不動産業を両輪として永続的な安定成長を目指すシナリオに変化はなく、中期的に収益拡大が期待される。
また外航海運業で2018年2月締結した新造メタノール船定期用船契約では、同社初の二元燃料(重油+メタノール)主機関搭載船を建造して環境負荷軽減に向けた取り組みを推進する。また既存内航LNG船の燃料転換によるLNG燃料船・LNGバンカリング船の需要調査も開始している。そして不動産業では、飯野ビルディングの高度な環境性能に対する評価が高い。
このようなESG(環境・社会・ガバナンス)を強く意識した経営にも注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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